十五夜とともに
白露の初候_「鶺鴒鳴く/せきれいなく」 この時候の旬菜「里芋/さといも」をいただきます。
鶺鴒鳴く_9月13日から9月17日_十五夜
この時候に「仲秋の名月/十五夜」となりました。
と云うのも、毎年「十五夜」の日は大きく違います。
ちなみに昨平成三十(2018)年は九月二十四日、今年令和元(2019)年が九月十三日、令和二(2020)年が十月一日、令和三(2021)年が九月二十一日、令和四(2020)年が九月十日が十五夜の日です。
これは、十五夜が旧暦を採用する前から日本の行事として行われているからです。
ご存知のように、現在の太陽(グレゴリオ)暦が太陽を中心に、旧暦が新月を中心に定められているのに対し、旧暦以前(太古暦とも呼ばれます)は満月が中心に暦が定められていました。
十五夜は、「旧八月の満月の日」と定められているため、毎年九月の中旬のこともあれば、十月の初旬になる年も出てくるのです。
十五夜_芋名月
十五夜の別名に「芋名月」があります。
この場合の「芋」は「里芋」を指します。
俳諧などではサツマイモには「藷」、ジャガイモは「薯」の字を当てます。
古来、「米」が主食となる前の日本では、「里芋」が主食でした。
毎年八月の十五日は里芋の収穫祭でしたので、同日の十五夜が〈芋名月〉とも呼ばれるようになりました。
里芋のお料理「飯田徹也料理長/里芋のねぎ油煮込み」と「藪崎友宏料理長/レンコンとゆり根の里芋くずし煮込み」をご紹介します。
里芋/さといも_ぬめりに薬効あり
日本サトイモ科。タロイモの一種で、原産地は東南アジア。日本へは縄文時代に渡来し、江戸時代にさつま芋が普及するまで重要な食用芋であった。食べるのは肥大化した地下茎。親芋の周囲に多くの子芋ができるため子孫繁栄の縁起ものとして「おせち」に使われる。
【選び方】少し湿り気があって、しっかり固いもの
【保存方法】乾燥と寒さに弱いので、新聞紙に包み常温保存
【旬の時期】一年中出回るが、9月から10月が旬
【産地】千葉県、埼玉県、宮崎県など
【栄養】芋類では低カロリー。ビタミンB群、ビタミンEなどを含む。ぬめり成分のムチンは胃腸を助ける。
以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より
中華料理「よだれ鷄」
飯田徹也 料理長「里芋のねぎ油煮込み」
里芋とねぎ油、旨味と香りのマッチング
中華料理「南青山ESSENCE」
藪崎友宏 料理長「れんこんとゆり根の里芋くずし煮込み」
サクサク、ホクホク。異なる食感が楽しいボリューミーな野菜煮込み