立春_令和5年2月4日から令和5年2月18日まで
千年菓子
立春_旧暦で新年に当たるこの日は暦の上では春の始まりです。実際には春を待つこの季節、季語に〝余寒〟や〝春隣〟といった言葉があります。
以前も記しましたが、二月の初めに作られる生菓子に〈椿餅〉があります。
〈椿餅〉の歴史は古く。紫式部『源氏物語/若菜上の巻』に、平安貴族が蹴鞠(けまり)で遊んだ後に用意される食事の場面に「つぎつぎの殿上人は、簀(す)の子に円座(わらふだ)めして、わざとなく、椿もちひ・梨・柑子やうの物ども、さまざまに、箱の蓋どもに取りまぜつつあるを、若き人々、そぼれ取りくふ」と登場します。
さらに『源氏物語』以前の平安中期に記された日本最古の長編小説とされる『宇津保物語』にも記載があるようです。
〈椿餅〉は、まさしく〝千年の歴史を持つ菓子〟です。
和菓子の老舗虎屋が〈椿餅〉を初めて作った初出年代が370年前の慶安4年(1651)、480年の歴史を持つ老舗も〈椿餅〉の歴史には遠く及びません。
今回の特集は「豚肉を茹でる」とシェフの知恵は「 東風凍解 青紫蘇編」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹