野﨑洋光
和食の鰹節と昆布の出汁がとてつもなくレベルの高いものだと信じていらっしゃる方がいますが、実は日本の出汁は、世界で一番簡単に取ることのできる出汁です。
沸いたお湯(ポットのお湯でも構いません)1リットルをボウルの中に入れます。お湯をボウルに入れましたら約5グラムの昆布と鰹節10グラムを入れます。
鰹節はプロの料理人よりも少なくて大丈夫です。
なぜ、ボウルにお湯を入れるかと申しますと、沸騰したお湯をボウルに入れることで温度が出汁をとるのに最適な80度くらいになるからです。
この80度のお湯の中に鰹節と昆布を1分間浸すだけで出汁が取れます。
お湯の温度80度以上で出汁を取りますと、旨味も出ますが、えぐみと渋みも出てしまいます。
高級なお茶を飲むときに、お湯を湯冷ましに入れてから急須に注いで煎れるようにするのと同じことです。
この、80度のお湯に鰹節と昆布を1分浸すというのが「基本の出汁」の取り方です。
1分すぎたら濾しますが、この鰹節と昆布を使ってもう一度出汁をとることができます。
濾した鰹節と昆布をもう一度ボウルに入れて、今度は500ccのお湯を入れて5分おきますと、さらに一番出汁を取ることができます。
都合1.5リットルの一番出汁が取れることになります。
この出汁の良さは、匂いを嗅いでみると鰹節のツンという強い香りではなく、美味しいという匂いがすることです。
鰹節はたくさん使えば良いということではなくて、ほどほどに使うということが大切です。
さらに出汁を取った後の鰹節と昆布を刻んでから、汁気をよく絞ってポン酢に浸けておくと、これを茹でたほうれん草や小松菜、春菊などと和えて一緒に食べれば、食材を無駄なく使え、エコにつながり、楽しく料理をすることになります。
和食料理人 野﨑洋光 「だしの取り方」