野﨑洋光
刺身の盛り付け方
〈刺身がより美味しく〉
お刺身をテーマにお話しします。
実は、日本の一般家庭でお刺身を食べると云う文化が根付いてから、まだ50年ほどしか経っていません。
刺身をスーパーなどでパックで買ってきて、そのまま食卓に出しても構わないのですが、味気ないので、ちょっと盛り付けを変えて出されたらよろしいのかなと云うことです。
家庭においては「ブロッコリー」「ほうれん草」「玉ねぎ」「にんじん」「アスパラガス」「きゅうり」「長芋」など、季節の野菜やそれを茹でたものなど、家庭にある野菜を添えると云うことが大事です。
なぜなら、刺身を野菜と一緒に食べると云う、家庭ならではの美味しさを作ることができるからです。
盛り付けのコツというのは、皿の向こう側を高くして、手前側を低くする。これは右手に箸を持って、手前から取って食べるということですから、皿の向こう側が低いと取りづらくなります。
ですから、皿の向こう側を必ず高くなるように盛り付けます。
高くする土台は、刺身に付属しているツマの大根でも、ご家庭で茹でた「ほうれん草」や「玉ねぎ」のスライスなどでもよろしいでしょう。
土台に大葉を乗せて刺身を盛り付けますが、日本の文化の中では五節句(1月7日・3月3日・5月5日・7月7日・9月9日)のように奇数を陽数として尊びますので、奇数で盛り付けるのが基本となります。
また、縦に盛り付けたら次には横に盛るというのが美しいバランスとなりますので、それを意識しながら彩りと合わせながら盛ると料理の仕上がりが楽になります。
また長く切られた刺身を重ねて盛り付けるなど、変化を加えればバランス良くなります。
皿の中心に盛り付けるようにしますと、大体うまく盛れます。
型抜きがありましたら「長芋」や「にんじん」「大根」などを、桜や紅葉などの型で抜いて添えることによって、季節感を感じることができます。
このように、家庭で茹でた季節の野菜などを加えて「刺身サラダ」のように、たくさん具材を加えますと、より一層美味しくなります。
我が家の刺身をお楽しみください。
浅見健二
包丁の種類と使い方
〈包丁と食材の相性が大事〉
「包丁の使い方と種類」をご紹介します。
包丁にも色々な種類がございますので、知っていただいておけば、料理の幅も広がると思います。
まず、和包丁は全て片刃です。
片刃というのは、片方が平らで、もう片方に傾斜がついて刃になっています、西洋包丁は両刃ですので、和包丁のような角度はありません。
「出刃包丁」は魚をおろす時の包丁で、切っ尖で魚をおろし、骨を叩く時は包丁の重さを使って根元の刃で叩きます。
「出刃包丁」はこの厚みが特徴です。他の包丁でこのように短くて厚味のある包丁はありません。やはり、タイなどの魚の骨はとても硬いので刃こぼれしないように、しっかりと厚味があります。その代わり先は細くなっていますので細かい鱚(きす)や鯵(あじ)なども不自由なくおろすことができます。
「薄刃包丁」俗に云う菜切り包丁ですが、大きく私が使っているものは長さが八寸あります。大根の桂剥きやナスの皮を剥いたり、野菜を刻んだりします。
この薄刃包丁で魚をおろすとか、肉に使うことは一切なく野菜専門の包丁です。片刃であるため野菜をシャープに切ることができます。
「柳刃包丁」は刺身を切る包丁です。一般に鮪(まぐろ)や鯛などを柵どりしたり、刺身にする時に使います。短い「柳刃包丁」というのはなく大体30cm近くあります。
「テッサ(ふぐ)包丁」はふぐ専用の包丁です。薄くてしなやかなのが特徴です。普通の魚では包丁をすっと引けるものが、ふぐの身は非常に硬いので、包丁を引く時にグッと押し付けるようにしますので〝しなり〟が必要となります。一方「柳刃包丁」は一切〝しなり〟ません。
「鱧(はも)切り包丁」は鱧専用の包丁です。この包丁は厚味と重味があります。鱧には軽い方が良いのではと思われるかもしれませんが、この重味で鱧の皮一枚残して骨を刻みます。これは鱧の時期の夏場にしか使いません。
※「柳葉包丁」で刺身を切る
刺身用の包丁「柳刃包丁」がなぜ長いかと申しますと、根元から切っ先まで使って押すのではなく、刃先まで自然に引いて切るようにして使うためです。。
そうしますと魚の繊維を潰さずに切ることができ、食感がよく美味しい刺身となります。
刺身の角を立てるには、「柳葉包丁」を引く時にまっすぐ立てて引かず、包丁を材料に対して多少斜めにし、刃の面が見えるように外側に向けて、刃の傾斜に合わせて引くようにして切ります。刃先まで持ってきましたら右に寝かせて、まな板に刺身を寝かせます。
食材にあったそれぞれの包丁をお使いいただくと、より健康的で美味しい料理が出来上がると思います。
髙橋有希
まな板の使い方
〈安全に衛生的に使う〉
「まな板の使い方・使い分け方」をご説明します。
まず「まな板」と「タオル」と「包丁」の位置関係です。
「タオル」は右手で「包丁」を持つ人は、右で「包丁」を拭きますので「まな板」の右におきます。
「包丁」は「まな板」に対して、柄を右に刃を向こう側に向けておきます。
これは、とっさに「包丁」を持つ際に刃を掴んでしまったりする危険を避けるため、そして、なんと云っても使いやすいということです。
また「まな板」のは下にタオルを敷いておくと、固定されるので仕事がしやすくなり効率が良くなります。
「包丁」を使う時に、同じ場所ばかりで使っていますと、そこばかりが凹んで「包丁」の刃が当たらなくなってしまいます。
同じ場所だけでなく、「まな板」のいろいろな場所で「包丁」を使うようにしますと、減りも少なく長持ちするようになります。
よく家庭用の「まな板」の両面に〝魚と肉〟や〝野菜〟のマークが書いてあるものがありますが、そうのように使い分けをすると衛生的によろしいと思います。
レストランや料理屋では、衛生面から肉・魚・野菜・フルーツそれぞれに専用の「まな板」を用意して使ったりしています。
ご家庭では〝肉と魚〟〝野菜とフルーツ〟のように使い分けると良いでしょう。
「まな板」を使った後は、漂白剤などで消毒してもらえると衛生的にお使いいただけます。
髙橋有希
本当に大切な味見
〈味見の仕方・大切さ〉
「味見の仕方大切さ」をご説明したいと思います。
料理のレシピ本に書いてあるレシピ通りに作っていただいても、自裁自分で作ってみたときに、少し濃いなとか、薄いなと思うことがよくあります。
それは、作る人によって火加減が違ったり、多少時間がずれていたりして、人それぞれ解釈の仕方が違いますので、レシピ通りに作っても味付けはバラバラになります。
最終的に自分の好みにすることが大切になります。
実際味を見る際に私は、昔ながらの〈盃/さかづき〉で味をみます。
味見をするときに、味の濃いものや辛いもの、渋いものなどを食べると、舌がマヒしてしまって、味が今ひとつわからなくなる時があります。
そういう時には、口をゆすいだりとか、水を飲んだり、お茶を飲んだりしながら味をつけると味見をしやすくなります。
また、ひとつの味ではなくて色々な味を覚えておくと、味付けがしやすくなりますので、外食をする時などにそのように意識をして食べるとよろしいと思います。
料理の本などに調味料の分量が比率で載っていることがありますが、比率で覚えるととても簡単に味を付けることができます。
例えば、「筑前煮」なら_出汁16:濃口醤油1:みりん1で、16・1・1と覚えておけば、16の割合の出汁で具材をヒタヒタにした鍋に、醤油とみりんを1・1の割合で入れて煮詰めていけば「筑前煮」になるのです。
「ぶり大根」_出汁16:濃口醤油1:みりん2
「親子丼」_出汁3.5:濃口醤油1:みりん0.5~0.8
「天ぷらのつゆ」_出汁4:濃口醤油1:みりん0.5
市販で売られる天つゆなどを買わなくても、昆布出汁などが冷蔵庫にストックされていれば簡単に美味しい料理を作ることができます。
ただし、比率といってもあくまでも目安ですので、味見をすることが大切になってきます。
目安の比率で合わせた時に、自分の好みにするために味見をしてチェックをして仕上げれば、大変美味しい料理になります。
一番大切なことは、素材の味を知っておくことだと思います。
例えば〝カブ〟の味を知っておけば、〝カブ〟本来の持ち味を引き出すことができます。
少ない調味料で素材の持ち味を引き出す、そういった料理を召し上がることによって、自然に料理が薄味となりますし、また健康にも繋がると思います。