「慈華」
田村亮介
柔らかくしっとりとした棒棒鶏のゆで方をご紹介します
口伝
棒棒鶏と棒棒鶏を使った冷やし中華
それでは「棒棒鶏/バンバンジー」を作ります。
漢字で〝棒〟〝棒〟〝鶏〟と書きますが、むかし中国では、硬い肉を棒で叩いて繊維を壊して柔らかくして食べていたという、いわれがあります。
今回使用する「鶏むね肉」は、茹でるとパサつくといわれますが、それは脂身がなくスジがないので、急激に加熱をすると固まってしまうからです。
本日は「鶏むね肉」をしっとりと柔く仕上げるポイントをご説明しながら「棒棒鶏」を作りたいと思います。
鶏むね肉を茹でる
「鶏むね肉」は、厚みが均等ではありませんので、厚い部分を包丁で削ぎ、横から見て厚みが均等になるようにします。
厚いところ薄いところがありますと、薄いところには火が入って、厚いところにはまだ火が入っていない、という現象が起こります。
ですから厚みを均一にするようにします。
「鶏むね肉」は急激な加熱や加熱をしすぎると硬くなってしまいますので、ゆっくりと火を入れます。
鍋の沸騰した湯に、厚さを均等にした「鶏むね肉」いれて火を止めます。
このまま放置して、ゆっくりゆっくりと温度を下げながら余熱で火を入れます。「鶏むね肉」の大きさにもよりますが、本日の300gの肉でしたら、おおむね13分から15分が目安です。
火をつけたまま茹でてしまいますと、肉の繊維が急激にどんどん縮んで、脂身が無いためとてもパサついて硬くなります。ですから火を消して放置することがいちばんのポイントです。
湯から取り出した「鶏もも肉」は常温に置いて粗熱を取ります。
湯の中でゆっくり火が入り、さらに常温に置いておくことによって、また余熱でゆっくりと火が入ります。
こうすることで〝硬くならないしっとりとした茹で鶏〟が出来上がります。茹で上がりの目安としては「鶏むね肉」の真ん中あたりを押して、しっかりとした弾力があるかどうかです。
指先で自分の口で噛んだ時の感触を感じるような感覚で確認ください。
具材を切る
中国料理には、主材料に合わせて他の材料も切りそろえるという定義があります。
「きゅうり」を細切りにして揃え、器に盛りつけておきます。「トマト」はお好みでくし切りにします。
「鶏むね肉」を細切りにしますが、切るポイントとして「鶏むね肉」は繊維の方向が二つに分かれています。
「鶏むね肉」の皮面と反対側を見ると、肉の3分の2くらいあたりに太い線が走っていて、その上と下では繊維の走る方向が違うことがわかります。このまま細切りにすると食感が悪くなります。
まず皮を取り、太い線に沿って切り取って、それぞれの繊維の方向に沿って薄切りするようにします。まず肉の横から包丁を入れて、手で剥がすようにすると綺麗に削げます。
削げた肉の繊維に沿って薄切りにします。
その際に繊維を断ち切るように切ってしまいますと、肉がポロポロになってしまいますので、必ず繊維に沿って切ります。
細切りにした「鶏むね肉」は、先ほど器に盛った「きゅうり」の上に乗せます。
ゴマダレを作る
薬味として「長ねぎ」と「生姜」のみじん切りを入れます。
「長ねぎ」をみじん切りにするときは、繊維に対して螺旋状に包丁を入れてから(ネギを回しながら包丁を入れます)、切れ目に対して直角に細かく切ると極小のみじん切りが切れます。
「生姜」にも繊維があります。それも「生姜」の繊維はとても硬いので、しっかり繊維を見ながら切ります。繊維に沿って細切りをしてから、直角にみじん切りするとプロのような細かい「生姜」のみじん切りができます。
ボウルに「砂糖」「酢」を入れてよくかき混ぜます。
このタレは加熱をしませんので、ここで良く「砂糖」を溶かすようにします。
馴染んだら「醤油」「ごま油」「芝麻醬※」を加えて、「ネギのみじん切り」と「生姜のみじん切り」を入れてよく混ぜ合わせる。
※芝麻醬/チーマージャン_炒ったゴマをペーストにして油と合わせた練りゴマ、沈殿するので使う前には良く混ぜる。
盛り付け
器の「鶏むね肉」の上に「ゴマダレ」をかけて、「ラー油」をかけ回して、「トマト」を盛り付ければ〈棒棒鶏〉の完成です。
冷やし中華
表示時間の1.5倍の茹で時間で、しっかり茹でた「麺」を流水で洗ってぬめりを取り、氷水にしっかりと冷やすと「麺」がしまります。
「ゴマダレ」を多めにかければ、夏の季節にもってこいの〈棒棒鶏の冷やし中華〉が出来上がります。
材料〈2人から3人前〉
材料 |
鶏むね肉 1枚/きゅうり 1/2本/トマト 1/2個 くごまソース> |
作り方
① きゅうりは6cm長 さの細切りにする。トマトはくし切 りにする。<こまソース>のしょうがと長ねぎはみじん切りにする。
②鶏むね肉の厚い部分をそぎ、厚さを均ーにする。
③ 鍋にたっぷりの湯を沸かし、鶏肉を入れ火を止める。13 ~ 15分程置き、取り出す。粗熱がとれるまで常温に置く。
④③を繊維に沿って細切りにする。
⑤ <こまソース>を作る。ボールに砂糖と酢を入れ、砂糖を溶かす。残りの材料を入れ、よく混ぜ る。
⑥ 器にきゅうり、鶏肉、トマトを盛り、<ゴマソース>をかける。仕上げにラー油をお好みでかけ完成。
⑦ 冷やし中華を作る。中華麺を表記時間の1.5倍ほどゆで、流水でぬめりを取る。氷水でしめ、ざるにあげて水気をしっかり切る。
⑧器に⑦を盛り付け、⑥の棒棒鶏をのせて完成。
◆むね肉はゆっくり加熱することで、しっとり仕上がる。
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