小満_令和2年5月20日から6月4日まで
小満_蚕が桑を食べ始め、紅花の花が咲き、麦が実る麦秋の時、山川草木に生命力が満ち満ちる時候です。
本年は、夏の始まりを告げる「江戸の三社祭」「京の葵祭_路頭の儀」がともに中止となりました。
浅草寺の三社祭は、この時期に神輿を担がなければ一年が開けないという江戸っ子のための庶民の祭りです。
この祭りのために、町内や睦の会で浴衣を誂え、揃いの半纏で神輿を担ぎます。
通常、着物は6月1日の更衣で袷から単衣に変えますが、むかしは、この夏を告げる三社祭を境に、浴衣を着た江戸子も多かったようです。
葵祭は、平安京が開かれる前までこの地を治めていた賀茂族の氏神を祀った下鴨神社と上賀茂神社を、年に一度朝廷が敬う儀式で約1400年前に起源を持つとされています。
京都御所を出て下鴨神社から上賀茂神社までを、約500人が雅な装束で巡行する行列〝路頭の儀〟は、葵祭で最も華やかなものです。
本年、江戸と京の両祭は中止となりましたが、昔から連綿と続いてきたものは、これで途絶えることはなく、また来年からも続きます。
災害にあっても、こうして日本人は生きてきて、これからも生きて行きます。
苦難の生活を〝茨の路〟と云いますが、もともと〝茨〟とは野に咲くバラのことです。
何があろうと、逞しく来年も清楚に咲き豊かな香りを漂わせます。
愁ひつつ 岡にのぼれば 花いばら—蕪
今回の特集は、「食材丸ごと特集」として飯田徹也シェフの「丸鷄をさばいて調理する」、野﨑洋光料理長の「大根を丸ごと一本使い切る」の2本です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹