1. アンチョビを効かせて

  2. クレソンを添えて

  3. フレンチで春野菜

  4. 野﨑洋光続 熱燗の肴

  5. 春中華

  6. 白菜使い

  7. 古賀純二のソース

  8. 基本の出汁野﨑洋光

  9. 雑煮 三題

  10. 江戸のおせち壱山﨑美香

  11. 江戸のおせち弐山﨑美香

  12. 濱崎泰輔マンマのトマトソース

  1. 霜止出苗 アンチョビ編

  2. 鴻雁北 蕨編

  3. 雀始巣 浅葱編

  4. 土脈潤起 鱵編

  5. 桃始笑 独活編

  6. 東風凍解 小松菜編

  7. 款冬華 カリフラワー編

  8. 芹乃栄 白子編

  9. 鱖魚群 青梗菜編

  10. 閉塞冬成 ローズマリー編

  11. 金盞香 水菜編

  12. 楓蔦黄 キャベツ編

  1. 料理人街

  2. 日本料理 Japanese

  3. フランス料理 French

  4. イタリア料理 Italian

  5. 中華料理 Chinese

  6. 韓国料理 Korean

  7. ベトナム料理 Vietnamese

イタリア料理 西沢健三 料理の時候 通年料理 新着レシピ

トスカーナ風牛肉の煮込み

 

「トラットリア・ダ・ケンゾー」
西沢健三

お肉の食感をかみしめながら味わえる煮込み料理

口伝

トスカーナ風牛肉の煮込み

牛の骨付きのバラの部位を用意して「トスカーナ風牛肉の煮込み/ストラコット・ディ・マンゾ stracotto di manzo」を作ります。
牛肉の部位は基本的にどこでも構わないのですが、サーロインやリブロースのようにステーキに適した高級な肉ですとかえって長時間煮込んだ際に味が抜けてしまいます。
筋肉質の硬い部分、スネに近い部位やバラ肉、モモ肉などリーズナブルで硬めの肉、カレーなどに使う肉を使っていただきたいと思います。


イタリア・トスカーナ地方特にフィレンツェでは特に肉を主体として料理しますが、家庭ではリーズナブルで硬い肉をよく食べます。
その中でも一番伝統的な煮込み料理ストラコット・ディ・マンゾ stracotto di manzo をご紹介したいと思います。

香味野菜を炒める

鍋にイタリアではミルポアと呼ばれる香味野菜「赤玉ねぎ」「ニンジン」「セロリ」のみじん切りを入れて「オリーブオイル」を加え強火で炒めます。
「玉ねぎ」「にんじん」は味のポイントですのでどうしても入れていただきたいのですが、「セロリ」が無ければ「玉ねぎ」の量を増やしてください
鍋が温まりましたら少し火を弱めてじっくりソテーして野菜の甘さを出します。
鍋につきっきりの場合は中火で結構ですが、離れて他の作業をする場合にはゆっくり弱火で炒めます。
ただし火加減が弱すぎると水分が出すぎてビチャッとしてしまいます
甘さを引き出しより汗をかかせるために「塩」を加えます。
火が強すぎても焦げてしまいますので、じっくりカレーを煮込む感覚と同じようにゆっくりと火を入れるようにします。
ここで、一番大事なハーブ「ローズマリー」を、次に「セイジ」「ローリエ」を加えて炒めますが、「セイジ」「ローリエ」はなくても構いません。


30分ほどかけて蒸し煮/ストゥファートstufatoしてしっかり色付かせます。

牛肉を焼く

鉄のフライパンをしっかり温めてから「オリーブオイル」を入れますと素材「牛肉」がくっ付くことがありません。
テフロン加工のフライパンでも構いません。その場合は温める必要はありません。
「牛肉」全体に「小麦粉」をまぶして、余分な粉をとります。
この時、小さめの肉などの場合などは、煮込む前に塩・胡椒をすると煮込んでいる際に水分が出てしまい美味しくなくなります。
「牛肉」に「小麦粉」をまぶす事によって、肉の旨味を閉じ込め、水分が出ないようになり、煮込みの際のとろみにもなります。
「オリーブオイル」を入れたフライパンに、小麦粉をまぶした「牛肉」を入れますが、油が跳ねたりしますので、最初は中火か弱火にして「牛肉」を入れてから強火にするようにします。
「牛肉」の表面を焼き固めるようなイメージで火を入れます。

煮込む

表面が色付きましたら、先ほどの「香味野菜」の鍋の中に入れます。
最初は強火で煮て、グツグツしてきましたら「赤ワイン」を加えますが、ワインの分量は肉と同量か少し少なめ、それとも子供さんがいるご家庭では分量を調節したりしてください。
トスカーナの煮込みなので、サンジョヴェーゼ(ぶどう品種)を主体としたキャンティワインが合います。
強火で「赤ワイン」のアルコールを飛ばすイメージで煮てから、沸いたらワインの分量が半分になるくらいまで中火で煮ます。


ここで店では鶏と牛肉のブイヨン「ブロード」を入れますが、ご家庭では市販の「チキンスープの元」をお使いいただいて構いません。
骨付きの牛肉から出汁が出ますので「水」でも構いません。
「牛肉」がヒタヒタになるくらいに「ブイヨン」などを入れましたら、一度強火にして沸きましたら弱火にします。


肉の大きさによって煮込む時間が変わってきますので、水分は目安として肉が浸るくらいとしました。
水分はいっぺんに入れてしまうと、旨味が抜けすぎてしまいますので、蒸し煮/ストゥファートするイメージでゆっくりと煮込みます。
「トマトホール/フレッシュのトマトでも可」を加えてから、肉が固くならないように沸いたら弱火にするを繰り返します。


圧力釜などを使うと短時間で出来ますので利用するのもよろしいのですが、煮込みのポイントは低温でじっくりと煮て柔らかくしていくことにあります
ここで、ミナラルたっぷりのイタリアの「岩塩/普通の塩でも可」、お好みで「胡椒」を加えますが、塩加減などは食べる前に再度調整してください。
5時間から6時間かけてゆっくり煮込みますが、ポイントは水分を入れすぎないこと、水分がなくなってきたら「ブイヨン/ブロード」なり「水」を少しずつ加えながら蒸し煮/ストゥファーストすることです。
日本では肉が柔らかくて美味しいと言いますが、イタリアではしっかり噛みしめて肉を味わいます。
仕上がりでバターを入れてコクを出したいと思われるかもしれませんが、イタリアンの場合は後ほど「オリーブオイル」を加えます。
トスカーナ人は豆喰い族と言われるほどイタリアでもよく豆を食べる地域ですので、伝統的なスタイルで「白インゲン豆」の煮たものを添えますが、ジャガイモのピューレでも構いません。
最後にお好みで「黒胡椒」「オリーブオイル」を回しかけて、「ローズマリー」を飾り付ければ出来上がりです。

じっくりと煮込んだ肉の味わいを噛みしめてください〈トスカーナ風牛肉の煮込み〉の完成です。

  材料〈4人から5人前〉

材料

牛バラ肉(骨付き) 1キロ/小麦粉 適量
ホールトマト 500ml/オリーブ油(EXV) 適量/塩(岩塩を使用) 大さじ1

〈A〉ミルポワ

赤玉ねぎ 2個/人参 1/2本/セロリ 1本
ローズマリー 2枝/セージ 1枝/ローリエ 2枚/赤ワイン 2カップ/ブロード(※1) 500ml

付け合わせ

白インゲン豆(煮たもの) 適量/黒こしょう 適量/オリーブ油(EXV) 適量/ローズマリー 適量

※1. 鶏肉と牛肉のブイヨンのこと。市販のチキンブイヨンでも可。


作り方

【下準備】
・<A>の材料をすべてみじんぎりにする。
・牛バラ肉は6cm角に切る。
① 鍋に<A>、オリーブ油(EXV)を入れて強火で炒める。鍋が温まってきたら塩少々(分量外)をふり、色味が出てくるくらいまでじっくりと炒め煮する。
② 牛肉に小麦粉をまぶし、余分な粉を落とす。
③ フライパンにオリーブ油(EXV)を熱し、中火にして②の肉をいれ強火にし表面をしっかり焼き付ける。
④ ①の鍋に③の肉を入れ、赤ワインを加える。アルコールを飛ばすように底から時々混ぜながら中火で煮る。
⑤ ワインの量が半分くらいになったら、ブロードを肉が浸るくらいまで入れ、沸いたら弱火にする。
⑥ ホールトマトを加え沸いたら塩、こしょうを加え弱火にし、5~6時間じっくり煮込む。途中、水分がなくなってきたら水を足す。
⑦ 仕上げに塩で味を整え器に盛り、オリーブ油(EXV)を回しかけ、白インゲン豆、ローズマリーを添え、黒こしょうをふり完成。

牛肉は脂の多い部分よりも赤身や、バラ、もも肉の方がこの煮込み料理には合う。
香味野菜は冷蔵庫に残っている野菜でよい。
煮込んでいくときに材料を入れたら沸かして弱火にを繰り返すことによって肉が固くならない。
ご家庭ではカレー用の肉でも大丈夫。短い時間で煮込める。
ハーブはローズマリーだけでもよい。

関連記事