山眠る時候 ほうれん草より滋養を得る
立冬の次候_「地始凍る/ち はじめて こおる」 この時候の旬菜「菠薐草/ほうれんそう」をいただきます。
地始凍る_11月12日から11月16日
前回、山が紅葉などで色鮮やかになる姿を現した「山粧(よそお)う」という季語をご紹介しましたが、この時候には、やがてその紅葉も枯れていく情景を現す「山眠る」という季語があります。
山「枯れる」ではなく「眠る」とするところに趣を感じます。
季候は冬の入口です。冬の厳しさに向けて滋養をつけておかなければなりません。
ほうれん草は「冬草」と呼ばれるくらい冬を代表する野菜です。
同時にミネラルや鉄分など不足しがちな栄養素を取り入れることができます。
ポパイばりに元気に冬を迎える用意をほうれん草で_
菠薐草/ほうれんそう_胃腸の箒(ほうき)
アカザ科。青菜の代表格。味にクセがなくて、万人に好まれる。原産地は西アジアのイラン近辺。東アジアに伝わって東洋種が、遅れてヨーロッパで西洋種が生まれた。
日本へは江戸時代初めに東洋種が、明治以降になって西洋種が渡来。現在は主に、二つの交雑種が出回っている。
東洋種の露地ものは根元の赤い色が強く、茎は雪をかぶって押され、太く曲がったりしているが、味が濃く、特に冬に甘みが増えておいしくなる。
サラダ用ほうれん草は、生食用に改良した交雑種。
【選び方】茎に張りがあり、ピンと立っているものを。
【旬の時季】一年中出回るが、本来の旬は12~1月。
【産地】千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県など。
【栄養】βカロテン、ビタミンC、ビタミンKに、鉄などのミネラル類も豊富な、優れた野菜で、西洋では別名「胃腸の箒」とも呼ばれる。
以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より
日本料理「山さき」
山﨑美香 料理長「ほうれん草の白ごま和え」
きりっとした味わいでほうれん草の甘みを引き出す
日本料理「分とく山」
野﨑洋光 料理長「ほうれん草のお浸し」
ほうれん草本来の旨味と滋養をいただく