「エックス」
山下敦司
サクッとしたタルト生地に野菜がたくさん
口伝
タルト・プロヴァンサル
南フランスの野菜をたっぷりと使った「タルト・プロヴァンサル」をご紹介します。
サクッとしたタルト生地に野菜がたくさん入ったラタトゥイユを詰め、チーズをたっぷりとかけて焼き上げます。
手作りのタルト生地はバターの香りも食感も絶品です。
生地を作る
まず、パート・ブリゼ(Pâte brisée種に塩味の中身を入れるパイ料理に使う生地。バラバラにして壊す〈briser〉ようにして作ることから名が付いた。)を作ります。
ボウルに「薄力粉」をふるって、そこに冷たい「バター」を入れます。
「バター」はポマード状になったものですとベタベタになってしまいますので、必ず冷たいものを使ってください。
冷たい「バター」を入れたら、カード/スクレーパーScraperで細かくなるまで切って、「バター」が細かくなってきたら手ですり潰すように「バター」と「薄力粉」を一体化させます。
こなの色が黄色くなり「バター」と「薄力粉」がサラサラになるまで混ぜ合わせます。
サラサラになりましたら、真ん中に穴を開けて、そこに「溶き卵」と「水」と「塩」を加えたものを入れます。
土手を崩すように混ぜ、ひと固まりになるように混ぜます。
生地がひと固まりになりましたら、台に手ですりつけるように伸ばします。
伸ばすと「バター」が溶けていない部分が白い線となって現れますので、この白い線が出なくなるまで2回から3回繰り返し伸ばしますが、やりすぎると硬い生地になってしまいますので注意してください。
生地を丸くまとめて平らにしてラップで包み1日冷蔵庫で冷やします。
この時点で平たく丸い形にしておきますと、あとで扱いやすくなります。
型に入れ焼く
「強力粉」で打ち粉をした台の上に生地をのせ麺棒で軽く叩いて伸ばします。
生地をいきなり伸ばしてしまうと割れてしまうことがあります。
生地は2mmから3mmの厚味まで、手を生地の下に入れて均等な厚さになるように確認しながら伸ばします。
伸ばしましたら冷蔵庫で5分ほど冷やします。
18cmのタルト型 に生地を敷き込みますが、内径が小さい方ほどやり辛くなります。
生地の先端を折り込んで角を立てるようにしてください。
フチの部分を内側に折って土手を作ります。
次に、麺棒で余分な部分をカットして、折り込んだ土手を立てていきます。
フチを立てましたら模様をつける道具でつまむようにして模様をつけます。
キッチンペーパーを三角形に折り込み、型の中心から生地の高さよりも高くなるように合わせて切ります。
切ったキッチンペーパーを型に敷いて、タルトストーン を敷き詰めますが、タルトストーンは、土手の部分にきつく詰めながら敷き詰めます。
タルトストーンを敷き詰めたまま160度のオーブンで20分焼きます。
タルトストーンを外して、底の穴を塞ぐように溶き卵を塗ってさらに10分焼きます。
ラタトゥイユを作る
冷たい鍋に「玉ねぎのみじん切り」「オリーブオイル」「塩」弱火でしんなりするまで炒めます。
しんなりしましたら「みじん切りにしたトマト」を入れて弱火にしたら蓋を閉めます。
蓋を閉めてから20分ほど煮込みますが、時々かき回してください。
フライパンに「オリーブオイル」を入れて、赤色と黄色の「パブリカ」を入れ5分ほど炒めてから「なす」と「ズッキーニ」を時間差で入れます。
「パプリカ」の方が火を入れるのに時間がかかりますので、時間差をつけて炒めるようにします。
また、「赤・黄パプリカ」「ナス」「ズッキーニ」は1cmから1.5cm角の大きさに揃えて切ってください。
タルトの中に入れて焼くので、それほど火を入れる必要はありませんが、ある程度炒めてておかないと、焼いた時に水分が出てタルトの中に空洞ができてしまいます。
「なす」が油を吸うので「オリーブオイル」を加えて「塩」「胡椒」をして「エルブドプロヴァンス※」を加えて軽く炒めてから、先ほど煮込んだ「トマト」を加えて軽く混ぜ合わせればタルトの中身/ラタトゥイユの出来上がりです。
※エルブドプロヴァンス_プロヴァンス地方のハーブ数種類をミックスしたもの
アパレイユを作る
次にアパレイユ(タルトの中に入れる生地)を作ります。
ボウルに「卵1個と卵黄2個分」を溶きほぐして「生クリーム」を加えてよく撹拌します。
さらに「塩」を加えますが、「具材/ラタトゥイユ」に味が付いていますし、最後にチーズをのせて焼きますのでチーズの塩分もありますから、加減してください。
ボウルの「アパレイユ」をザルなどで濾してから、
空焼きした生地の中に「中身/ラタトゥイユ」を2/3の高さまで入れたら、「チーズ」を少し散らして浮いてこないように軽く押し込みます。
上に「アパレイユ」を加えて、その上から「チーズ」のせますが、この時「チーズ」がフチにかかっていたり飛び出していると、焦げが付いてしまい出来上がりが美しくなくなりますので、内側に収まるようにしてください。
野菜のたっぷり入ったプロヴァンスの美しいタルト〈タルト・プロヴァンサル〉完成です。
材料〈直径18cmのタルト型1型分〉
材料くタルト生地>パートブリゼ(※1) |
グリュイエールチーズ 適量 |
くラタトウイユ>具材 |
トマト 1個/玉ねぎ 50g/赤、黄パプリカ 各 1/ 2個/なす 1本/ズッキーニ 1/ 2本/エルブドプロバンス(※2) 1.5 g/塩 適量/こしょう 適量/オリーブ油 適呈 |
くアパレイユ>卵液 |
卵 1個/卵黄 2個分/生クリーム(脂肪分35%)300ml/塩 少々 |
※1パートブリゼとはサクサクとした歯触りの良い食感が特徴のトタ生ル地のこと。甘さを控えてあるので、菓子だけでくなキッシュなど食事系にも使える。お菓子に使う甘いタルト生地はーパトシュクレといい、クッキーのような食感が特徴。
※2エルブドブロバンスとは、フランスのプロヴァンス地方のハーブを何種類かミックスした もの。タイム、ローズマリー、セージなどを乾燥させて魚、肉にまぶしたり、煮込み、スープに入れたりする。
作り方
【野菜の下ごしらえ】
・玉ねぎはみじん切りにする。
・トマトは湯むきして、粗みじん切りにする。
・パプリカ、なす、ズッキーニは1.5cm角に切る。
① <タルト生地>を作る。ボールに薄力粉をふるい、冷たいバターを入れる。カードなどでバターを切るように混ぜる。バターが細かくなったら、手でバターと粉をすりつぶすように一体化させる。
② ①の生地が黄色っぽくなり、サラサラになってきたら、中央をくぼませる。溶き卵、塩、水を混ぜ合わせたものを入れ土手を崩すように混ぜる。
③ ②がひと固まりになってきたら軽く打ち粉をした台に乗せ、2~3回手で押さえつけるように伸ばす。丸くまとめて平らにしラップで包み、1日冷蔵庫で寝かせる。
④ 打ち粉(強力粉)をした台の上に③の生地をのせ、麺棒で2mm~3mm厚さにのばす。のばした生地を冷蔵庫で5分ほど冷やす。
⑤ タルト型に④の生地を敷きこみ、上の部分を内側に折り込んで土手を作る。余分な生地を切り落とし土手を立て、ふちに模様をつける。底になる部分にフォークで穴を開ける。
⑥ クッキングシートをタルト型の大きさに合わせて丸く切り、タルト生地の上に乗せタルトストーンを敷き詰める。160℃のオーブンで20分焼く。ストーンをはずし、底に溶き卵(分量外・適量)をぬりさらに10分焼く。
⑦ <ラタトゥイユ>を作る。鍋にオリーブ油、玉ねぎ、塩を入れ火をつけ弱火でしんなりするまで炒める。トマト加えふたをして20分ほど煮る。(時々混ぜる)
⑧ 別のフライパンにオリーブ油大さじ2を入れ、中弱火でパプリカを5分ほど炒める。なす、ズッキーニを加えさらにオリーブ油大さじ1を足し炒める。塩、こしょうをしエルブドプロバンスを入れる。
⑨ ⑧に⑦のトマトを加えさらに炒め、塩、こしょうで味を調える。
⑩ <アパレイユ>を作る。ボールに卵、卵黄を溶きほぐし生クリームを加えよく混ぜ塩を入れ、こす。
⑪ 空焼きした⑥の生地に⑨の<ラタトゥイユ>を2/3の高さまでいれ、チーズを散らす。⑩の<アパレイユ>を入れさらにチーズをのせる。180℃のオーブンで30分焼く。
◆タルト生地は練り過ぎてしまうと固い生地になってし。まう
◆タルト生地を焼くときに底に卵液をぬるのは、穴をふさぎ、レアイパユが染み込むのを防ぐため。
◆タルトの中に入れる具は生のまま入れると水分がたくさん出てしまい、生地の中が空洞になってしまうため加熱したものれる。後ほど焼き上げるので、しっかりと火が通っていなくてもよい。
◆アパレイユの塩加減は、後でチーズをかけることを考慮して加減する。
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