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  6. 白菜使い

  7. 古賀純二のソース

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  9. 雑煮 三題

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  11. 江戸のおせち弐山﨑美香

  12. 濱崎泰輔マンマのトマトソース

  1. 霜止出苗 アンチョビ編

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  3. 雀始巣 浅葱編

  4. 土脈潤起 鱵編

  5. 桃始笑 独活編

  6. 東風凍解 小松菜編

  7. 款冬華 カリフラワー編

  8. 芹乃栄 白子編

  9. 鱖魚群 青梗菜編

  10. 閉塞冬成 ローズマリー編

  11. 金盞香 水菜編

  12. 楓蔦黄 キャベツ編

  1. 料理人街

  2. 日本料理 Japanese

  3. フランス料理 French

  4. イタリア料理 Italian

  5. 中華料理 Chinese

  6. 韓国料理 Korean

  7. ベトナム料理 Vietnamese

日本料理 野﨑洋光 料理の時候 通年料理

筑前煮

「分とく山」
野﨑洋光

出汁いらず!ひとつの鍋で作る理想的な家庭料理

口伝

筑前煮

根菜とタンパク質の肉を一つの鍋で仕上げるというのは、理想の家庭料理だと思います。
たくさんの料理を作るのではなくて、ひとつの鍋で作るわけですから「けんちん汁」や「筑前煮」のようなものは、全国津々浦々にあります。
電気やガスのない時代に薪ひとつで調理をする、完結するための方法として、日本人の考えた知恵の料理だと思います。
本日はこれを現代風に美味しく作る方法をご紹介します。
大事なことは煮上がった時に、食材が同じ状態で煮上がっているということです。
煮方を間違えてしまうと、食材によって硬いものと柔らかいものが出ないように、煮方を考えながら調理します。

具材の処理

「里芋」は、煮崩れしやすいので大振りに乱切りします。
「にんじん」も火が通りやすいので、大振りの乱切りにします。「にんじん」は、皮に美味しさがありますので皮付きのまま使います。
「れんこん」は、火が通りにくいので、乱切りではなく薄切りにして「里芋」や「にんじん」と同じ時間で火が通るようにします。
「ごぼう」も同じく火が通りにくいので、斜めの薄切りにします。
「しいたけ」は軸を取るだけでそのまま使います。
「鶏肉」は、ひと口大に切り分けます。
一般的には「鶏肉」と「野菜」を油で炒めてから煮ますが、それですと「鶏肉」が不味くなってしまいます。
煮る時「鶏肉」は一番最後に入れます。
「こんにゃく」はスプーンでちぎります、こうすることで断面積が広くなり味が沁み込みやすくなります。
「絹さや」は、筋を取ってから茹でます。茹でる目安は「絹さや」が少しふっくらとして来たなと思う頃に取り出します。
膨れ上がってしまいますと、火が通り過ぎですので、その手前で取り出します。

次に同じ鍋の湯に、「しいたけ以外の野菜」と「こんにゃく」を金ざるに入れて、アク抜きのために1分から2分湯に浸して茹で、「しいたけ」を最後に入れてください。
「野菜」と「こんにゃく」を取り出したら、次に「鶏肉」を入れて表面が白くなるまで茹でる〝霜降〟りします。

煮る

鍋に霜降りをした「野菜」と「こんにゃく」を入れて、「水」と、水の分量の1/8の「醤油」「みりん」、水10に対し0.5の割合で入れます
本日は「水/400ml」に対し「みりん/50ml」「醤油/50ml」「砂糖/20g」をいれます。
「醤油」は、「薄口醤油」と「濃口醤油」を半々入れます。
「濃口醤油」だけですと仕上がりが黒くなってしまい、「薄口醤油」だけだと少し味がもの足りません。よく味付けは「さ・し・ず・せ・そ」と云われますが気になさらず入れてください。

落し蓋をして煮ます。落し蓋はその重さで煮汁の対流を起こし、味を沁み込みやすくするためです。
落し蓋は、アルミ箔などで代用しても、重みがないので役に立ちません。その場合はアルミ箔の上に皿を置くなどしてください。

一般的に「野菜」と「鶏肉」を油で炒めて、「出汁」で煮ると云われますが、肉に火が通り過ぎてしまって不味くなります。
肉を食べる時に大事なのは、肉の中心に火が通った時が煮上がりです。
味を染み込ませると云いますが、肉は煮れば煮るほど固くなって不味くなります。

「鶏肉」が本来持つ旨味があります。「野菜」も根菜の持つ旨味が出汁となります。
出汁で煮てしまうと、もともと出汁というのは完成されているものですので、それを煮詰めるというのは正しいことではないと思います。
煮汁が詰まってきた時に、ちょうど良い状態にすることが大事になります。

もし冷蔵庫に「ネギの頭の青い部分」がありましたら、鍋に入れますと甘みが出て美味しくなります。
煮ますと泡に濃度の濃さの差が出てきますが、これが出汁が出ている証拠です。アクをすくいながら、竹串などで野菜の硬さを確認します。
野菜に竹串が通るようになりましたら、「ネギ」を取り出して、ここで「鶏肉」を入れます。

「鶏肉」を入れて2分から3分煮れば出来上がりです。
肉に煮汁を絡ませるだけで、ボソボソせずジューシーに仕上がります。
そして「野菜」は、同じ時間煮て、同じように火が通って仕上がるように、材料を切ることが大事です。
「絹さや」を入れて完成です。
何度でも食べられる飽きのこない〈筑前煮〉完成です。

材料〈作りやすい分量〉

材料

鶏モモ肉  1/2枚(約150g)/里芋(小)  4個/人参  1/2本/蓮根(小)  1/2本/こんにゃく  1/3枚/ゴボウ  1/3本分/椎茸  4枚/絹さや  8枚/長葱の青い部分  適量

〈A〉

  400cc/薄口醤油  25cc/濃口醤油  25cc/みりん  50cc/砂糖  20g

作り方

① 里芋は皮をむいて大きめに切る。にんじんは皮を剥かずに大きめの乱切りにする。
蓮根は縦2つに切り5㎜の厚さに切る。牛蒡は3㎜厚さの斜め切り、椎茸は軸を取る。鶏モモ肉は一口大に切る。こんにゃくはスプーンでちぎる。絹さやは筋をとる。
② たっぷりのお湯を沸かし、絹さやをさっと茹で水にとる。次に①の野菜を鍋に入れ、1~2分茹でて霜降りをしてボウルにあける。(椎茸は最後に入れてさっとゆでる程度)
鶏肉もお湯にサッとくぐらせ霜降りをして水におとし、水気を切っておく。
③ 鍋に②の野菜、水、(a)、葱の青い部分を入れ、落し蓋をして火にかける。
煮立ってきたらアクをとり野菜に火が通るまで煮る。
④ 葱を取り出し、鶏肉を加え2~3分程煮る。
⑤ 器に盛り付け、彩りとして色よく茹でた絹さやを散らす。

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