小雪_令和元年11月22日から12月6日まで
11月28日(旧暦元禄7年10月12日)は松尾芭蕉の命日で、「芭蕉忌」という季語になっています。享年五〇歳「月日は百代の過客にして、行き交う年も又旅人なり」の序文で始まる『奥の細道』の旅に出立してから五年後のことでした。代表作となる作品を完結してから文字通り旅立ったわけですが、百歳時代と云われる現在からすれば、かなりの早逝と云えるでしょう。
翡翠/かわせみ
今年、令和に元号が変わる前の2月24日にロナルド・キーンが亡くなりました。日本文学に造詣が深く、谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫などの作家と交流のあった知識人でしたが、彼がこよなく愛したのが、松尾芭蕉とカワセミでした。この鳥には「渓流の宝石」とも呼ばれるその美しい姿から「翡翠」という字が当てられます。繁殖期に雄が雌に餌を差し出して求愛することでも有名です。
餌の品質によって求愛の結果は異なるのでしょうか。
我々人間にはこの時季「蟹」という自然からの魅力的な贈り物があります_この贈り物を美味しくいただけるように、今回の特集は野崎洋光料理長の「カニのさばき方」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹