「麻布長江香福筵」
田村亮介
柔らかくなめらかな触感の秘訣はピリ辛あんとの相性抜群
口伝
麻婆茶碗蒸し
いつもの麻婆豆腐の豆腐を茶碗蒸しに変えて、趣きの異なる一品にしました。温かくなめらかな茶碗蒸しと、ピリ辛のあんかけが好い相性です。
茶碗蒸しを作る
「卵」をボウルに割り入れましたら、泡立て器で「卵」をよく溶いて、白身のコシを切るように、しっかり混ぜ合わせます。
「卵」のコシが切れていないと、茶碗蒸しの口当たりが悪くなったり、固める時にスが入ったり、いびつな形になってしまいます。
コシを切った「卵」を、こし網やキッチンペーパー、布巾などで濾して、なめらかな口当たりにします。
「卵」の分量を1として、3の分量の「中華スープ/冷めたもの」を用意し、しっかりと混ぜ合わせて、「卵」の旨味と甘味を引き出すための下味として「塩」を少々入れます。
「卵」と「中華スープ」この1:3の比率の分量でフワフワの茶碗蒸しとなります。
混ぜ合わせたものを、泡が立たないように器に静かに注ぎ、気泡があれば、蒸した時にそのまま固まりますので、潰すようにしてください。
※器はこだわりませんが、器によって火の入れ方が変わってきますので、ご注意ください。
器を蒸し器に入れて蒸しますが、揺らさないように静かに入れて、水滴が落ちないようにアルミ箔を被せます。
強火で2分ほど蒸したら、そのあと火加減を落として7分から8分ほど加熱して、蒸し具合を確認して蒸し時間を調整します。
麻婆餡を作る
良い食感を出すために粗めに引いた「豚ひき肉」を、熱して油を引いた鍋に入れてパラパラになるまで炒めます。
いきなり強火で炒めてしまうと、表面だけが焦げてしまいパラパラになりにくいので、初めは鍋の余熱だけで、それから弱火にして炒めます。
「豚ひき肉」ほぐれてパラパラになってきましたら、ここで初めて火を強めて、表面がこんがりし始めるまで炒めます。
これで、柔らかい茶碗蒸しと、カリッと硬い「豚ひき肉」の食感を楽しめて美味しくなります。
火を止めて「豆板醤」「豆豉(とうち)/大豆を発酵させた中国の伝統的な調味料_豆豉醬として市販されている」を加え火を点けて、弱火で香りを引き出します。
強火にしてしまいますと「豆板醤」「豆豉」は焦げてしまいます。
香りが出てきたら、再度火を止めて「中華スープ」を注ぎます。
「中華スープ」は市販のものでも構いませんが、薄めに作りますとすっきりとした味になります。
さらに「醤油」を加え、弱火で1分ほどコトコトと煮て豚肉の旨味を引き出します。
またここで火を止めてから「水溶き片栗粉」を入れます。
この細かい火加減をすることによって上手な中華料理が作れます。
「水溶き片栗粉」でとろみを付けるときは、一度火を止めないとダマになります。
入れるときも一度にドバッと入れてしまうと、入れた瞬間にその場所がダマになってしまいますので、鍋を揺すりながら細く少しずつ入れるようにします。
ここではまだ火を点けていません。
「水溶き片栗粉」を入れ終わってから火を点けます。沸騰してきますとしっかりとろみが付いてきます。
レシピに書いてある「水溶き片栗粉」の分量を、最初から全部入れてしまうと、硬くなりすぎになってしまった時に取り返しがつかなくなりますので、2回から3回くらいに分けながら加えることをお勧めします。
加熱して沸騰してみて、まだとろみが足りないときは、また火を消して「水溶き片栗粉」を加えます。
十分にとろみが出てきましたら「ねぎ」のみじん切りと「花椒粉/中国山椒の粉」を散らして、「麻婆豆腐餡」の完成です。
盛り付け
茶碗蒸しはとても柔らかく仕上げていますので、「餡」をかける時は、上から勢いよくかけてしまうと、せっかくの茶碗蒸しが壊れてしまいますので、優しくかけるようにします。
最後に「香菜」を散らしますが、苦手な方は「ねぎ」などの香味野菜をお使いいただけますと相性が良いです。
ピリリとふわりと体が温まる〈麻婆茶碗蒸し〉できました。
材料〈2人前〉
茶碗蒸し |
卵 2個(100g)/中華スープ(※)(冷ましたもの) 300ml(卵液の2~3倍量)/塩 少々 |
麻婆餡 |
サラダ油 大さじ1/豚ひき肉(粗びき) 70g/豆板醤 小さじ1/豆鼓醤 大さじ1/中華スープ(※) 200ml/しょうゆ 小さじ2/水溶き片栗粉 大さじ1と1/2(倍量の水で溶いたもの)/長ねぎ(みじん) 大さじ2/花椒粉 適量 香菜 適量 |
作り方
① 茶碗蒸しを作る。ボールに卵を入れ、よく溶いて白身のコシをしっかりときってからざるでこす。中華スープと塩を加えて混ぜ、器に静かに注ぐ。蒸気のあがった蒸し器に入れ、アルミ箔をふんわりとかけて蓋をする。強火で2分加熱したら火を弱め、完全に火が通るまで7~8分加熱する(器によって時間は調整する)。
② 茶碗蒸しを蒸している間に麻婆あんを作る。フライパンにサラダ油を熱して一度火を消す。ひき肉を入れて余熱で炒め、パラパラにほぐれたら再び火をつけてカリッとするまで炒める。火を消して豆板醤、豆鼓醤を加えて弱火で炒め、香りが立ったら中華スープを加える。しょうゆで味を調え、1分ほど煮たら火を止める。水溶き片栗粉を入れ、混ぜてから火をつけてとろみをつける。ねぎと花椒粉を加えて火を止める。
③ ①の茶碗蒸しに②の麻婆あんをかけ、好みでざく切りにした香菜を散らす。
※中華スープは鶏がら、または豚と鶏のひき肉でとる。有塩の市販品を使う場合は表示よりも薄味にして塩分を調節する。
◆卵のコシをきってこすことで、なめらかな口当たりになる。
◆ひき肉は最初に余熱で炒めると、かたまりにならない。よく炒めることでカリッとした食感とジューシーな食感と2種類楽しめる。
料理塾