本来〈節句〉と〈節供〉は同じ意味でしたが、〈節句〉は1月7日の「人日」、3月3日の「上巳」、5月5日の「端午」、7月7日の「七夕」、9月9日の「重陽」の五節句のその日そのものを、〈節供〉は節句の日に供される供物を指すようになりました。
供物は、節句の日に神に捧げ、神と共にいただく料理であり〈御節料理〉とも呼ばれました。
〈御節料理〉には、五節句の「人日の七種粥」「上巳の桜餅・白酒」「端午の粽・柏餅」「七夕の索餅」「重陽の菊花酒」の他に、正月の膳や雑煮、小正月の小豆粥、10月の亥の子餅などもあります。
これが、江戸時代頃から〈おせち〉として正月に歳神様に捧げ、共にいただく供物/料理を指すようになりました。
正月は本来、家を清め家族で静かに歳神様を迎えるという年中行事です。
縁起の良い「御節料理」で新しい年をお迎えください。
節供料理
節句と節供

くわい
たくさん芽が出ますように
くわいは上から芽が出ていることから、
出世を願う気持ちを込め、おせち料理に入れられる食材です。
何度か茹でこぼしてアクを取り除きながら、芽が折れないよう柔らかく煮ます。
甘い飴をからめることで、独特のほろ苦さが引き立ちます。
日本料理「山さき」
山﨑美香 料理長「江戸のおせち料理 くわい」
独特のほろ苦さと、ホクホクとした食感を楽しんで▲画像をクリックすると料理塾のレシピへ移動いたします
さわら西京焼き
新春に春告げる魚_鰆
さわらは春を告げる魚、
さらに出世魚であることから縁起が良いとされています。
甘い西京みそで漬け込むことで香ばしく焼き上がり、冷めても美味しく、
なおかつ日持ちもするので、お正月料理にはうってつけ。
日本料理「山さき」
山﨑美香 料理長「江戸のおせち料理 さわらの西京焼き」
淡泊なさわらに白みその風味をうつし、香ばしく焼き上げます▲画像をクリックすると料理塾のレシピへ移動いたします
八つ頭
子だくさんの子孫繁栄
頭に八の字がつくことから「出世」を願ったり、
たくさん子芋がつくことから「子孫繁栄」を願ったりと、
縁起食材としておせち料理に入れられる八つ頭。
切り方を知れば、調理は簡単です。
だしは入れず、しょうゆと砂糖だけで煮ることで、八つ頭本来の上品な味わいが活きます。
日本料理「山さき」
山﨑美香 料理長「江戸のおせち料理 八つ頭」
だしは使わず甘辛く煮しめ、八つ頭本来の美味しさを堪能します▲画像をクリックすると料理塾のレシピへ移動いたします