「トラットリア・ダ・ケンゾー」
西沢健三
新鮮なモツを煮込んだフィレンツェの名物料理
口伝
ランプレドット
牛の胃袋を柔らかく煮たランプレドット※です。
※ランプレドットlampredotto_トスカーナ地方の茹でたトリッパtrippa(牛の胃の総称)をパンに挟んだもの
牛は胃袋が4つあるのですがランプレドットはギアラ(4番目の胃袋)を使います。
ギアラは焼肉屋さんでよく見ることがあると思います。
キアラの下処理
内臓は鮮度が命ですから、鮮度の良い「ギアラ」を用意します。
下処理として体毛がついていることがあり、これらの汚れを取り除きます。
日本の牛の内臓はイタリアと比べ脂が多いので軽く包丁で削ぎ落とすのですが、後で「ギアラ」を洗い流してから茹でるのでその際に取り除いても問題はありません。
「キアラ」を水洗いしながら表面のヌメリとヒダの間に挟まっている汚れを取り除きます。
「ギアラ」の掃除が終わりましたら、「ギアラ」を鍋に1%ほどの「岩塩/普通の塩でも可」を加えた「水」に入れます。
香味野菜の「玉ねぎ」「ニンジン」「セロリ」「パセリ(軸)」を入れますが、「セロリ」はなければ入れなくても大丈夫です。
クッキングシート(アルミホイルでも可)で落し蓋をして、最初は中火で沸いてからはごくごく弱火にして、じっくり3時間ほど煮込みます。
「ギアラ」を茹でた際の野菜はカレーなどにご利用ください。
サルサベルデを作る
ランプレドットのソース、サルサベルデ※を作ります。
※サルサベルデsalsa verde_イタリアンパセリ、ケーパー、オリービオイルなどで作る緑(=verde)のソース(=salsa)。
「にんにく」を半分に割って芽を取り、水にさらして軽く洗った「塩漬けケーパー/酢漬けのケーペーで代用可」、「アンチョビ」「パセリ/店ではイタリアンパセリを使用」「オリーブオイル」「赤ワインビネガー/白ワインビネガーでも可」をミキサーに入れてよく撹拌します。
「ペーパー」と「アンチョビ」に塩気がありますが、味見をして足りなければ「塩」で調整してください。
出来上がった「サルサベルデ」は、瓶に入れて表面を「オリーブオイル」で浸し冷蔵庫に入れれば2から3週間ほど保存できます。
2時間から3時間煮込んだ「ギアラ」をお好みの厚さに切り器に盛って、上から「サルサベルデ」のソースを回しかけ、国産の「ギアラ」は脂が乗っているので多めに「黒胡椒」を振り、お好みで「オリーブオイル」「塩」を加えたり、「レモン」を絞っていただいても相性がよろしいと思います。
爽やかなパセリのソースのサルサベルデがかかった〈ランプレドット〉フィレンツェではパンに挟んで食べるのが定番です。
材料〈作りやすい分量〉
材料 |
ギアラ(※1)1.5kg/塩 60g/玉ねぎ(縦2等分)1個/にんじん(2等分)1/2本/セロリ(葉に近い部分)1/2本/パセリの茎8本 |
〈サルサベルデ〉※作りやすい分量 |
パセリの葉 50g/にんにく(芽を取り除く) 1/2片/ケッパーの塩漬け(洗っておく)30g/アンチョビ 20g/オリーブ油(EXV)180ml/赤ワインビネガー 大さじ2 |
※1.牛の第4胃袋
作り方
① ギアラは色の悪い脂や毛があれば取り除き、流水で洗ってゴミやヌメリを取る。
② 鍋に水6Lを入れて中火にかけ、塩と水気をきった①、玉ねぎ、にんじん、セロリ、パセリの茎を入れる。オーブンシートを鍋の径に合わせて円形に切り、落とし蓋にする。
③ ②が沸いたら火を弱め、フツフツとした火加減で、ギアラがやわらかくなるまで3時間ほど煮る。
④ <サルサベルデ>を作る。<サルサベルデ>の材料を全てミキサーに入れ、一体化するまで攪拌する。
⑤ ③のギアラを食べやすい大きさに切り分け、器に盛る。サルサベルデを好みの量かけ、黒こしょうを振り、オリーブ油をかける。お好みで、塩(分量外)とレモンを添える。
◆サルサベルデはイタリアンパセリを使うと、より本格的になる。冷蔵庫で2週間ほど保存が可能で、ゆでた肉や魚介類とも相性がよい。
◆イタリアでは、ランプレドットをパンにはさんだパニーニスタイルも一般的。
料理塾