夏バテに効く
小満の初候_「蚕起桑食/かいこおきてくわをくう」この時候に「さや隠元/さやいんげん」をいただきます。
蚕起桑食_5月21日から5月25日
蚕起桑食_蚕が起きて桑の葉を食べだす頃です。蚕棚では昼夜を問わずワサワサと蚕が桑を食べる音が聞こえます。やがて、糸を吐き自分の身を包んで繭となります。
インゲン豆を日本にもたらしたのは、江戸中期に京都の宇治に黄檗山(おうばくさん)萬福寺(まんぷくじ)を開き黄檗宗開祖となった「隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師」で、豆の名は禅師から取られました。
隠元禅師はインゲン豆の他に西瓜(すいか)・蓮根(れんこん)・孟宗竹(たけのこ)も日本にもたらしたとされています。
萬福寺を訪れると、禅寺特有の龍の背を模した参道の先には寺の玄関「天王殿」が、そこでは金色の布袋さまが鎮座して参拝者を迎えてくれます。
「布袋さまは七福神の中で唯一、実在の人物といわれています。いつも大きな袋をかついで国中を旅していたことから、いつしか〈布袋〉と呼ばれるようになりました。布袋さまは各地を行脚し、訪れた先々でたくさんの貧しい人々に出会いました。そして人々に救いの手を差し伸べ、袋の中から必要な物を与えました。」(黄檗山萬福寺HPより)
膨よかな顔と体型に贈り物をたくさん入れた袋を担いだ姿は、そう、仏教界のサンタクロースです。
さや隠元_夏の皮膚や毛髪の健康維持に
マメ科。隠元豆が成熟する前の若いさやのこと。原産地はメキシコなど中央アメリカで紀元前から食されていたという古い野菜。日本へ渡来したのは江戸時代中期、中国の高僧「隠元」がもたらしたとされ、この名前となった。一年に三度も収穫できるため「三度豆」と呼ばれ、地方によっては「五月ささげ」、中国では「菜豆」「四季豆」などの呼び名がある。
【選び方】緑色が鮮やかでみずみずしく、先端までピンとして全体に張りがあると新鮮。ポキンと折れるようならなお新鮮。
【旬の時期】ハウスものが多く一年中出回るが、本来は6月から9月でこの時期には路地ものも出回る。
【産地】全国各地で作られるが、千葉県、北海道、鹿児島県が主産地。
【保存の方法】夏場は冷蔵庫に保存するが、低温に弱くすぐにしなびてしまうので、たくさんある時は固めに茹でて冷凍保存に。
【栄養】豆類特有のタンパク質とβカロテンやビタミンB1・B2・B6・C、ミネラル類、食物繊維を含む。エネルギーの消費が増える夏場の時期に、スタミナ供給源として積極的に摂りたい野菜のひとつ。夏にダメージを受けやすい皮膚や毛髪の健康維持にも効果を発揮。
以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より
料理事例のレシピは、古賀純二シェフ「野菜のテリーヌ」などをご参考ください。