「よだれ鷄」
飯田徹也
牛バラ肉と根菜を佳候醤でいただく
口伝
牛バラ肉と根菜の煮込み
香港ではこの料理の専門店があるくらいポピュラーな料理です。
ほとんどが麺の上に乗せて提供されますが、本日はそのままをご飯と一緒に召し上がっていただきます。
一度に色々な野菜が摂れる面白味と、「牛バラ肉」「大根」「にんじん」の体の免疫に良いとされる食材を使いますので、美味しく健康になる料理かと思います。
食材の下処理
大ぶりに切った「大根」「にんじん」を下茹でします。
30分ほど炊きますので大きめの乱切りの存在感のあるサイズにしてあります。
鍋に沸かした湯にまず「にんじん」を入れその後に「大根」を入れます。
料理のポイントとして、食材の大きさを揃えて切ることで茹で時間が均一になります。
一煮立ちしましたら野菜をあげます。
同じ湯で「牛バラ肉」をボイルしますが、調理の過程で最終的に3分の2ほどの大きさにまでかなり縮みますので、それをイメージしてあらかじめ大きめに切ります。
また「牛バラ肉」の牛脂はが50度の温度で溶け出しますので、沸騰した湯の火を止めて「牛バラ肉」を入れ油を溶かしますが、湯に浸ける時間はサッとで結構です。
煮込むタレを作る
「にんにく」「生姜」「エシャロット/玉ねぎで代用可」を5mm角に切っておきます。
まず最初に香り出しの「生姜」を中火で強めに油で揚げて、キツネ色よりも少し濃い目の色がつくまでカリッと揚げて取り出します。
「にんにく」「エシャロット」も同様に濃い目のキツネ色にカリッと揚げます。
同じ鍋に先ほどボイルした「牛バラ肉」を香りを出すために強火で表面がカリッとするくらいに焼きます。
「牛バラ肉」の両面が焼けましたら、「醤油」「オイスターソース」「紹興酒/日本酒でも可」、「紅南乳※1」さらに「柱侯醬※2/赤味噌で代用可」を入れまとわりつくように絡ませながら中火で炒めます。
※1.紅南乳/ほんなんるう_豆腐を塩と紅麹で発酵させた調味料。肉料理と相性が良くコク出しに使われ、焼豚のタレなどに使われる。本格的な中華料理には欠かせない調味料なので購入をお薦め。
※2.柱侯醬/ちゅうほうじゃん_広東料理でよく使われる味噌で、白味噌、桜味噌、オイスターソース、芝麻醬(ジーマージャン)、にんにく、砂糖、エシャロット、陳皮、八角、沙姜粉(ジンジャーパウダー)を煮込んだもの。
煮込む
ある程度調味料が絡まりましたら「水」を1.5リットルほど加えて、煮汁が沸いてアクが出ましたら取り除きます。
アクを丁寧に取るのが美味しくなるポイントです。
アクを取り除きましたら「砂糖」「たまり醤油」、香りと甘味を出すための香辛料「八角/はっかく」と「桂皮/けいひ」、臭み消しの「ネギの青い部分」を加えます。
さらに先ほど揚げた「生姜」「にんにく」「エシャロット」も加え、アルミホイルなどで落し蓋をしてから強火で1時間煮込みます。
1時間煮込みましたら「青ネギ」を取り出して、ボイルした「にんじん」と「大根」を入れます。
「にんじん」と「大根」は長く煮込むと無くなってしまいますので、時間差をつけて煮込むようにします。
この時点で水分が減っているようでしたらヒタヒタになるように「水」を加えてください。
この状態で30分ほど煮込みます。
付け合わせを作る
「ほうれん草」や青梗菜、小松菜でも青菜でしたら大丈夫ですので、よく熱した鍋に多めの「サラダ油」を入れて「青菜」を強火で一気に炒めてから「中華スープ」を加えてさらに炒め「塩」を入れます。
スープで青菜を〝含め煮〟するようなイメージで火を入れますと、多めの油を入れていますので色鮮やかに炒め上がります。
仕上げ
1時間30分煮込んだ「牛バラ肉」は脂が乳化してとろみと艶が出てきます。
ここに食感と味がしっかりと楽しめるように「水溶き片栗粉」を入れてとろみを加えます。
最後に「ごま油」を回し入れて強火で香りを立たせるように煮ます。
ゴマの香りと牛肉の香りが上がってきたら出来上がりです。
盛り付け
器に「牛バラ肉の煮込み」を盛り、その四隅に「青菜炒め」を置き縁に緑がくるようにします。または煮込みの周りを緑でグルっと一周させてもよろしいでしょう。
最後に「ゆで卵に煮込汁を吸わせたもの」を添えて出来上がりです。
牛バラ肉のしっかりした旨味で根菜を召し上がっていただく〈牛バラ肉と根菜の煮込み〉完成です。
材料〈4人前〉
材料 |
牛バラ肉 (かたまり) l kg大根 1/ 2本/人参 大1本/片栗粉 少々/ほうれん草(ざく切り) 1束/中華スープ 100m l/塩 ひとつまみ/ゆで卵 2個/こま油 少々 |
〈A〉 |
にんにく 20g/しょうが 40g/エシャロット 80g |
〈B〉 |
紅南乳 1個/佳候醤 (※ l ) 40g/しょうゆ 120g/牡蠣油 80g/紹興酒(日本酒でも可) 30g |
〈C〉 |
長ねぎ(青い部分) 1本分/八角 3個/桂皮 2個 |
※ l . 佳候醤(チュウホウジョン)_臼味噌、桜味噌、オイスターソース、芝麻醤、にんくに、砂糖、エシャロット、陳皮、八角、沙姜粉を煮込んだ香港広東でよく使う醤。瓶詰めが売られている。
作り方
【下準備】
・ゆで卵は半分に切る。
・牛バラを大きめに切り、さっと湯通しする。
・大根、人参は乱切りにして、下ゆでしておく。
・ほうれん草を炒め、中華スープと塩を入れ含め煮する。
・にんにく、しょうが、エシャロットは5mm角に切る。
① <A>を油でカリッと揚げる。
② 鍋を熱して牛ばら肉を炒め<B>の調味料を焼きながら香り出し、水、上白糖とたまり醤油を入れて煮込む。
③ ②に<A>と<C>を入れ落し蓋をして1時間煮込む。
④ ③に大根と人参を入れ30分煮込む。
⑤ ④に片くり粉をとろみづけで回し入れる。ごま油も少し垂らす。
⑥ お皿の四つ角にほうれん草、卵を添え、⑤を中央に盛る。
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