「山さき」
山﨑美香
ふわふわ卵の秘訣は?
ほくほくした百合根のやさしい味わい
口伝
百合根と白魚の卵とじ
「百合根」は正月料理などによく見かけると思いますが、冬場から春に向けて芋とはまた違ったホクホクとした食感と独特の香りが春の味だと思います。
「白魚」は春にしか食べられないもので苦味がありますが良い出汁が出ます。
百合根の下拵え
「百合根」は順番に重なっていますので、順番をよく見て芯ギリギリまで剥がしながら一枚ずつ水に入れます。
「百合根」の間には、おが屑や泥が入っていますので水につける事で汚れが落ちやすくなりますので、しばらく水につけてからよく洗ってきれいにします。
「百合根」の縁の部分は火が入ると色が変わりますので、縁を薄く切って面取りをします。
また黒い汚れなどがありましたら削り取って真っ白な状態にします。
「百合根」には少しクセがありアクもありますので、これを取り除くためと、火が入っていた方が甘くなり他の食材とのバランスが良くなりますので、綺麗にした「百合根」を鍋で水から火にかけます。
鍋の水が沸騰してグラッとするまで強火で「百合根」に火を入れてからザルにとります。
この時「百合根」に火を入れ過ぎてしまうと煮溶けてしまいますので注意してください。
「百合根」の廻りから徐々に半透明になって全体が半透明になりましたら茹で上がりの証拠ですので、ザルに上げて冷まします。
卵とじを作る
「白魚」は生のものを買って塩水を沸騰させて茹でて、氷水に入れてから水気を切ります。
「卵」は冷蔵庫から出して常温・室温に戻しておいてください。
冷蔵庫から取り出したばかりの冷たいものを使うと中の具材との温度差ができて上手にフワフワとした卵とじができません。
また白身と黄身が良く混ぜ合わさっている方がフワッと出来上がりますので、良くかき混ぜて攪拌してください。
「出汁」を鍋に入れて強火で沸かし沸きましたら中火に落とし「塩」と「醤油」を入れてから「百合根」を加えます。
「百合根」の表面の薄皮が膨らんで気泡が出てきましたら火が通った証しですので、ここで「白魚」を鍋に散らしながら入れますが「卵」を入れてからかき混ぜるわけにはいかないので、満遍なく入れるようにします。
「百合根」にヒビが入って割れ目ができたくらいのところで、良く「卵」を溶いて流し入れます。
本当によく火が入った「百合根」は甘くなってすごく美味しくなります。
大き目の「百合根」に箸を刺してスッと通るようでしたら十分火が入っています。
「百合根」に火が入りましたら、溶いた「卵」を細く回しながら、ひと所に固まらないように全体に流し入れて火を止めますめれば仕上がりです。
鍋から器に「卵」「白魚」「百合根」をそっと優しく移し、「木の芽」を天盛りにします。
「木の芽」がありませんでしたら、「割り胡椒」を散らしていただいても美味しく召し上がれます。
百合根のホクホクを卵のフワフワでとじた春の優しい味〈百合根と白魚の卵とじ〉できました。
材料〈2人前〉
材料 |
百合根 80g/白魚 50g(塩ゆでする)/卵 1個/木の芽 適量 |
だし |
だし汁 450ml/しょう油 小さじ1/2~/塩 小さじ1/2強 |
作り方
【下準備】
菜の花を3cm長さに切り、洗ったあとしばらく水につけシャキっとさせる。
数の子を一晩たっぷりの水につけ塩抜きし、薄皮をむく。
① 鍋に湯を沸かし、少し多めの塩を入れて菜の花をさっと茹で、ざるにあげて、急いで冷ます。
② まな板の上に濡れふきんを広げ、数の子をちぎり、ふきんで包んでまな板に押し付けるようにもみながらほぐす。
③ ボールにしょう油を入れ、①の菜の花の水気を軽く切って入れ和える。②の数の子も加えさらに和える。
④ 器に盛る。
◆卵は常温にしてよく溶いておくとふわふわの卵とじになる。
◆百合根を一度ゆでるのはくせやアクをとるため。ただ煮過ぎると溶けてしまうので煮過ぎには注意する。
◆木の芽がなければ黒こしょうもあう。
◆ 白魚の下処理で塩ゆでの仕方・・・熱湯に塩を加え茹で氷水にとり水気をきる。
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