「きりぎりす」か「こおろぎか」
寒露の末候_「蟋蟀戸に在り/きりぎりすとにあり」 この時候の旬菜「薩摩芋/さつまいも」をいただきます。
蟋蟀戸に在り_10月18日から10月23日
秋が深まり、野の蟋蟀が家の戸口で鳴いているという、ほんわかとした情景が思い描かれますが、
ここで「蟋蟀」には「きりぎりす」と送り仮名が添えられているのですが、パソコンで変換してみてもお分かりのように、実際には〈こおろぎ=蟋蟀〉〈きりぎりす=螽斯〉という漢字に変換されます。
むかしは、〝こおろぎ〟は〝きりぎりす〟と呼ばれ〝きりぎりす〟はそのギーッチョンという鳴き声から〝機織り〟と呼ばれていたと云います。
その名残りなのか、この候では「蟋蟀」と書いて「きりぎりす」と読ませます。
また、この虫は、ギーッチョンと鳴く蟋蟀ではなく、鈴のような音色を響かせるツヅレサセコオロギだという説もあります。
〝松虫〟と〝鈴虫〟も昔は名前が逆だったということです。
_秋の夜長に悩むことは尽きぬようです
薩摩芋/さつまいも_ビタミンの宝庫
ヒルガオ科。原産地は中央アメリカで、紀元前から食べられていた。日本へは16世紀に中国経由で琉球、長崎、薩摩に伝来、名前は、江戸時代に薩摩藩(鹿児島県)の種芋を関東に植えたことから、料理店では今も、薩摩藩の紋章から「丸十」と呼ぶ。痩せた土地でも育ち、米や麦が不作の時の救荒(きゅうこう)食物にもなる。北限は関東であったが、近年では東北でも栽培されている。紫芋やオレンジ芋など、カラフルな薩摩芋も人気で糖度の高い品種も増えている。
【選び方】皮の色が鮮やかで、ひげ根のないものを手首の太さ程度が最良
【保存方法】少量なら新聞紙に包んで冷暗所に、温度が低すぎると低温障害を起こすので冷蔵庫には保管しない
【旬の時期】9月から11月が旬で、それ以外のものは貯蔵もの
【産地】鹿児島県がダントツで、茨城県、千葉県なども、鹿児島県の種子島には「種子島紫いも」「安納いも」徳島県には「鳴門金時」がある
【栄養】炭水化物が多く、ビタミンCは芋類でトップ。βカロチンやビタミンE、食物繊維、カリウムも豊富
以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より
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