スタミナ野菜の代表格
立秋の次候_「寒蟬鳴/ひぐらしなく」この時候に「オクラ」をいただきます。
寒蟬鳴_8月12日から8月16日
寒蟬鳴_京都五山の〝送り火〟も終わり、カナカナカナと夕まぐれにヒグラシが、もうすぐ夏の終わりが来ると鳴く時候です。
旧暦の八月十五日(新暦では九月中旬)には、各地の八幡宮の祭礼として放生会(ほうじょうえ/私の郷里の福岡では〝ほうじょうや〟と言います)が行なわれます。
この日は、捕えた生き物を放って故人の冥福を願う殺生戒の儀式が行なわれます。
江戸時代、放生会の日には橋の上やたもとに、放すための生き物の亀や鰻、鳥(種に雀)売りの物売りが出て、人々はそれらを買い求めて、橋から空や川に放しました。
中でも、江戸で売られた鰻は、関東の方言で〝めそ〟と呼ばれる細くて小さなものでした。
小さな〝めそ〟は高い橋から川に放たれると、水面に打ち付けられた際に死んでしまったそうです。
「殺生戒のために放った生き物が、そのために死んでしまう」これを本末転倒といううのでしょう。
オクラ_糖尿病予防に効果あり
アオイ科。アフリカ大陸が原産で、エジプトでは二千年前から栽培していた記録があり、古くから食用とされていた。日本には幕末に渡来するも、普及したのは1970年代になってから、鮮やかな緑色で、輪切りにすると断面が星型になるのが愛嬌。旨味が濃く、刻むと粘りが出る。生でも食べられるが、さっとゆでた方が独特の青臭さが和らぐ。
【選び方】緑が鮮やかで、産毛が密生しているもの。ヘタの部分に黒ずみがなく先端に張りがあるものが新鮮。大きいものは固いことが多いので、7cmから8cmの中小サイズのものを。
【保存方法】ラップに包んで冷蔵庫保存。すぐに食べない場合は、固めに塩茹でして冷凍保存がベスト。
【旬の時期】ハウス栽培が盛んで一年中出回るが、旬は7月から9月。
【主な生産地】鹿児島県、高知県、沖縄県など暖かい地方で栽培。関東では群馬県も。
【栄養】炭水化物が多いほか、βカロテン、ビタミンC、ミネラルなどを多く含む。独特の粘り成分はペクチンやムチンの水溶性食物繊維で整腸効果のほか、血糖値の上昇を抑え、悪玉コレステロールの吸収を妨げる。糖尿病の予防にも有効とされる。
以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より
料理事例のレシピは、田村涼介シェフ「卵とトマトの酸辣湯(サンラータン)」、髙橋有希料理長「とうもろこしの冷製スープ」「モロヘイヤのお浸し」、鈴木珠美シェフ「茹で野菜のごま塩ピーナッツ」などをご参考ください。