「ラ・タルタルギーナ」
濱崎泰輔
固くなったパンがおもてなし料理に大変身!
口伝
ムール貝に詰め物をしたオーブン焼き
プーリア風「ムール貝に詰め物をしたオーブン焼き」をご紹介しますが、この料理は硬くなってしまった「パン」をいかに美味しく食べるかというものです。
具材の下処理
硬くなった「パン」を水を張ったボウルに入れふやかしますが、時間がかかりますので、その間に他の具材の処理をします。
まず「ムール貝」の足糸を尖った方に向けて引っ張って取ります。
次に指で「ムール貝」を軽く押さえると隙間ができますので、そこにナイフを入れて、刃先を貝の内側の上面に沿って当てながら開きます。
この時、両方の殻がしっかりとではなくグラグラにくっついた状態にしておきます。
殻は決して離れないようにしてください。
この時「ムール」貝の内部から出てきた汁は、後ほど使い料理の味のポイントとなりますのでボウルなどに取っておきます。
「チェリートマト」を半分にカットします。
ふやけた「パン」を水分が出なくなるまで両手でよく絞り、ボウルに入れます。
詰め物のタネを作る
ふやかしてよく絞った「パン」の入ったボウルに、「卵」「グラナパダーノチーズ※1」「ペコリーノチーズ※2」「イタリアンパセリ」「黒胡椒」を入れ、手を使って2種類のチーズがよく絡むように混ぜ合わせながら練ります。
※1グラナパダーノチーズGranaPadano_牛乳を原料とする超硬質のチーズ。「グラナ」とは「粒」や「粒子」という意味があり、「パダーノ」はアルプス山脈からアドリア海にかけて流れるポー河流域の平野部を意味する。外観は外皮が厚く、茶褐色で硬いのが特徴。同形のパルミジャーノ・レッジャーノが高級なのに対し、このチーズはお手頃価格。本場イタリアでは、冷蔵庫に欠かすことのできない「キッチンのお供」として定着しており、どこの家庭にもあるチーズと言える。
※2ペコリーノチーズPecorino_イタリアの中部から南部にかけて主流とされる羊乳を原料として作られるハードチーズ。雌羊のことをイタリア語で「ペコーラ(pecora)」と呼ぶことから、この名前がついた。「ペコリーノチーズ」は塩気が多いので、一度に入れず味を調整しながら入れます。
この「詰め物のタネ」に塩気がたりませんと、料理全体の味がぼやけてしまいますので、「タネ」を味見しながら味を確認して、「ペコリーノチーズ」や「塩」を加えるなどして調整してください。
味が馴染んでボテッと手から落ちるくらいの硬さになりましたら「タネ」の出来上がりですが、先ほどふやかした「パン」を絞った際に絞りが甘いと「タネ」がベチャベチャになってしまいますので、しっかりと絞ることが肝心です。
「ムール貝」に「タネ」を詰めますが、貝が閉じるくらいの分量にします。
またこの時殻の閉じ方がきつい状態ですと、火を入れた時に貝が開いてしまいますので注意ください。
仕上げる
フライパンに「詰め物をしたムール貝」「チェリートマト」、「ムール貝から出た汁」を半分程度、「エキストラ・ヴァージン・オリーブオイル」「イタリアンパセリ」を入れて「水」をかけまわします。
この時、「水」の分量は「ムール貝の詰め物」が半分浸るくらいの量を目安としてください。
火を入れて沸騰してきたら火を消します。
フライパンそのまま、もしくはキャセロール鍋などに入れ替えて「にんにく」を加え、220度のオーブンで10分から15分ほど加熱しましたら、〈ムール貝に詰め物をしたオーブン焼き〉の完成です。
材料〈2人前〉
材料 |
ムール貝 10個/パン 100g/卵 1個/ペコリーノチーズ 4g/イタリアンパセリ 適量/グラナパダーノチーズ 4g/チェリートマト 6個/水 120cc/ニンニク 1片/黒こしょう 少々/塩 1g/EXVオリーブオイル 大さじ2 |
作り方
① パンを水に入れ、ふやかして置く。
② 生ムール貝の足糸(そくし)を貝の尖った方へ引っ張り取る。ナイフで貝を開け上下離さずぐらぐらな状態で付けておく。中から出てきた汁はとっておく。
③ チェリートマトを半分に切る。
④ ①のパンを両手で水気が無くなるまでしっかりと絞りボウルに入れる。
⑤ ④のボウルに、卵、イタリアンパセリ、黒こしょう、グラナパダーノチーズ、ペコリーノチーズ(塩辛いので調節して入れる)、を入れ手でよく練る。味見をしながら塩を入れる。
⑥ ⑤をムール貝の貝が付いている側に適量(貝が閉まる位)入れ、閉じる。
⑦ キャセロール鍋※にムール貝を並べていき、貝を開いたときに出た汁を半分の量入れ、水、チェリートマト、オリーブオイル、イタリアンパセリを入れて火にかけ沸騰したら火を消す。
⑧ 皮を剥いたニンニクを入れ、220℃のオーブンで10~15分程加熱し完成。
※キャセロール鍋_蓋つきの厚手の鍋。直火でもオーブンでも調理できるのが特徴。素材はホーローが使われることが多いが、磁器や胴のものもある。厚手なのでじっくりと火が通るため、シチューや煮込み料理によく使用される。(ル・クルーゼやストウブなどが有名)
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