江戸の時代から庶民に親しまれてきた涼菓
処暑の初候_「綿柎開く/わたのはなしべひらく」 夏の末に「心太/ところてん」を二杯酢でいただきます。
綿柎開く_8月23日から8月27日
七十二候には農作物の成長や農作業の時期を現すものが多くありますが、この時候は綿の実を包んでいる萼(がく)が弾ける頃、そろそろ綿花を摘む時期であることを知らせています。
また、26日27日には富士吉田・北口本宮富士浅間神社と諏訪神社の「鎮火大祭」、「吉田の火祭り」が行われます。この祭りが終わると富士山の登山シーズンも今年の幕を閉じます。
芭蕉も愛した心太/ところてん
「ところてん」は江戸時代から庶民に愛されてきた夏の食べ物ですが、そのむかしは菓子の部類に入れられていたようです。お昼と夕餉の間に軽く涼しげなものを食すといった風情のものでしょうか。
海藻の天草/テングサを煮出した汁を固めたものが「ところてん」となりますが、古くは天草を「心太/こころぶと」と呼んでいたことから、「ところてん」も「こころぶと」と呼ばれました。
この「こころぶと」という呼び名がいつしか「ところてん」へと転化したのが、漢字はそのまま「心太」が当てられています。
松尾芭蕉は、最晩年に京都の弟子の庵に滞在した際に「ところてん」を供されて一句読んでいます。
—清滝の 水汲よせて ところてん—
夏の末に名残で「ところてん」を二杯酢で、または甘めの三杯酢でいただきます。
日本料理「分とく山」
野﨑洋光 料理長「ところてん」
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