小寒_令和7年1月5日から令和7年1月19日まで
阿佐ヶ谷あたりで 大ザケのんだ
正月になると思い浮かぶ「五言絶句」に、八世紀の唐の詩人・高適(こうてき)の「田家春望」があります。
私が五言絶句を言語で堪能できる訳もなく、井伏鱒二の訳によるものです。
田家春望/高適
出門何所見
春色満平蕪
可歎無知己
高陽一酒徒
家を出てみりゃ 当て所も無いが
正月気分が 何処にもみえた
ところが会いたい ひともなく
阿佐ヶ谷あたりで 大ザケのんだ
訳/井伏鱒二『厄除け詩集』
この訳詩は秀逸です。
高適の五言絶句であるのには間違いないのですが、井伏鱒二はこの訳によって高適の手からこの詩を奪い取って完全に自分の詩としまいました。
なにせ4句の結句は「阿佐ヶ谷あたりで大ザケ呑んだ」です。まさに超訳です。
今回の特集は、もち米料理特集「もち米変化」とシェフの知恵は「雪下麦出 糯(もち)米編」です。
『シェフパートナーズ 料理塾』編輯子 秋山 徹