霜降_令和6年10月23日から令和6年11月6日まで
鳥渡るころ
秋は渡り鳥行き交うころです。
凌ぎやすい日本の北国で夏を過ごした鳥は南へと飛び立ち、北の国からは、雁や白鳥、鴨が日本へと渡って来ます。我々人間の見ぬ空高くでは、行く鳥と来る鳥が交差してなかなかに混雑しているようです。
春は鶯(うぐいす)、夏は時鳥(ほととぎす)の初音を慈しんだように、秋には雁の「クワッカカッ、クワッカカッ」という鳴き声を探ります。
人は雁のその姿ではなく、鳴き声を待ちわびます。
雁という字は中国では「ガン」と発音し、これは雁の鳴き声を表したもので、これが日本では「かり」と変化したそうです。
『古今和歌集』に「待つ人に あらぬものから 初雁の けさ鳴く声の めずらしきかな」という在原元方の歌があります。
想い待つ人でもないのに、今朝聞いた初雁の音には胸がはっとした、と雁の初音は心躍るものだったのでしょう。
今回の特集は、みかん料理特集「みかんがアクセント」とシェフの知恵は「蟋蟀戸在 温州蜜柑編」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹