「山さき」
山﨑美香
きりっとした味わいでほうれん草の甘みを引き出す
口伝
ほうれん草の白ごま和え
冬になりますとほうれん草がとっても美味しくなります。
できればハウス栽培ではなくて露地ものを使っていただきたいと思います。
露地ものですと甘みがたっぷり出てほうれん草自体の味がとても良いので、お醤油だけを使ったごま和えを作ってみたいと思います。
ほうれん草の下処理
まずほうれん草を買ってきましたら、束を解いてたっぷりのお水に浸けてください。
軸のところに土が着いていることがよくありますが、お水に浸けておくことで、土が軟らかくなって軽くゆすぐだけで土が落ちます。
それから水が切れて葉に元気がないような時も、生き生きとした状態になります。
水につけた後、水を切ってから茹でます。
「ほうれん草」を茹でる前には包丁を入れません。包丁を入れると味が逃げてしまいます。
茹でるのは、たっぷりの沸いたお茹で茹でます。茹でるのは、高い温度でさっと短い時間で茹でるのが理想ですが、お湯の量が少ないとお湯の温度が一気に下がってしまいますので、できるだけ大きなお鍋に多めのお湯で、温度が下がらないように素早く茹でるのがコツです。
「ほうれん草」は茹で過ぎを防ぐためにも、根元の方からお湯に入れ、柔らかくなって、ぐにゃっと曲がって自然に鍋に入っていくタイミングで、押し込みながら全体を入れていきます。
茹で上がりましたら、鍋から箸で取って冷たい水に浸け、流水で冷まします。
さらに、取り切れなかった軸の中の土を落とすようにします。
「ほうれん草」の水を切りますが、強く絞り過ぎますと味も落ちてしまいますので、ある程度の水分が残るように、根元から軽く絞ります。
水気を切った「ほうれん草」は、バッドなどにキッチンペーパーを敷いて広げ、冷蔵庫で冷やしてください。
ごまを煎る
「ごま」は、市販されている「白むき炒りごま」を使います。これを鍋に入れて煎り直します。
この時「ごま」を焦がしますと味が苦くなりますので、焦がさないように鍋を振って全体が熱くなるまで煎ります。
鍋の「ごま」に手を当ててみて、熱いと感じるくらいまで煎り、香りがしてきたら火を止めて余熱で火を入れます。
煎った「ごま」をすり鉢に入れて擦ります。
すり鉢は大変便利な調理器具です、できれば大きめのものをお買い求めになることをお勧めします。
すり鉢は、擦るだけではなく、和え物など全てすり鉢の中で調理できますので本当に便利です。
「ごま」の粒が多少残っても良いのですが、できれば全体的にごまが擦り潰されている方が美味しいと思います。
だんだんすり鉢の面に「ごま」がくっ着いてくると頃合いです。
ここに「醤油」を、すり鉢の周りから流し込んで「ごま醤油」を作ります。
「醤油」が全体に馴染めば良いので、磨り潰すのではなく混ぜ合わせるようにします。
「ごま醤油」ができましたら、「ほうれん草」は芯の部分を除いて食べやすい大きさにざく切りにして、すり鉢に入れて和えます。
除いた芯の部分は、鉄分の多く旨味もありますので、芯の太い部分に包丁を入れたりして、お味噌汁の具などにお使いください。
和える
「ほうれん草」は、すり鉢に入れる前に、再度、軽く水を切ってほぐしながら入れます。
水気は切り過ぎますと、旨味が出てしまいますので、あくまでも軽く切ってください。
全体に馴染むように、「ほうれん草」と「ごま」をざっくりと掘り起こすように混ぜ合わします。
和え物は長時間置いておくと美味しくなくなりますので、食べる時間に合わせて作るようにしてください。
作り置きはお勧めしません。
味の濃いものと合わせていますので、浸透圧で味が狂います。
器に盛るときは、余白を残して真ん中を高くするように盛りつけますと、美しくなります。
砂糖や出汁を入れたりする「ごま和え」とは一味違ったキリッとした味と、「ほうれん草」の旨味が引き立つ料理となっています。
ほうれん草の旨味をしっかり引き出した〈ほうれん草の白ごま和え〉できました。
材料〈4人前〉
材料 |
ほうれん草 1束(300g)/白いりごま 25g/しょうゆ 小さじ2 |
作り方
① ほうれん草はたっぷりの湯で根元の方から入れ、一呼吸おいて葉の部分を入れ30秒ほどゆでる。冷水にとり、軸の中に入っている土などを落としほうれん草がしっかり冷えたら絞り、冷蔵庫で冷やし休ませる。
② 鍋にごまを入れ、鍋をゆすりながら、弱火で全体が熱くなり、香りが出るまで煎る。
③ すり鉢で②をすり、しょうゆを何回かに分けて回し入れ少し混ぜる。
④ ①を食べやすい大きさに切り、軽く水気を切り、③のすり鉢に入れさっくり和え、器に盛る。
◆和えたらすぐ食べる。
◆ほうれん草をゆでる時はたっぷりの湯で茹でると,入れた時に温度が下がらない。
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