「南青山エッセンス」
藪崎友宏
乾燥しやすい秋に。肺を潤す食材を使ったデザート
口伝
秋の薬膳デザート
薬膳的な考えですと、秋は乾燥の季節と呼ばれていて、五臓六腑で云いますと〝肺〟の季節です。
また、肺と肺の経絡が乾燥によってダメージを受けやすい季節です。
ですから秋には肺を潤す食材を使います。
薬膳は季節と色を大事にするところがあり、秋は白い色がリンクしていまして、白い食材を秋に食べると良いと考えられています。
今回のデザートも白い食材を中心に使って作ります。
シロップを作る
ベースになるシロップを作ります。
「水」に「グラニュー糖」を入れて、泡立て器でよく混ぜて溶かします。
「グラニュー糖」がしっかり溶けましたら「レモン汁」を加えて軽く混ぜます。
白きくらげを蒸す
一晩水につけて戻した「白きくらげ」の硬い部分を取り除き、適当な大きさにちぎり器に入れます。
よく洗った「生姜」を皮付きのままスライスして、器の「白きくらげ」の上に並べます。
器に「シロップ」をヒタヒタになるよりも少し多めに注ぎます。
これを蒸し器で強火で4時間蒸します。
4時間蒸しますので、蒸し器の水が足りなくなりますから、約1時間ごとに確認して水をつぎ足すようにしてください。
蒸しあがった「白きくらげ」はトロトロになっていますが。
4時間蒸さないとこの状態になりませんので、頑張って蒸してください。
梨を蒸す
「梨」の上部を切り落として、中身をくり抜き器でくり抜いて、「白きくらげ」を入れる器にします。
「梨」は肺を潤す白い食材ですので、秋の薬膳食材として「きくらげ」や「杏仁」と共にデザートに使われます。
「梨」は火を通すことで、生とは違った食感を味わえますし、秋に使う潤い系の食材は体を冷やすものが多いので、なるべく温めて食べます。
くり抜いた「梨」を器に入れ、「シロップ」を「梨」がひたひたになるように注ぎます。
研いだ「薏苡仁(よくいにん/はと麦の皮をむいたもの)」を入れて、軽く洗った「杏仁(あんにん)」を加えて、蒸し器で強火で45分蒸します。
盛り付け
器に、蒸しあがった「梨」を置き、中に4時間蒸した「白きくらげ」を入れますが、この時「生姜」は入れません。
「梨」を蒸したシロップをかけます。
最後に色どりで「クコの実」を水で戻したものを添えます。
「クコの実」は、肝臓、腎臓と目に良く、滋養強壮にも効く万能薬膳食材とされます。
体に優しい、肺を潤す〈秋の薬膳デザート〉でございます。
材料〈1人前〉
材料 |
梨 1個/白きくらげ 60 g/しょうが(スライス) 6枚/杏仁 5g/ヨクイニン 5g/クコの実 5粒/水 1.8 L/グラニュー糖 200 g/レモン汁 1個分 |
作り方
① ベースとなるシロップを作る。水にグラニュー糖を入れ、泡だて器でよく混ぜて溶かす。砂糖が溶けたらレモン汁を加える。
② 一晩水に浸けてもどした白きくらげを食べやすい大きさに手でちぎって、器に入れる。
③ しょうがは皮付きのまま薄くスライスして、②の上に乗せる。
④ ③に①をひたひたよりも少し多めに注ぎ入れる。
⑤ 蒸し器に④を入れ、強火で4時間蒸す。途中、蒸し器の水がなったら湯を足す(1時間おきが目安)。蒸しあがったら蒸し器から取り出しておく。
⑥ 梨の器を作る。梨の上部を切り落とし、2~3㎝程度厚みを残しスプーンでくり抜く。
⑦ 梨がまるまる入る位のボウル(器)に⑥を入れ、梨全体がかぶる位 ①を入れる。そこに研いだヨクイニン(はと麦の皮をむいたもの)と軽く洗った杏仁を入れて、蒸し器で45分強火で蒸す。
⑧ お皿に⑦の蒸した梨を乗せ、くり抜いた部分に⑤を入れる。⑦で梨と一緒に蒸したシロップを大さじ4杯程かけて、最後に水でもどしたクコの実で彩りを添えて完成。
※白きくらげはしっかりと4時間蒸し上げることでトロトロになる。
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