火の入れ方
塊り肉に火を入れる場合、最初に強火で焼き色をつけてから旨味を閉じ込めてから、オーブンに入れてローストするというのが一般的に云われています。
色々な考え方があると思いますが、私の考え方としては、タンパク質に火が入るというのが60度を超えて66度くらいで、これ以上になると水分が抜けていくというイメージで、肉を焼きます。
最初に焼き色を付けると、そこからどんどん火が入ってしまって、水分が抜ける可能性があります。
私は、最初に焼き色を付けずに、ゆっくりゆっくり火を入れながら、中心温度が60度手前まで焼いて、最後に強火で焼き色を付けることによって、中の筋を断ち切るような、歯切れの良いジューシーでしっとりとした肉になるように、いつも心がけて焼いています。
基本的なローストのやり方として、このように考えています。
厚めの脂で覆われている豚の塊肉の場合、強火で焼いて休ませるというのを繰り返す場合もありますが、赤身の牛肉の場合などは、理論的にはゆっくり火を入れ最後に強火で焼いて水分の喪失を最小限に抑えるという焼き方に違いはありません。
ただ脂のサシが多い和牛はこの焼き方に向いていません。
肉の中にタンパク質よりは脂肪分が非常に多い和牛などの場合は、短時間で強火で油を落としながら香ばしさを強調させてコントラストを出した方が美味しくなります。
野菜でも魚でも、塊のものに火を入れるという調理の場合は、水分を逃さずに中に含ませたままゆっくり火を入れることで、旨味成分であるとか栄養成分が放出されにくいということが云えます。
ゆっくり火を入れていくことが健康にも繋がると思います。
髙橋雄二郎