「シェ・ イノ」
古賀純二
にんじんのうま味がダイレクトに味わえるピュレから作るスープ
口伝
人参のスープ
昔の人参は香りが強くてこれを子供が嫌いましたが、現在の人参は品種改良がされてどんどん甘くなっていて人参が嫌いという子供がいないくらいです。
日本の人参とフランスの人参の違いは、フランスの人参には昔の日本の人参の名残り、香りがある点です。
本日は日本の甘い人参を使います。
人参のピューレを作る
「人参」に限らず野菜一般に言えることですけれども、野菜の皮にも多くの栄養と香りがあり重要なポイントとなりますので、皮も全部使います。
尻尾の方は輪切りにして、途中から縦に切ってから幅7mmから8mmに切りますが、これ以上薄切りにすると、少し香りが乏しくなるように私は感じます。
ある程度厚切りにした方が「人参」の旨味と香りが残るような気がします。
牛乳で煮込みますので鍋は底の浅い鍋で一気に蒸発させずに、深い鍋でゆっくり蒸発させるという方法を取っています。
鍋に「バター」を入れ、ある程度溶けましたら切った「人参」を入れます。
火加減は弱火で「バター」を焦がさないように火を入れます。
軽く混ぜ合わしましたら「塩」を加え、「人参」に透明感が出るくらいまで炒めます。
好みによりますが、ここで「人参」にしっかり焼き色をつけて香ばしさを強調したりもできますが、今回はビュアな感じでシンプルに風味を出していきます。
今回は「人参」を丸ごと使っていますが、シェフによっては芯の部分を取ってから外側の色の強い香りのある部分をだけを使って炒めて、濃厚な仕上がりにする人もいます。
「人参」に透明感が出てきましたら、「人参」が浸るくらいの分量の「牛乳」を入れます。
火加減を中火にして沸いてきましたら、弱火にします。
穴を開けたキッチンペーパーで蓋をして25分から30分煮ます。
鍋底で焦げやすいので、5分に1回くらいの割合で軽く混ぜ合わせます。
また、途中確認しながら水分が少なくなったら、その都度「水」を足して構いません。
ある程度水分がないとミキサーで撹拌した際にピューレになりません。
鍋の中身が熱いうちにミキサーにかけて約3分撹拌して滑らかにします。
撹拌したものを熱いうちにシノワ(円すい形のこし器)や裏ごし器を使って濾します。
ポイントは、熱いうちにミキサーに入れて滑らかになるまで撹拌することで、そうしないと簡単に濾すことができなくなります。
シノワと裏ごし器はできるだけ目の細かいものをお使いください。
また、この裏ごしの作業をすることで仕上がりの口当たりが大きく違ってきますので、必ず行なってください。
裏ごしが終わりましたら味見をして「塩」で調整します。
このピューレを小分けにして冷凍保存しておけば、ビーフシチューのつなぎ、付け合わせ、肉料理・魚料理と相性の良いソースとなります。
スープを作る
コクが欲しい場合には、コンソメなどの肉系の出汁を加えれば深みのあるポタージュとなりますが、本日は「人参」旨味をそのまま表現したいので、このまま「牛乳」でのばして温かいポタージュスープとしてお出しします。
鍋に「人参のピューレ」を入れて「牛乳」を加えますが、ぎりぎりスープと言えるくらい〝飲む人参〟とでもいったくらいを目指します。
温まりましたら器に盛りつけますが、このまま冷やして冷静スープとしても召し上がれます。
器に盛りつけましたらたっぷりの「クルトン」と「パセリ」を添えます。
「クルトン」は、12枚切りの食パンを棒状に切りさらにキューブ状に切ったものを炒ったものです。
「パセリ」も飾りというよりは、スープの味の一部としてしっかりとかけます。
お好みによって「オリーブオイル」や「生クリーム」を廻しかけてもよろしいと思います。
人参の旨味をしっかりと引き出した〈人参のスープ〉完成です。
材料〈4人前〉
ピューレ |
人参 大2本/バタ- 30g/牛乳 300cc/塩 少々 |
スープ |
ピュレ 適量/牛乳 適量/生クリーム お好みの量/クルトン お好みの量/パセリ お好みの量 |
作り方
【① 人参はよく水洗いし、厚さ1cm程の輪切りにする。太い部分は、半月切りにする。
② 深めの鍋にバタ-を溶かし、カットした人参を入れ、塩をして、ゆっくりと水分が出てくるように炒める。周りがすき透ってきたら、牛乳を注ぎ入れ、落とし蓋をし、弱火で25~30分程煮る。
③ 木べらで押してくずれるやわらかさになったら、ミキサ-でなめらかにする。濃度がつよく回らない時は、牛乳または水を足す。
④ 出来上がったにんじんピュレを牛乳でお好みの味、濃度に伸ばし、お好みで生クリームやクルトン、パセリ等をのせて完成。
※冷やしても温めても、おいしく召し上がっていただけます。
◆冷やしても温めても美味しい