野﨑洋光
海苔の選び方、上手な巻き方、きれいな切り方を伝授!
口伝
太巻き寿司
「太巻き寿司」は太いですから巻く海苔が違います。
巻くときに破れてしまいますから、本来焼き海苔は使いません。
「細巻き」は焼き海苔で巻きますが、「太巻き」は焼いていない海苔で巻くとしっかり巻くことができます。
その昔、おにぎりも焼かない海苔で作りましたのでビシッとした形がつくれました。
細巻きは、噛みきれなくなるので焼き海苔で巻いてください。
カステラ玉子を作る
すし屋などでは〝魚のすり身〟を使って「カステラ玉子」を作りますが、〝魚のすり身〟は手に入れ難く、扱いも難しいので、ほぼ真薯(しんじょ)と同じ「はんぺん」を使います。
「はんぺん」をちぎりながらフードプロセッサーに入れて撹拌します。
フードプロセッサーがない場合はすり鉢を使って潰してください。
「卵」を最初から入れるとコシが無くなってしまいますので、後から入れます。砕いた「はんぺん」に「小麦粉」「はちみつ」を加えてさらに撹拌します。
粒が立ってきましたら、「卵」を入れて軽く撹拌します。
これを薄く巻きますと伊達巻を作ることができます。
玉子焼き器に「卵液」をすべて注いで焼きます。
じっくり弱火で約7分くらい焼きますが、この時アルミ箔を被せます。
片面が乾いて焼けてきましたら、ひっくり返して再度アルミ箔を被せて、さらに5分焼きます。
焼きあがりましたら粗熱を取ってから、細切りにします。
他の具材の処理
殻付きの「海老」に竹串を打って、70度の湯で約6分茹でます。
茹で立てで串を抜いてしまうと「海老」が曲がってしまいますので、粗熱を取ってから抜くようにします。串を抜いた「海老」の殻を全て剥きます。
「きゅうり」は、縦に4等分して種を取りながら整形して、さらに半分に切ります。
「三つ葉」を茹でておきます。「うなぎの蒲焼き」を用意して1.5cm幅の細切りにします。
太巻きを巻く
巻き簾に「焼かない海苔(なければ焼き海苔でも構いません)」の裏側を上にして「薬味寿司」を乗せます。
※薬味寿司の作り方はこちらをご覧ください。
手に手水(塩水)をつけてから、1cmから2cmのりしろを取って、巻き簾の向こう側から手前に「薬味寿司」をほぐしながら、均等になるように薄く広げます。厚くなると巻ききれなくなりますのでうまくバランスをとってください。
1本分のシャリの「薬味寿司」の量は270gが適量だと思います。
シャリを広げましたら、中央に「うなぎの蒲焼」「きゅうり」、細切りにした「カステラ玉子」「海老」「三つ葉」を並べます。
巻くのは手前から向こう側へ巻き込んでいきます。
巻き簾の両側に親指を差し込んで、残りの指で具材を軽く押さえながら手前から一気に巻きます。のりしろの手前まで巻きましたら、一度グッと締めてから、のりしろまで巻き込みます。巻き込みましたら、巻き簾にくるんだまま輪ゴムで留めて形に馴染ませます。
太巻きを切る
巻いた「太巻き寿司」を切る時は、包丁側から切ると失敗します。包丁の反対側を手で押さえながら切ると、形が崩れずに綺麗に切ることができます。
包丁は少し濡らしてから切ります。
カステラ玉子のフワフワの甘みを中心として「うなぎ」と「海老」「きゅうり」「三つ葉」でバランスの良い食材を口の中で合わせる〝口内調理〟の美味しい寿司が〈太巻き寿司〉ですので、ぜひご家庭でお作りになってください。もちろん行楽に持ち歩きもできますので、親子で楽しんでください。
材料〈2人前〉
材料 |
薬味寿司 1合/鰻の蒲焼 1/4尾/カステラ玉子 2本/きゅうり 1/4本/三つ葉 5本/海苔(焼いていないもの) 1枚/エビ 3尾 |
カステラ玉子 |
卵 3個/はんぺん 100g |
〈A〉 |
小麦粉 大さじ2/薄口しょうゆ 大さじ1/2/はちみつ 大さじ3 |
作り方
<下ごしらえ>
鰻の蒲焼:1.5cm幅の細切りにする
カステラ玉子:20cm長さに切る
きゅうり:縦8つ割りにする
エビ:竹串をさして塩ゆでする
① 巻きすに海苔をおき、軽く棒状に握った薬味寿司を向こう側に置き、手前に広げていく。
② うなぎ、カステラ玉子、きゅうり、三つ葉、エビを上に並べる。手前から向こう側へ一気に巻き込み、形を整えて落ち着かせる。
③ 包丁を濡れ布巾で拭きながら、左側から食べやすく切り分け器に盛る。
<カステラ玉子>
① フードプロセッサーに、はんぺんをちぎって入れペースト状にしたら、<A>を加えてさらに混ぜ合わせる。次に卵を加え、さっと混ぜ合わせる。
② 卵焼き器にサラダ油をひき、①の生地を入れ、アルミホイルなどで蓋をして、弱火で7分ほどじっくり焼く。
③ 生地が膨らみ、表面が乾いてきたら裏返し、アルミホイルなどで蓋をし、さらに5分ほど焼く。取り出し粗熱をとる。
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