Bechamel
基本のマザーソース
ベシャメル/Bechamel
ルウ※1を牛乳で溶いたホワイトソース、昔は煮詰めたヴルテ※2に生クリームをたっぷり加えたソースだった。
ベシャメイユ公爵本人または彼の料理人の考案と云われているが、おそらくは料理人が昔からあるソースを工夫し、公爵の名を冠したのであろう。
このソースはソース・エスパニョール※3などと並んでマザーソースと呼ばれる基本ソースの一つで、そのままでもグラタンやコキール※4、野菜料理などに用いるが、他の材料を加えてモルネ※5、スービーズ※6などのソースを作る。
※1 ルウ/roux_ソースの濃度を高めるための、小麦粉とバターを混ぜたもの。ルウを単独で用いることはない。
※2 ヴルテ/veloute_ルウ、卵黄、生クリームなどで濃度をつけたポタージュまたはソース。
※3 ソース・エスパニョール/sauce espagnole_トマトを加えることと、色が浅黒いスペイン人を想起させる茶色をしているためにこの名がある。このソースは多くの茶色のソースの元となっている。
※4 コキール/coquille_帆立貝の貝殻またはそれに似せた陶製容器(コキール皿)に入れてオーブンで焼き色をつけたりして供する料理。
※5 モルネ/mornay_ベシャメルソースに魚の煮汁、パルメザンチーズ、バターなどを加えたソース。
※6 スービーズ/soubise_ベシャメルソースに玉ねぎなどを加えたソース。
『フランス食の辞典/白水社』より
ソースを作る
手軽に作れる応用範囲の広いソース
色々な料理に応用できる「ベシャメルソース」を作ります。
「無塩バター」を鍋に入れ溶かします。
有塩バターでも結構なのですが、使える料理の幅が狭くなりますので「無塩バター」で作る方が広範囲な料理に使え便利です。
火加減は常に弱火です。
バターは色が付きやすいので、あまり長く火にかけないでください。
ふるいにかけた「薄力粉」を入れます。
弱火ですと、ゆっくりかき混ぜてもダマになることはありませんが、強火ですと一気に火が入りダマになりやすくなります。
まずペースト状態にして、ここからスタートします。
家庭用のコンロでは火加減に差があると思いますが、時々火から外しながらかき混ぜると失敗することが少ないです。
火から外しては混ぜ、外しては混ぜを繰り返します。
ヘラは木べらなどがありますが、鍋の角や側面にフィットし混ぜムラができにくいので、私はゴムベラをお勧めします。
鍋底が焦げないように注意しながら混ぜてください。
ホワイトソースと呼ばれるくらいなので、ホワイトに出来上がるように焦がさずソースを作ります。
鍋中の状態は、「バター」で「薄力粉」を炒めている状態でもあるし、揚げている状態でもあり、要は、小麦粉(薄力粉)にしっかり火を入れると云うのが目的です。
かき混ぜていますと、だんだん手応えがなくなり、小さな泡が出てくらいになれば、少しさらっとした状態になってきます。
ここまでで4分から5分の作業となります。
火から下ろして、ここに、温めた「牛乳」を3回くらいに分けて入れます。
「牛乳」全体の分量は「バター1:小麦粉(薄力粉)1:牛乳10」の割合です。
「牛乳」は30℃くらいの温度で冷たいものでなければ大丈夫です。
冷たい「牛乳」を入れてしまいますと、温まっているバターの油脂分が固まってしまい均一に混ざらなくなってしまいます。
さらに「牛乳」を分けて入れながら混ぜ合わせます。回数は3回にこだわらず混ぜ安ければ何回に分けていただいても結構です。
また、ゴムベラで混ぜにくくなれば、泡立て器を使ってください。
水分が無くなってきましたら、一端火にかけてマッシュポテト状になるまで混ぜたら、火から下ろして再度「牛乳」を足して混ぜます。
なんでもそうですが、液体と固体を合わせるときは、液体を少しずつ入れて、混ぜては足し、混ぜては足しを繰り返します。
火にかけたまま、混ぜてもよろしいのですが、火から下ろして作業した方が、失敗は少ないです。
最後に残りの牛乳を全部入れます。牛乳を入れた直後は、鍋の真ん中に小さく円を描くように混ぜ、混ざったら大きな円を描くように混ぜるのがコツです。
火から外した状態で完全に混ぜ合わせてから、再び火にかけて混ぜ続けます。
このソースは、特に難しい作業をするわけでもなく、材料も「無縁バター」「小麦粉(薄力粉)」「牛乳」と、どこのご家庭にもある3種類の材料を使うだけで、あとはガスなりIHなりコンロがあれば作ることができますし、保存もききますので、ぜひお試しになってください。
塩や胡椒で味付けをすることも可能ですが、この時点では、何も味付けをしない方が、色々な料理に使えて便利です。
たまに、火から外してゴムベラで鍋の角や隅、鍋肌に固まっているソースをはがすようにして混ぜ合わせます。
今回の分量で、所要時間10分から12分くらいでしょうか。
引き続きゴムベラでかいていて、だんだん濃度が出て、混ぜている時に鍋底が見えてきたら仕上がりの目安です。
やがて、ポコポコとソースが沸いてきますので、そこで火を止めます。
こうやって、ご自分で作ったソースには愛着がわきますので、美味しいものです。
出来上がりましたら、広めのバットに流して温度を下げて冷やします。
手軽に作れて、いろいろ応用できる「ベシャメルソース」の完成です、ぜひ作ってみてください。
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