「ル・スプートニク」
髙橋雄二郎
みずみずしい桃のすっきり爽やかなデザート
口伝
桃のコンポート 大葉のグラニテ
桃のコンポート(※1)と、その煮汁に大葉の香りをつけて、フランス料理でお口直しなどで出すグラニテ(※2)にしたものを作ります。
※1_コンポート/フルーツのシロップ煮。丸ごとまたは切ったフルーツを、水または赤ワインに入れて砂糖、シナモン、ヴァニラ、丁子などを加えて弱火で煮、冷ましてデザートにしたり、タルトやシャルロットに加えたりする。玉ねぎやベーコンを煮溶かしたものもコンポートである。
※2_グラニテ/小さな氷の粒が口の中でザラザラと感じる糖分の少ないシャーベットの一種。イタリア発祥の氷菓で、19世紀、パリのカフェ〈トルトニ〉が売り出して以来大流行した。
コンポートの煮汁を作る
鍋に「水、白ワイン、グラニュー糖、生姜、コリアンダーの粒」を入れて火にかけます。
さらに「レモンとライムのゼスト(※3)」を加えます。
※3_ゼスト/柑橘系類の外皮の外側の硬い部分。
専用のゼスターやピーラーなどの道具がなくても、ナイフなどで皮を削いでいただければ大丈夫ですが、内側の白い部分(ジスト)が入らないように薄く削いでください。
白い部分が入ってしまうと、コンポートの煮汁が苦くなってしまいます。
さらに清涼感を出すために「ミント」を足します。
「ミント」は入れすぎると「大葉」の香りが負けてしまいますので、ほんの少しで結構です。
最後に「刻んだ大葉」を入れます
桃の処理
熟しすぎていない「桃」の窪んだ割れ目に沿って包丁を入れ、ぐるっと一周させて半分に切り、種をくり抜きます。
桃の皮はついたままで大丈夫です。
半分に切った桃は、皮を上にして、バットまたは保存容器に並べます。
コンポートを作る
煮汁が沸いて、白ワインの酸味が飛びましたら、火を止めて鍋にラップをかけて10分ほど蒸らします。
10分経ちましたら、半分に切った桃を並べた容器に熱いままの煮汁をそのままかけます。
桃が浮いてきますので、ペーパータオルを落し蓋のように被せて、粗熱が取れましたら冷蔵庫で一晩冷やします。
このお料理は、コンポートといっても煮汁でコトコト煮るのではなく、熱い煮汁をかけてマリネのように漬け込むものになります。
グラニテを作る
一晩漬けた「コンポートの煮汁」を濾して、バットなどに入れて冷凍庫で冷やし固めます。
このまま冷凍庫に入れてしまうと、「糖分」と「水分」が分離されて凍ってしまい、美味しくなりません。
泡立て器やフォークなどで、10分から15分おきに冷凍庫から出して、かき混ぜながら固めます。
盛り付ける
コンポートした桃の皮をむきます。
桃の皮は、煮汁に一晩漬けていましたので、湯むきなどをせずに簡単に剥けます。
半分の大きさのままの桃に、冷凍庫に一晩置いた「グラニテ」を崩しながらかけて、「花穂じそ」を添えます。
みずみずしい桃のコンポートに、爽やかなシソの香りのグラニテを添えました。
とても涼やかなデザート〈桃のコンポート大葉のグラニテ〉の出来上がりです。
※1.2.3用語の説明、『フランス食の辞典//日仏料理協会』(白水社刊)より
材料〈6人分〉
材料 |
水 900g/白ワイン 100g/グラニュー糖 150g/しょうが 5g/コリアンダー(シード)10粒/レモンの皮のすりおろし 1個分/ライムの皮のすりおろし 1個分/ミントの葉 1つまみ/大葉(青じそ)(5㎜幅の細切り) 3束 |
作り方
① 鍋に<A>を入れて火にかけ、沸いたら火からおろす。ラップをかけて10分程蒸らす。
② 桃は皮つきのまま、割れ目に沿って包丁をグルリと一周入れて半分にする。種はナイフでくり抜く。切り口を下にして、バットまたは保存容器に並べる。
③ ②に熱いままの①をかけ、ペーパータオルを被せる。粗熱がとれたら、冷蔵庫に移して一晩ほど冷やす。
④ ③の桃を取り出す。漬け汁はざるでこしてバットに入れ、時々フォークや泡だて器で混ぜながら冷凍庫で冷やし固めてグラニテにする。
⑤ ④の桃の皮をむいて器に盛り、④のグラニテをフォークで崩してかけ、花穂じそを散らす。
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