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  2. 春中華

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  7. 雑煮 三題

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  9. 江戸のおせち弐山﨑美香

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  11. 髙橋雄二郎のソース

  12. 音羽創のソース

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  8. 閉塞冬成 ローズマリー編

  9. 金盞香 水菜編

  10. 楓蔦黄 キャベツ編

  11. 水始涸 舞茸編

  12. 霜始降 木耳編

  1. 料理人街

  2. 日本料理 Japanese

  3. フランス料理 French

  4. イタリア料理 Italian

  5. 中華料理 Chinese

  6. 韓国料理 Korean

  7. ベトナム料理 Vietnamese

胡麻豆腐

「胡麻豆腐」は、弘法大師(空海)が約1200年前に開いた高野山で、厳しい修行の中で食べる精進料理の一つとして生まれたといわれています。
「豆腐」となっていますが、豆腐の形状から付いた名で、大豆を原材料とする豆腐とは異なりごまと葛粉を原料とします。

由来

「ごま」は非常に栄養豊かな食品で、その昔、中国では薬として重宝されていました。遣唐使として中国に渡った弘法大師がこれを高野山に持ち帰り、日本で栽培をはじめたとされています。
肉や魚を使わない精進料理はたんぱく質が不足しがちになるため、良質のたんぱく質を含むごまを食べて栄養を補っていたと見られます。

この「ごま」の栄養を効率よく摂取するために考えられたのが「ごま豆腐」で、ごまを煎らずに生のまま皮を取り除き、高野山の水と吉野葛を合わせてすり鉢で練り上げて炊き上げます。
1697年に発刊された「和漢精進料理抄」に記されている「麻豆腐」が起源との説もあります。
昭和に入ると、高野山のお土産として一般に広く知られるようになりました。
現在は、和食の定番料理のひとつになっています。

栄養素と保存

【栄養素】
使用するごまの量によって各栄養素の含有量に違いはありますが、脂質にはオレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅なども含みます。
また、強い抗酸化作用のあるセサミンなどのゴマリグナンを含んでいるため、コレステロール値の低下や免疫力の向上、がん予防、肝機能強化などの効果が期待できます。
【保存】
高温加熱殺菌してある未開封の市販品であれば、常温で保存し、食べる1~2時間前に冷蔵庫で冷やします。それ以外は冷蔵庫で保存します。
手作りごま豆腐の保存期間は、2日程度です。

今回の〝シェフの知恵〟では、野﨑料理長に葛粉や片栗粉ではなくゼラチンを使って家庭でも「胡麻豆腐」が簡単に作れる方法をご紹介いただきます。

 

胡麻豆腐の黒蜜がけ/野﨑洋光料理長

 

ごま豆腐と黒みつを手作りします

胡麻豆腐のデザートを作ります。
本日は葛粉や片栗粉を使うのではなくて、ゼラチンを使って固めます。
ゴマを練りこんだり葛粉を使った伝統な胡麻豆腐を作るのは、プロの調理人でも大変な仕事になります。
胡麻を練り込みすぎて胡麻本来の風味を落としてしまったりします。
伝統的な胡麻豆腐の作り方は、江戸時代には片栗粉がなかったため葛粉を使い、明治時代には冷蔵庫がなかったためゼラチンが使えなかったということです。
新しい感覚として、胡麻の中にゼラチンを入れて伸ばし固める方法、アーモンドのブラマンジェと同じ方法で胡麻豆腐を作ることができるとおもいます。
ブランマンジュblanc manger_〝白い食べ物〟という意味で、牛乳を砂糖・洋酒・生クリーム・バニラ等で風味付けしゼラチンで固めた冷菓。
簡単に作って同じ食感を味わうことはできるのであれば、こういう方法も良いのではないかということでご紹介します。

ごま豆腐を作る

「豆乳」を鍋に貼り「水」で割ります。
ここに砂糖を入れて煮溶かします。
「豆乳」は60度以上の温度にならないようにします。


温度を上げてしまうと「豆乳」が凝固して表面に膜を張ってしまいます。
「砂糖」が煮溶けましたら、水でふやかした「粉ゼラチン」を加えて生地を作ります。


「豆乳」を使う理由は、〝だしの素〟となるためコクが出て昆布を使って出汁をとる必要がなく、豆腐という名称も使うことができます。
「生地」の粗熱を取り、ボウルに入れたゴマペーストと混ぜ合わせます。
「生地」は一気に入れるとダマになりますので、少しづつ入れながら混ぜます。


混ぜ合わしましたら〝流し缶〟に流し入れますが、表面に気泡ができることがありますので、その場合はライターの火などで炙れば消泡することができます


流し缶を冷蔵庫に入れて冷やし固めます。

黒みつ作る

鍋に「黒砂糖」を入れ、味のしつこさを緩和するために「上白糖」を加えてから、「水」を入れて、火を点けます。


さらに黒砂糖のクセを取るために「酢」を加えます
「黒みつ」は常温で置いても傷むことはありませんので、多めに作って楽しんでいただくことができます。
料理のコツの中に、苦味と酸味を加えることによって味のバランスを取るというものがあります。
例えば小豆の中に塩を入れることによって甘みが益すと言われますが、これは塩の苦味を入れることによって小豆の旨味を引き出すということです。
今回も同様に、「酢」を加えることにより、すっきりとした口離れのバランスの良い「黒みつ」に仕上げることができます。


「黒みつ」が湧いてきましたらアクが出てきますので、これを軽くすくって取り除きますが、「黒砂糖」からはアクがとめどなく出ますし、これはミネラル分でもありますので、神経質に完全に取り除かなくても軽くで結構です。


2割ほど「黒みつ」の分量が減りましたら「水飴」を加えて混ぜ合わせ、粗熱を取りましたら出来上がりです。

盛り付け

冷やし固めた「胡麻豆腐」を流し缶から切り出して、器の大きさに合わせて切り分けます。

器に切り分けた「胡麻豆腐」を盛り、季節のフルーツを添えて「黒みつ」をかまわせば来上がりです。
また、添えます葉の飾りは、秋でしたら赤いもみじの葉、春でしたら青もみじの葉、夏には竹の葉など季節のものをあしらいます。

薄口醤油で作った餡などをかければ、おかずの料理となりますのでお試しください〈胡麻豆腐の黒みつがけ〉の完成です。

4人前 豆乳 (成分無調整) 200m l/水 200ml/砂糖 20g/粉ゼラチン 8g/練りこま(白) 50g
く黒みつ>水  200ml /黒砂糖(粉末)250g/ 砂糖 100g/水あめ 45ml/酢 大さじ1
好みのフル ーツ (いちこなど) 適置

日本料理「分とく山」
野﨑洋光料理長「胡麻豆腐の黒蜜がけ」