「山さき」
山﨑美香
独特のほろ苦さと、ホクホクとした食感を楽しんで
口伝
江戸のおせち料理 煮しめ/くわい
「くわい」は、芽が出ていて〝目出度い〟と縁起が良いものとして、一年を通して〝目が出ます〟ようにという願いも込めて、おせち料理に使われます。
くわいの処理
「くわい」の皮を剥きますが、まずお尻をまっすぐ落とします。
次に六角形に剥きますが、まっすぐ自分の方に向けて、かなり思い切って包丁を入れ芽の手前のところで包丁を止めていくと、大体六角形になります。
「くわい」は、アクが強い野菜なので厚めに皮を剥くことと、中が傷んでいることもありますので、多めに数を用意するようにしてください。
「くわい」がスッポリ隠れるくらいの大きめの鍋に水をたっぷり張って、下茹でをしてアクを取ります。
アク取りをしながら茹でますが、結構次から次にアクが出てきます。
アクを2回から3回取り除いたら、水に取り出します。この時、芽の皮が剥けたりしますので剥いたり、軸のところに泥がついていたら取り除き、アクのヌメリを流したりして、「くわい」を綺麗にします。
これをまた鍋に入れて下茹でを繰り返します。
3回くらい下茹でをすると、アクが抜けて良い感じに火が入ると思います。
茹でた後の「くわい」には、アザが出て色の悪い部分があることがありますので、これを取り除きます。
この時にお尻を薄く切って味見をしてみて、火の入り具合やアクの抜け具合を確認してください。
煮しめる
〝お煮しめ〟というのは、鍋の煮汁がなくなるまで〝煮しめる〟という意味ですので、中に入れる具材の分量とお鍋の大きさの間というのは結構重要です。
鍋が大きすぎると味が入る前にお汁がなくなってしまいますし、上手に煮汁を含ませることが難しいので、必ず具材が鍋底に一列に並ぶくらいの調度良いサイズの鍋をお使いください。
鍋に「くわい」が隠れる程度の「水」を入れて火をつけて「酒」を入れ、クワイの中まで火を通します。
「くわい」に縦にヒビが入ればしっかり火が入っている証拠になりますので、ここで「砂糖」と「みりん」を加えます。
キッチンペーパーや経木で落し蓋をして、煮汁が1/3の分量になるまで煮てください。
煮汁が1/3になり味が沁みているようでしたら、「醤油」を加えて煮詰めていきます。
「醤油」はご自分のお好みで、味をみながら調整してください。
火加減は中火よりは少し弱火で、煮汁がふきこぼれない程度に調節しながら、煮汁が無くなるまで煮しめます。
煮汁が飴状態になると、落し蓋を押し上げてきます。煮こぼれない程度に様子を見て、鍋を振ったり、落し蓋をずらしたりして煮しめます。
「くわい」は、水分を吸うようなイモ類のような野菜ではないので、煮汁を「くわい」自体が含むということはありません。
飴を絡めるような出来上がりになるのが「くわい」の煮しめになります。
良いテリが出てきて煮汁が詰まったところで出来上がりです。
ほろ苦くて独特の旨味がありますので〈くわいの煮しめ〉ぜひ作ってみてください。
材料〈作りやすい分量〉
材料 |
くわい 10~12本/酒 大さじ3/砂糖 大さじ4/みりん 大さじ3/しょうゆ 大さじ1 |
作り方
① くわいは芽の先端を切り落とし、底が平らになるよう少し切り落とし、皮を六方にむく。
② くわいの芽を上に向けて鍋に並べ入れ、水をかぶる程度注いで強火にかける。沸騰したら中火にし、2~3回アクを取り除く。水を張ったボウルにくわいを引き揚げ、アクを洗い流す。
③ これを2~3回繰り返し、下の方を削って味見して、柔らかくなっていれば次の工程に移る。アザのような変色した箇所があれば、削って取り除く。
④ くわいがぴったり並べ入れられる浅めの鍋に③を入れ、酒と水をひたひたに注いで中火にかける。煮立ったら砂糖、みりんを加え、弱めの中火にし、経木(または紙蓋)を被せてじっくりと煮る。
⑤ くわいの実が煮汁から顔を出したら、しょうゆを加える。強めの中火にし、汁気がほぼなくなるまで煮る。バットに移し、そのまま冷ます。
◆煮汁を詰める際は、飴を絡めるようなイメージで、焦げないよう注意する。
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