栄養価の高い葉や茎で老化を抑制
寒露の末候_「蟋蟀戸在/きりぎりすとにあり」この時候に「蕪/かぶ」をいただきます。
蟋蟀戸在_10月18日から10月22日
蟋蟀戸在_キリギリスが戸口で鳴くころ。山などに出かけて虫の音を楽しむことを「虫開き/むしびらき」と呼ぶそうです。
今回の蕪を使った料理に「蕪鮨(かぶらずし)」があります。
蕪鮨は、ともに塩漬けした「蕪」と「鰤」を挟み米糀で漬け込んで発酵させた石川県伝統の発酵食品です。
魚と野菜を塩、米、糀で漬け込んだものを「いずし」と呼ます。これは発酵を必要とする〝すし〟の一つです。
「蕪鮨」もこの「いずし」の一種です。「いずし」は東北から北陸の日本海側に分布しています。
「蕪鮨」は、金沢出身の作家〈泉鏡花(いずみきょうか)〉や〈室生犀星(むろうさいせい)〉、禅学者の〈鈴木大拙(すずきだいせつ)〉などにも愛された冬のご馳走で、とにかく日本酒の肴にはこの上ない逸品です。
蕪_消化促進と便秘の予防・改善に
アブラナ科。『日本書紀』や『万葉集』にも載っているほど、古くから食べられてきた野菜。芽吹いたばかりのものが〝春の七草〟の「すず菜」。各地に様々な種類があるが、一般的に出回るのは「小蕪」。各地の固有種には京都「聖護院かぶ」、大阪「天王寺蕪」、新潟「寄居かぶ」、滋賀「日野菜」岐阜「飛騨赤カブ」などがある。
【選び方】葉付きは、葉の緑がみずみずしく、かぶが真っ白で丸く、表面がなめらかで張りとツヤのあるものを、葉を落としてあるのなら、茎の付け根付近が緑色のもの。
【保存方法】根が水分を吸ってしまうので、すぐに葉と根を切り分けて、根はポリ袋に、葉は湿らせた新聞紙で包んでポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室へ。
【旬の時期】一年中出回るが、特に春2月から4月と秋10月から12月が一番柔らかくなる。
【主な生産地】葉が痛みやすく輸送が難しいため、都市近郊が多く、関東では千葉県や埼玉県など。
【栄養】根の部分は食物繊維やビタミンCやカリウム、ジアスターゼを含み。葉の部分はβカロテン、ビタミンC・E、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維の含有量が多い。
以上、野﨑洋光『料理上手になる食材の基本/世界文化社』より
料理事例のレシピは、、髙橋有希料理長「蕪の棒寿司」「野菜(蕪)の浅漬け」髙橋雄二郎シェフ「聖護院かぶのコンソメ」音羽創シェフ「ポトフ」「魚のコンフィ」藪崎友宏シェフ「冬の薬膳スープ」などをご参考ください。