1. アンチョビを効かせて

  2. クレソンを添えて

  3. フレンチで春野菜

  4. 野﨑洋光続 熱燗の肴

  5. 春中華

  6. 白菜使い

  7. 古賀純二のソース

  8. 基本の出汁野﨑洋光

  9. 雑煮 三題

  10. 江戸のおせち壱山﨑美香

  11. 江戸のおせち弐山﨑美香

  12. 濱崎泰輔マンマのトマトソース

  1. 霜止出苗 アンチョビ編

  2. 鴻雁北 蕨編

  3. 雀始巣 浅葱編

  4. 土脈潤起 鱵編

  5. 桃始笑 独活編

  6. 東風凍解 小松菜編

  7. 款冬華 カリフラワー編

  8. 芹乃栄 白子編

  9. 鱖魚群 青梗菜編

  10. 閉塞冬成 ローズマリー編

  11. 金盞香 水菜編

  12. 楓蔦黄 キャベツ編

  1. 料理人街

  2. 日本料理 Japanese

  3. フランス料理 French

  4. イタリア料理 Italian

  5. 中華料理 Chinese

  6. 韓国料理 Korean

  7. ベトナム料理 Vietnamese

三馬

狭真魚と三馬と秋刀魚

「さんま」を「秋乃魚」「秋刀魚」と書くのは、みなさんご存知だと思いますが、実は、昔からのことではありません。
実は、明治時代には「三馬」と書いていました。
夏目漱石の『吾輩は猫である/明治三十八年※1』に「さんま」が出てきますが、「秋乃魚」ではなく「三馬」と書かれています。
「秋乃魚」という時は、大正十年の佐藤春夫『秋乃魚の歌※2』から使われ始めて、今ではこちらが定番となってしまっていますが、
魚市場では、いまでも「さんま」を買うと伝票には「三馬」と書かれています。
江戸時代では「サイラ(佐伊羅魚)」や「鯵」「鱧」の字を当てたりもしていました。
元々は「サマナ(狭真魚)」が転じて「サンマ」になったと考えられています。
また熱目漱石の『我輩は猫である』の中では、サンマに合わせる大根おろしの〝でんぷん分解酵素ジアスターゼ※3〟も登場し、文学の中にある食味であります。
※1三馬/『我輩は猫である』冒頭近く「此間(このあいだ)おさんの三馬を偸(ぬす)んで此返報をしてやつてから…」〉
※2佐藤春夫『秋刀魚の歌』/あはれ 秋風よ 情〔こころ〕あらば伝へてよ――男ありて 今日の夕餉〔ゆふげ〕にひとり さんまを食〔くら〕ひて 思ひにふける と。・・・さんま、さんま さんま苦いか塩つぱいか。〉
※3ジアスターゼ/猫「吾輩」の飼い主、珍野苦沙弥(ちんの くしゃみ)は、毎食後にはタカジアスターゼを飲む。珍野苦沙弥は、漱石自身がモデルとされ、実際、漱石は胃腸が弱くタカジアスターゼ※4を毎食後服用していた。〉
※4タカヂアスターゼ/三共製薬の創業者である高峰譲吉が、麹菌からジアスターゼを抽出し、明治27(1894)年に特許を申請。〉

滋味

秋を知らせる魚

サンマ科。背が青い全長40cmほどの魚。北海道から九州まで、太平洋側と日本海側に分布する。
水温14℃から15℃の海を求め、春から秋には北上して千島列島まで達し、8月中旬頃、親潮に乗って本州沿いを南下する。
漁獲の時期によって脂肪の量が極端に変わり、10月頃、三陸沖から九十九里浜沖で採れるものは20%も脂肪を持つが、12月頃、紀州沖に南下する頃には痩せて脂肪は少なくなり、さっぱりした味だが、これは干物に最適となる。日本海側を回遊するサンマは、太平洋側に比べると量が少なめ。
秋の到来を知らせる魚で、塩蔵品や干もの、缶詰も多彩、養殖はない。

【選び方】青い色が冴え、皮が剥けていないもの。
【旬の時期】秋に脂がのる。
【漁獲地】北海道、宮城県、岩手県、千葉県など。
【栄養】タンパク質よりも脂肪が多く、DHA、EPAが豊富、ビタミンやミネラルも多く含む。
〈DHA_ドコサヘキサエン酸/血中の脂肪を減らす働きがある不飽和脂肪酸〉
〈EPA_エイコサペンタエン酸/中性脂肪が溜まるのを防ぎ、血栓を防ぐ不飽和脂肪酸〉

以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より

動画

「分とく山」野崎洋光料理長「秋刀魚について」

レシピ例_壱

野﨑洋光料理長「秋刀魚の有馬煮」

秋刀魚の有馬煮

骨までやわらか、先人の知恵と旨味が凝縮▲画像をクリックすると料理塾のレシピへ移動いたします

レシピ例 弐

フランス料理「ル・スプートニク」
髙橋雄二郎 料理長「さんまのマリネとマスカット ワタのソース」

塩でしめたさんまを、相性のよいマスカットと前菜仕立てに▲画像をクリックすると料理塾のレシピへ移動いたします

中国料理「麻布長江」
田村亮介 料理長「さんまの瞬間お茶スモーク 酸白菜添え」

さんまの新しい美味しさを堪能できる、茶葉を使った手軽なスモーク

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