「南青山エッセンス」
藪崎友宏
サクサク、ホクホク。異なる食感が楽しいボリューミーな野菜煮込み
口伝
れんこんとゆり根の里芋くずし煮込み
里芋を蒸してそれをくずして煮込んで、片栗粉などを使うことなく里芋の粘りだけで一つの料理にまとめます。
中国の伝統的な家庭料理のひとつです。
食材の調理
「れんこん」は、タワシなどで周りをよく洗って皮を落とします。
端の節の部分を落とします。
ちなみに、れんこんの端の部分を乾燥させたものは〝藕節(ぐうせつ)〟と呼ばれ、漢方の生薬となります。
食材としては美味しくないので使いませんが、蓮(れんこん)は、蓮の葉、蓮の実など色々薬膳食材となっています。
「里芋」は、くずしながら煮込みますので、六方や八方などのように綺麗に剥く必要はありません。
「れんこん」「里芋」を強火で30分ほど蒸します。
蒸した「里芋」は4から8等分に、「れんこん」は、粗熱をとってひと口大に切ります。
「干しエビ」は「紹興酒」なければ日本酒を少し入れた水に15分ほど浸して戻します。水気を切りみじん切りにします。
「ゆり根」は、芯の部分を切り抜くと外側から1枚ずつ剥がすことができます。
「ゆり根」は、ユリ科の植物の球根ですが、これも薬膳料理にはよく使われる食材で、これを乾燥させたものは〝百合(びゃくごう)〟と呼ばれる漢方薬となります。
「ゆり根」をほぐしますと、黒い部分や茶色い部分がありますので、それらを取り除いて同じくらいの大きさに切り揃えます。
「ねぎ・にんにく・生姜」はみじん切りにします。
「にんんく・生姜」はみじん切りにする前に包丁の背で叩いて、繊維を潰して香りを出してからみじん切りにしていただくと、炒めたときに大きい粒は食感として残り、小さい粒は旨味となり美味しさにつながります。
擦り下ろされたものを使うのではなくて、なるべくご自分でみじん切りにするようにしてください。
色味付の「万能ねぎ」は小口切りにします。
煮込む
中華鍋は油ならしをしてから、火を止めます。
「ねぎ油」を入れ「にんにく・生姜」を弱火で炒めます。
香りが出てきましたら「干しエビ」を加えて弱火で炒めます。
「干しエビ」を入れることによって本格的な中華料理の味を出すことができます。
この時「にんにく・生姜」の香りを「干しエビ」に纏わす感じで炒めます。
次に「紹興酒」「中華スープ」を加えたら強火にします。
ここに「れんこん」「里芋」を入れます。
「里芋」から出るとろみで濃度をつけていきたいので、里芋をオタマの頭で叩いてくずしながら煮込みます。
「塩・胡椒・きび砂糖・オイスターソース」を入れて味付けします。
「中華スープ」を加えながら、里芋からとろみが出るまでじっくり煮込みます。少しとろみが出てきたところで「ゆり根」を入れます。
「ゆり根」は火の通りが早いので、早く入れすぎないようにしてください。
「ゆり根」は白っぽい色が透明に変わったら火が通った合図です。
「ゆり根」透明感が出てきて火が通ったら「刻みねぎ」を入れます。
全体的に水分がなくなってとろみに変わりましたら、香り付の「ねぎ油」を入れて出来上がりです。
最後に彩りで「万能ねぎ」を散らします。
色々な食感が楽しめる〈れんこんとゆり根の里芋くずし煮込み〉でございます。
材料〈2から3人前〉
材料 |
里芋 2個/れんこん 1節(50g)/ゆり根 1/2個(50g)/にんにく 1片/しょうが 1片/ねぎ 1/3本(30g)/干しえび 15g/ねぎ油 大さじ1/紹興酒 大さじ2/中華スープ 1-1.5カップ |
〈A〉材料 |
塩 小さじ2/3/こしょう 少々/きび砂糖 小さじ2/3/オイスターソース 大さじ1/2 |
〈仕上げ用〉材料 |
小ねぎ 1-2本/ねぎ油 小さじ1 |
作り方
【下準備】
・にんにく、しょうが、ねぎはみじん切りにしておく。
・干しえびは紹興酒または酒(少々・分量外)を入れた水につけて戻し、みじん切りにしておく。
・仕上げ用の小ねぎは小口切りにする。
① れんこんは皮付きのまま両端を切り落とす。里芋は皮をむく。よく沸かした蒸し器に入れ、強火で30分蒸す。あら熱が取れたら一口大に切る。
② ゆり根は芯を取り、1枚ずつはがしてばらす。ふちの茶色くなっている部分を切り取り、大きさを切りそろえる。
③ よく熱した中華鍋またはフライパンに油(分量外)をなじませ、火を止めてねぎ油をいれる。弱火でにんにくとしょうがを炒め、香りが出てきたら干しえびを加えて炒める。
④ 紹興酒、中華スープを入れ強火にし、①のれんこんと里芋を加える。里芋を少しくずしながら煮込んでいく。
⑤ <A>の調味料を加え、さらに煮込む。様子を見て中華スープを足しながら、里芋からとろみが出るまで煮込む。
⑥ ⑤にとろみが出てきたらゆり根を加えて煮込む。ゆり根に透明感が出てきたら、みじん切りにしたねぎを加え、水分を飛ばす。
⑦ 仕上げにねぎ油を加え、混ぜ合わせたら盛り付ける。小ねぎを散らして完成。
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