夏の滋養をフレンチで
令和元年の「土用の丑の日」は7月27日土曜日です。土用の鰻ならぬ「土用卵/どようたまご」のフレンチ編です。
土用の丑の日
むかしから立秋前の18日間を「夏の土用」と呼び、特にこの期間の「丑の日」には夏バテしないように、滋養豊かな食物を食べました。
土用の食物として有名なのは何と言っても〝鰻〟ですが〝土用餅〟〝土用蜆(しじみ)〟〝土用卵〟というものがあります。
土用餅
かつて京の公家には「夏バテ防止として、土用の入りにガガ芋の葉汁で作った丸餅を味噌汁に入れて食べる」という習慣がありました。
これが、江戸時代の中期頃より、庶民も餅を小豆餡に包んだ〝あんこ餅〟を食べるようになり現在にまで続いています。
土用餅は「力持ち(力餅)」「餡の小豆は厄除け」に通じるため、夏を息災に過ごすことができると考えられました。
※小豆の赤色は厄除けになると、古くから神事・儀式などの供物として用いられました。
土用の丑の日に「土用餅」を食べるという習慣は、今でも関西(京都)や北陸地方(金沢)を中心に残っており、関東でも老舗の和菓子店などで販売されます。
土用蜆/どようしじみ
「土用蜆は腹薬」と云われて、〝蜆〟は土用に食べられていました。
蜆は「土用蜆」と「寒しじみ」と云われるように夏と冬の2回旬があります。
蜆には、良質のたんぱく質とグリコーゲン、アミノ酸のタウリン、ビタミン群が豊富に含まれており、その栄養素は貝類の中でも群を抜いています。
また別名「生きた肝臓薬」とも呼ばれて肝機能の修復効果に優れているほか、貧血予防、疲れ眼、利尿の促進、免疫力アップなどの効能があります。
日本人は長い間、盛夏の「土用の丑の日」に旬の蜆から滋養を得て、夏バテ対策としていました。
土用卵
良質なタンパク質を含む〝卵〟は、古くから安くて身近な食材です。
加熱前は液体なので、出汁や牛乳、豆乳、調味料などと混ざりやすく、幅広く活用できます。生で食べるほか、蒸す、焼く、煮る、揚げる、と日本料理の「五法」の通りに尽きなく展開できます。
日本人は「土用の丑の日」に、夏に負けないために滋養ある卵を頂いていました。
今回は〝土用卵〟の料理といたしまして、日本料理ではなくスランス料理「神宮前/エックス山下敦司シェフ」のメニュー「卵と生ハムコンソメゼリー寄せ/トリュフの香り」と「ウフミモザ」の二品をご紹介いたします。
フランス料理「AIX:S エックス」
山下敦司 シェフ「卵と生ハムのコンソメゼリー寄せ」
澄んだコンソメが宝石のようなゼリー寄せ
フランス料理「AIX:S エックス」
山下敦司 シェフ「ウフミモザ」
簡単・可愛いおもてなし!フレンチ定番のたまごサラダ