「ラ・テンダロッサ」
西沢健三
えびクリームのイタリア風カレー
口伝
えびクリームのイタリア風カレー
海老の旨味が広がるクリーミーなカレーに、食べ応えのあるピラフを合わせます。
イタリアの米「カルナローリ米」を使ったピラフを作ります。イタリアでお米を使った料理といいますとリゾットですが、この料理は私が20年前にイタリア・フィレンツェで修行していたレストラン「トラットリア・カミーロTrattoria Cammillo」の名物料理でした。
ピラフを作る
店ではブロード(鳥のブイヨン)で米を炊きますが、今回は「パンチェッタ※」から出る出汁でピラフを作りたいと思います。
※パンチェッタPancetta_イタリアの伝統的ベーコンのひとつ、豚のバラ肉を加工したもので、塩漬けのものなど多くの種類がある。
冷たい鍋に「パンチェッタ」「オリーブオイル」を入れます。脂の多い「パンチェッタ」に火を入れて脂を出します。脂が香ばしくなりましたら、洗っていない「カルナローリ米」を入れます。
リゾットと同様に「米」を「パンチェッタ」の脂でコーティングするように炒めます。
※カルナローリ carnaroli 米は、元々はイタリアからの輸入のみだったのですが、特別関税などがかかり現地イタリアの3倍から5倍の価格になり非常に高価でした。
今は、日本の農家に協力してもらって、リゾット、ピラフに一番適した米を作ってもらっています。現在では一般でもインターネットで購入できるようになっているようです。
鍋に「米」の分量の20%増しの沸騰した「湯」を加えて「米」を炊きますが、ご家庭では炊飯器をお使いになって通常通り炊いていただければ結構です(炊飯器の場合は水を入れる)。
「パンチェッタ」の油で炒めたことによって、白米とは違った美味しさが出ます。
オーブンで炊く場合は、「米」の炊き上がりをパラパラッとした状態で仕上げるために、温度差がつかないよう「沸騰した湯」を入れることが肝心です。
180度のオーブンに15分ほど入れます。
カレーを作る
フライパンに「オリーブオイル」をひいて、「有頭えび/無頭えびでも可」の皮と背わたを取り除いたものを並べてから、火をつけます。
軽く「塩」をして「オリーブオイル」を足して、中火で「えび」に火を入れます。
「えび」の表面に色がついてきましたら、ひっくり返して両面に色をつけて、火を弱めます。
中身がレアな状態で、香りづけのブランデーを入れます。ブランデーがなければ白ワイン、もしくはなくても構いません。
強火でアルコールを飛ばしてから、「生クリーム」を加えます。
ここに「カレー粉」を入れますが、「カレールー」を使うと余分な成分と油分が入ってしまいますので「カレー粉」を使うようにしてください。
「カレー粉」を「生クリーム」によく溶かして、「生クリーム」が沸騰してきましたら、一旦「えび」を取り出します。
味見をして塩気の調整をします。またソースが詰まりすぎているようでしたら「生クリーム」や「湯」でのばして濃度調整してください。
「カレー粉」がダマにならないように、よく混ぜ合わせて最後にコク出しの「パルメジャーノ・レッジャーノ・チーズ」をパウダー状にしたものを加えます。この時、鍋の火は止めて、余熱でチーズを溶かすようにします。
※パルメジャーノ・レッジャーノparmigiano reggiano_牛の生乳から作られるチーズで、キメが細かく砕けやすい。イタリアではチーズの王様の称号がある。
チーズが溶けて馴染みましたら、「えび」を鍋に戻します。
炊きあがって5分蒸らした「ピラフ」を型に入れて盛り、カレーを上からかければ〈えびクリームのイタリア風カレー〉の出来上がりです。
材料〈2人前〉
材料 |
<ピラフ> |
〈カレー〉 |
有頭えび 6尾/EXVオリーブ油 大さじ1/ブランデー(または白ワイン) 大さじ2/生クリーム(乳脂肪分35%) 2カップ/カレー粉 小さじ2/粉チーズ(※3) 60g/塩 適量 |
※1.カルナローリ米は北イタリアで獲れる大粒米。日本米に比べて粘り気が少なく煮崩れしにくいため、主にリゾットに使用される。洗わずに使う。
※2.パンチェッタは豚バラ肉を塩漬けにしたもの。炒めて塩気と旨味を生かし、カルボナーラなどに活用する他、生のまま薄切りにして生ハムの様に食す。
※3.粉チーズはイタリア産ハードチーズの「グラナ・パダーノ」もしくは「パルミジャーノ・レッジャーノ」が最適。
作り方
① <ピラフ>を作る。鍋(オーブン調理可)にパンチェッタを入れて火にかけ、オリーブ油を加える。パンチェッタから脂が出たら米を加えて炒め、米に油が回ったら分量の熱湯を注ぐ。アルミ箔で蓋をし、180℃に熱したオーブンに入れて15分ほど炊き、オーブンから出して10~15分蒸らす。
② えびは頭と尾を残して殻をむき、背ワタを除く。フライパンにオリーブ油を入れ、えびを並べて中火にかける。塩を軽く振り、えびが赤く色づいたら返して火を弱める。ブランデーを振りかけ強火にし、フランベしてアルコール分を飛ばす。
③ ②に生クリーム、カレー粉を入れ、ゴムベラでカレー粉をよく溶かし、沸騰してえびに火が通ったら取り出す。
④ ③が煮詰まってトロミが出てきたら塩で味を調えて火を止め、粉チーズを加えて手早く混ぜ合わせる。乳化したら再度味を見て、足りなければ塩で味を調え、③のえびを戻し入れる。
⑤ 器に①のピラフをよそい、④のカレーをかける。
◆ピラフはパンチェッタから旨味が出るので、コンソメなどのダシはいらない。
◆ピラフは炊飯器で炊いても良い。その場合は熱湯ではなく、水を加える。
◆えびは加熱し過ぎるとかたくなるので、一度取り出す。
◆④でクリームが詰まり過ぎた場合は、生クリームまたは湯で濃度を薄める。
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