「慈華」
田村亮介
ゆでた豚肉を甘めのピリ辛ソースでいただく四川風前菜
口伝
雲白肉(ウンパイロウ)
「醤油」と「砂糖」に「五香粉 ※」という有名なスパイスを煮詰めたソースをかける四川料理の代表的な前菜です。
※五香粉(ウーシャン・スパイス)_ウイキョウ・シナモン・サンショウ・チョウジ・ハッカクなどを混ぜ合わせた,中国料理の代表的な混合香辛料。
豚バラ肉を茹でる
沸騰したお湯の中に「ネギ」と「ショウガ」を入れます。
「豚バラ肉」の塊りを湯の中に入れ、ふつふつと沸くか沸かないかぐらいの80度から90度ぐらいの温度でゆっくりと火を入れていきます。
茹でた豚肉を取り上げて、真ん中の一番厚い部分を鉄串などで一度さしていただいて、抜いた時に透明な肉汁が出てくれば茹で上がりです。
まだ火が入っていない状態ですと、赤い血の入ったような色合いが出てきますのでそういう時は、さらにもう5分なり10分なり煮ていただいて、必ず透明な肉汁が状態になるまで火を入れてください。
茹で上がりましたら、そのまま30分ほど置いて粗熱を取り、冷蔵庫に入れて冷やします。
甜醤油(テンジャンヨー)を作る
醤油ベースの甘いソースの甜醤油を作ります。
小さな鍋に「醤油」「砂糖」「酒」、中華の混合香辛料「五香粉」を入れて火にかけ強火で一度沸騰させます。
沸騰したら弱火で鍋肌が軽く焦げる程度にゆっくりと煮詰めていきます。
「ソース」が半量ぐらいになると軽くとろみがついてきますので、それを目安に煮詰めます。
程よく焦がすぐらいの感じの方が美味しいソースになります。
この「ソース」は保存がきくので、多めに作って密封容器の中に入れて冷蔵庫で保管しておけば、色々な料理に使えて便利です。
キュウリを切る
「キュウリ」はごく薄ぎりにしますが、ご家庭だとピーラーをお使いいただくのがスピーディーに便利にいくかなと思います。
薄切りにした「キュウリ」は、氷水の中に少し置いてシャキっとさせます。
仕上げ
冷蔵庫で冷やした「豚バラ肉」を薄切りにします。
包丁を細かく動かしながら出来る限り薄く切りますが、しっかり冷やし締めて固めると切りやすくなります。
中国語で白い肉と書いてパイロウというこの肉を今日は甘いソースでいただきますが、ソースを変えることで色々なバリエーションの前菜が作れます。
「雲白肉」を盛り付ける時は、切った順番に脂の左右を肉の層というふうに同じ並びで円を描くように盛り付けると綺麗です。
「雲白肉」の脂身が冷えて固まってますので、ほんのり温めて柔らかくするためにセイロ入れて蒸します。
脂が少し透明になるぐらい温めてセイロから出します。
セイロから出した皿の「雲白肉」に「ソース」を全体にかけ回してから、先ほど切って氷水にさらしシャキッとさせた「キュウリ」丸めるようにして真ん中に盛ります。
豚の脂身が適度に落ちてさっぱりとした〈雲白肉(ウンパイロウ)〉完成です。
日持ちもしますのでぜひ作ってお召し上がりください。
材料〈4人前〉
材料 |
豚バラ肉(かたまり)300g/長ねぎ(青い部分)1本分/しょうがの皮 1個分/きゅうり 1本 |
〈甜醤油(テンジャンヨー)〉 |
しょうゆ 大さじ6/砂糖 大さじ4/酒 大さじ2/五香粉(※1)少々/ラー油 適量 |
※1五香粉(ウーシャン・スパイス)_ウイキョウ・シナモン・サンショウ・チョウジ・ハッカクなどを混ぜ合わせた,中国料理の代表的な混合香辛料。
作り方
① 深鍋に湯を沸かし、長ねぎ、しょうがの皮、豚肉を入れる。フツフツする手前(80~90℃)の火加減で30分ほどゆでる。
② ①の豚肉の一番分厚い部分に竹串を刺し、肉汁が透き通っていたら豚肉を取り出す。そのまま30分ほど休ませて粗熱がとれたら、冷蔵庫で完全に冷やす。
③ <甜醤油>を作る。別の鍋に<甜醤油>の材料を全て入れ、強火にかける。沸騰したら弱火にし、鍋のフチで少し焦がしながら、半量になるまで煮詰める。火からおろし、粗熱がとれるまでおく。
④ きゅうりはピーラーなどを使い、縦にごく薄く切る。氷水に浸け、シャキッとしたらざるにあげて水気をきる。
⑤ ②の豚肉の長さを2等分し、ごく薄切りにする。断面を少しずらして重ねながら、放射状になるよう中央を空けて器に盛る。器ごと蒸し器で1分ほど蒸し、白い脂身に透明感が出たら、器ごと取り出す。
⑥ 器についた水滴をペーパータオルで押さえ、豚肉に③の<甜醤油>を適量回しかける。中央に④のきゅうりをこんもりと盛り、豚肉にラー油を回しかける。
◆豚肉はゆでてから冷蔵庫で冷やすと、切りやすくなる。
◆ゆでた豚肉は「白肉(パイロー)」と呼ばれ、回鍋肉や大根と合わせたスープ料理などの料理にも使う。冷凍保存も可能。
◆豚肉を蒸すのは固まった脂をやわらかくするためなので、加熱は豚肉が温まる程度でよい。
◆甜醤油は煮詰める際に少し焦がすことで、カラメルのような香ばしい風味が加わる。冷蔵庫で1カ月ほど保存が可能。
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