「オトワレストラン」
音羽 創
時短でできる本格コンフィ、少量のオイルでヘルシーに
口伝
魚のコンフィ
〝コンフィ〟というと肉を大量の油でゆっくりに上げていくイメージがあると思いますが、今回は白身の魚を少量の油を使って火を通していこうと思います。
油も本当に少量しか使いませんので体にも良いと思いますし、それでいてコンフィの利点である〝しっとりと仕上り〟〝旨味を逃さない〟という効果がありますので、ご家庭でも活用できるかと思います。
ソースを作る
鍋に「蕪の薄切り(綺麗であれば皮ごと使います)」「水」「日本酒」を火にかけますが、ここで軽く「塩」を振ります。
最後に「塩」をしますと、なかなか味が決まらなかったりしますので、最初に軽く「塩」をしておきますと、何度も味見をしたり、味付けを失敗し辛くなります。
最初は強火で沸いてきましたら弱火に落として、水分が半分になるくらいまで煮詰めます。
10分から15分経って、アクなどを取り除きましたら、ここに「生クリーム」を加え、沸かせます。
これをミキサーにかけて、細かくなるまで撹拌し鍋に戻します。
舌触りが気になる方は、濾すとよろしいですが「蕪」ですので、そこまで気にする必要はありません。
真鯛の調理
切り身の「真鯛」に軽く「塩」をして10分から15分おきます。
この後油の中に入れて火を通しますが、「塩」をしてすぐに油に入れますと、この塩味が油の中に溶けてしまいます。
15分経ちましたら、「真鯛」をチャック付きの密閉袋(100度くらいまで耐えられるもの)に入れて、「オリーブオイル」を「真鯛」にまとわせるくらい流し入れます。
保存袋の空気をできる限り抜いて、チャックを閉じて丸めるように畳みます。
次に70度から80度くらいに温めたお湯を2リットル用意して、これを「炊飯器」の窯に入れます。
水の量が少ないと温度変化が激しくなりますので、ある程度の量を入れるようにします。
「真鯛」に高温で火を入れてしまいますと、白身魚特有のパサつき感が出てしまいますが、オリーブオイルの中で70度くらいでゆっくりと火を通しますと、しっとりと出来上がります。
通常〝コンフィ〟は100度くらいの大量の油の中でゆっくり火を通しますが、今回はご家庭でもしっかりとした火入ができる方法をお伝えしたくて「炊飯器」を使います。
「炊飯器」の保温は70度くらいを保ちますので、この機能を利用して火を入れます。
70度のお湯を入れた窯に、「真鯛」を保存袋ごと入れて、炊飯器の保温スイッチを入れて5分から6分おきます。
6分経って「真鯛」を少し割っていただいて、ほどけるようでしたら火は通っています。
全く割れない場合は、中が生の可能性がありますのでご注意ください。
「真鯛」を優しく保存袋から取り出し、キッチンペーパーなどで油を除きます。
〈盛り付け〉
温め直した「蕪」のソースを器に入れ、その上に「真鯛」をのせます。
お好みで季節の野菜を添えてください。今回は「赤かぶ(あやめかぶ)」「金柑」「食用菊」を散らしました、酸味も加わりさっぱりと召し上がれるかと思います。野菜は生でもさっと火を通してもよろしかと思います。
今回は1人前で火入れをいたしましたが、2人前、3人前の場合は保存袋をそれぞれ分けて火入れしていただくと失敗なく綺麗に仕上がります。
最後の仕上げにオリーブオイルを廻しがけして出来上がりです。
魚を少量の油で湯煎し、旨味を逃がさずしっとり仕上げました〈魚のコンフィ〉です。
材料〈1人前〉
材料 |
真鯛の切り身 1切れ/オリーブ油 適量/塩 適量/金柑 1個分/あやめかぶ 2~3枚/食用菊の花びら 適量 |
〈ソース/5人前〉 |
かぶ(皮をむいてごく薄い輪切り) 280g/水 250ml/酒 150ml/塩 少々/生クリーム(脂肪分42%) 50g |
作り方
・金柑とあやめかぶをごく薄い輪切りにする
① ソースを作る。鍋に生クリーム以外のソースの材料を入れ火にかける。アクを除きながら水分が約半分になるまで中火で煮詰め、生クリームを加える。ひと煮立ちしたら火からおろし、なめらかになるまでミキサーで攪拌して鍋に戻す。
② 鯛に塩を振って10~15分おき、チャックつき密閉袋に入れ、全体にまわる程度のオリーブ油を加えて密閉する。
③ ②を炊飯器に入れ、70~80℃のお湯を2Lほど(分量外。炊飯器によって加減する)注いで5~6分保温状態にして中まで熱を通す(手で身を少し割ってみて、ほぐれるようなら中まで熱が通っている)。
④ 器に③をのせ、温めた ①のソースを適量かけ、金柑、かぶ、菊の花を散らす。
◆魚は平目など生食に向いている白身に代えてもよい。
◆2人前以上作る場合は、②の密閉袋を1人分ずつ分ける。
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