野﨑洋光
春の息吹を根菜の爽やかなドレッシングでいただきます。
口伝
春のサラダ
〝春は苦味と合わせて食べる〟ということわざがあります。
柔らかいほろ苦さは爽やかさを生みます。
本日は「菜の花」を使いまして「茹でた筍」「長芋」とでサラダを作ります。
ドレッシングは「ゴボウ」と「ニンジン」をすりおろしたものを使って作ります。
〈ドレッシングを作る〉
「ゴボウ 30g」と「ニンジン 20g」をすりおろします。
すりおろしたものを「酢」と合わせて火にかけます。
ひと煮立ちさせて酢っ気を飛ばします_たくさん火を入れないでください。
冷めましたら「薄口醤油」と「玉ねぎのみじん切り」を加えて混ぜ合わせます。
玉ねぎは粗みじん切りで、これを入れることによりフレッシュ感が出ます。
これでドレッシングは出来上がりです。
※基本的には、〝ドレッシングの合わせ〟に具を混ぜるのと同じで、混ぜ合わせる順番が違うということです。
〈サラダの具の調理〉
「菜の花」を茹でるには、まず塩分1.5%(湯1リットルに対して大さじ1)のお湯を沸騰させます。
これに350から400mlの水を加えて温度を80度まで下げます。
差し水をしない場合は、お湯を沸かしている時に鍋底から小さな泡がポコリポコリと上がってきますと大体80度の目安となります。
菜の花は100度ではなく80度で茹でなければなりません、「菜の花」は「白菜・蕪・ブロッコリー・カリフラワー・小松菜・からし菜」と同じアブラナ科ですので強火で茹でてしまうと酵素が壊れてしまいますから80度以下で茹でるのです。
酵素は50度以上で死んでしまいますが、穂の表面が80度となっても中身芯の温度は約40度ですから酵素が死にません。
こうして茹でますと美味しく時に爽やかな辛味もでてきますから、この温度を覚えておいてください。
これが春野菜を美味しく健康的に食べるコツです。
茹でる時には茎と穂を分けて、茎の方から茹でます。
茎を1分間茹でたら穂を茹でるようにします。
また、菜の花は必ず茹でる前に氷水に入れてパリッとさせてください。
パリッとさせてから茹でると、歯ごたえが良くなり食べやすくなります。
※野菜を茹でる時、熱は野菜の細胞に含まれる水を通して伝わるため、野菜の隅々にまで熱の通り道ができていれば熱は通りやすく、短時間で色や食感を維持して茹でることができます。
お湯の温度が上がりそうになったら差し水をし、2分間くらいかけてゆっくり茹で上げます。茹で上がりましたら冷水に浸け、水気を絞ってください。
次に「卵」を茹でますが、卵茹でるにはちょっとしたコツがあります。
卵の両側には、先の尖った部分と丸みを帯びた部分があります。
丸みをある部分にマチ針で5箇所くらいに穴を開けてから茹でますと、割れにくくなって綺麗に茹でることができます。
穴を開けるには、マチ針を親指と人差し指で持って、中指で針の柱を支えるように持って上から押すとスムースに入っていきます。
先ほど「菜の花」を茹でたお湯の中に入れて、約7分間茹でます。
「長芋」をスライスします。そのままでも結構ですが、本日は春らしさを出すために型を使って蝶々の形にしてみました。
「筍」はスライスして、さっと下茹でしてからザルにあげて水気を切ってください。
〈盛り付け〉
春の山をイメージして「菜の花」を真ん中に盛り上げて、その周りに「筍」「切ったゆで卵」「山芋」を盛ります。
ほろ苦さと爽やかさをイメーさせて盛り付けます。
サラダは生ばかりではなく、茹でたものを和える・混ぜるというものもあります。
ドレッシングはかけても、浸けながらいただいても結構です。〈春のサラダ〉完成です。
材料〈4人前〉
材料 |
ゆで筍 1本/菜の花 8本/卵 2個/長芋の薄切り 適量 |
〈ドレッシング〉材料 |
ごぼうのすりおろし 30g/にんじんのすりおろし 20g/酢 50ml/薄口しょうゆ 大さじ2/玉ねぎのみじん切り 50g |
作り方
① 卵は調理の30分前に冷蔵庫から出しておき、丸みのある部分に針で5ヵ所ほどそれぞれ穴をあける。
② 菜の花はかたい根元を2㎝ほど切り落とし、水に浸してパリッとするまでおく。
③ 80℃の湯に塩(分量外。水1Lに対して塩大さじ1程度)を入れ、②の菜の花の茎の部分を2分ほどゆでて、穂先を1分ゆでて冷水にとり、水気を絞って長さを半分に切る。筍は薄切りにして、サッとゆでて冷ましておく。
④ 熱湯に①の卵を静かに入れて7分間ゆでて冷水にとり、殻をむいて縦4つに切り、さらに斜めに切る。
⑤ ドレッシングを作る。ごぼうとにんじんのすりおろし、酢を鍋に合わせ、ひと煮立ちさせて冷まし、薄口醤油と玉ねぎのみじん切りと合わせる。
⑥ 筍、菜の花、ゆで卵を器に盛り、長芋(好みで蝶々の型に抜く)を散らし、⑤のドレッシングをかける。
料理塾