ゼラチンを「たらふく」食す
立冬の末候_「金盞香/きんせんか こうばし」 この時候の旬菜「鱈/たら」をいただきます。
金盞香_11月17日から11月21日
この時候が過ぎれば_小雪です。
また時候に雪の字がつく季候が目の前にやってきました。
魚に雪と書いて「鱈」、これから小雪の時候を迎える時期にこれほどぴったりの魚はないでしょう。
貪欲な食欲からたくさん食べることを〝たらふく食べる〟と云いますが、鱈がたくさん食べた栄養を、内臓も冬の野菜とともに戴く「鱈ちり鍋」などで、冬の英気を養いたいものです。
また、寒空に水仙の花が芳しい香りを漂わせるのは何か健気な情緒を感じますが、「金盞香」の金盞は黄色い花びらの水仙を云い金色の杯を現しています。
野崎洋光料理長の「たらのチーズ焼き」は別名「たらの黄金焼き」、金盞の黄金とも連なり縁起の良い料理です。
鱈/たら_ゼラチンが冬の体を温める
タラ科。寒流に棲む深海魚。日本近海には「真鱈」「すけとう鱈」「こまい」などがおり、鱈と言えば主に真鱈を指す。
日本海側では山口県以北、太平洋側では茨城県以北に棲み、大きいものは1mに達し、腹がふくらんでいる。貪欲な雑食性の魚で、それが転じて、たくさん食べる様子を〝たらふく食べる〟とたとえるほど。
冬、産卵のため浅海にやってくるものを漁獲。脂肪の少ない、淡泊なクセのない白身魚。特に精巣「白子(菊子)」に価値があり、白子を持つ雄が雌よりも高価。身だけなら雌で充分。
【旬の時季】寒くなるほどおいしくなり、旬は冬。
【漁獲地】北海道、岩手県、宮城県、青森県など。輸入品も多く、白子も輸入されている。
【栄養】水分が83%と多く、良質のたんぱく質とミネラルが豊富。
以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より
日本料理「分とく山」
野﨑洋光 料理長「たらチーズ焼き」
タラとチーズの相性抜群!見た目も鮮やかな一品です