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フランス料理 髙橋雄二郎 料理の時候 通年料理 新着レシピ

豚バラ肉の発酵キャベツ煮込み

「ル・スプートニク」
髙橋雄二郎

シプルながら旨味が凝縮された奥深い味わい

口伝

豚バラ肉の発酵キャベツ煮込み

発酵キャベツというのは、フランスのアルザス地方の郷土料理のシュークルートChoucroute、ドイツではザワークラフトSauerkrautoと呼ばれるキャベツを発酵させたものと、それを使った酸味でソーセージや豚バラ肉を煮込んで食べる料理となります。
今回は自家製でその料理を作ってみたいと思います。

発酵キャベツを作る

千切りにした「キャベツ」をボウルに入れ、キャベツの2%の分量の「塩」を入れて揉み混みます。
通常は3%の塩をしますが、自家製ということもあり、後で味を調節できるようにする事と煮汁ごと美味しく食べることができるようにするために、2%ほどに抑えて作ります。
「塩」で揉んでいるうちに「キャベツ」から水分が少しずつ出てきます。
「キャベツ」がシンナリしてきましたら、フランではシュークルートに良く使われる「ジュニパーベリー/黒胡椒で代用可」の粒と「ローリエ」を加えます。
ジュニパーベリーJuniper berries _セイヨウネズという針葉樹の果実で、蒸留酒のジンの香りにも使われる。


「キャベツ」をよく揉み込みましたら、密閉瓶に入れて保村しますが、密閉瓶は必ず2分間煮沸消毒してからお使いください
密閉瓶に1週間ほどつけたものを使いますが、保存の間は出来るだけ密閉瓶の蓋を開けないようにして空気に触れないようにします。


日本でいう酸味のある〝漬物臭〟がしてきましたら料理に使って大丈夫です。

豚バラ肉の下処理

「豚バラ肉」に多めの「塩」「胡椒」をして30分から1時間おきます。
こうすることによって余分な水分が抜け、煮上がった時に「豚バラ肉」が柔らかすぎず締まった状態で仕上がります。
置いておいた「豚バラ肉」を熱したフライパンに脂面を下にして入れます。
ここで焼き色を付けるのは、旨味を閉じ込めるという意味ではありません。
脂の多い「豚バラ肉」はその脂が美味しいのですが、適度に脂を落とすことによってクドイ味ではなくなり、先にふった「塩」の効果と同じように肉が締った状態で仕上がります
脂面に香ばしく焼き色がつきましたら裏返して、肉の部分にも火を入れますが脂が少ないのでほんの数秒で大丈夫です
火を入れすぎてしまうと、パサついてしまいますので注意して下さい。

煮込む

「豚バラ肉」を煮込むには、蓋つきの密閉度の高い鍋を使ってください。
鍋に、みじん切りにしてオリーブオイルにつけた「ニンニク」と「オリーブオイル」を入れて熱し、香りが立ってきましたら「玉ねぎ」と「塩」を入れてしんなりして色付くまで炒めます。
ここに「発酵キャベツ」を汁ごと入れて、またしんなりするまで炒めます。


この時ローリエを外しますが、ちぎれていることが多いので探しながら取り除いてください。
スパイシーさを増すために「クミンシード」を加えます。
「発酵キャベツ」は5分ほど炒めますとちょうど良い具合にしんなりしてきます。

フランス料理でソースやポタージュスープを作る場合には、食材をしっかり炒めて旨味を凝縮させてから作ります。
「発酵キャベツ」が炒まりましたら、「白ワイン」を加えて酸味が飛ぶまで煮詰めてから「豚バラ肉」を脂身を下にして入れます。
さらに「豚バラ肉」がヒタヒタになるくらい「水」を注ぎ、一旦に沸かします。
沸く寸前にアクが出ますのでしっかりと取り除きます。


アクを取りましたら、紙蓋をしてさらに鍋蓋をしてから、途中「豚バラ肉」をひっくり返してアクを取りながら1時間半から2時間煮込みます。
煮込んで柔らかくなった「豚バラ肉」を取り出します。


このまますぐに召し上がる場合は、そのまま熱いままカットして大丈夫ですが、時間をおいて召し上がる場合や肉が残りそうな時には、熱いうちにラップで包んで密閉しますと、肉の繊維が熱の力で膨張して繊維が開いた状態を保ったまま冷蔵保存できます

煮汁は味を見て薄いようでしたら少し煮詰めますが、味が決まっているようでしたら、このままソースに使います。
鍋に煮汁を入れ、すり流しのような状態にして肉と相性が良いようにソースにするために、ハンドミキサーで撹拌してみぞれ状にします。
粗熱をとって冷蔵保存した「豚バラ肉」をカットして、鍋のソースに入れて火をつけ温めます。


「発酵キャベツ」の煮汁は色がくすんでいますので、綺麗に仕上げるには、「パセリ」などを塩茹でしてミキサーで撹拌したピュレを加えると、緑色が戻り美しい「ソース」に仕上がります。

煮込む

皿に香ばしくソテーした「キャベツ」を盛り、その上に温めた「豚バラ肉」を乗せ、「ソース」をかけて「フルール・ド・セル(大粒の天然海塩)」「黒胡椒」、彩りに「アマランサスの葉」を散らし、最後に「エキストラ・ヴァージン・オリーブオイル」をまわしかけて出来上がりです。

発酵して酸味が増したキャベツで煮込んで旨味を引き出した「豚バラ肉 発酵キャベツ煮込み」の完成です。

  材料〈6人前〉

材料 豚バラかたまり肉1kg/塩 適量/粗挽き胡椒 適量/にんにく(みじん切り)1かけ分/オリーブ油 大さじ1/玉ねぎ(繊維に沿ってみじん切り)1個分/クミン(シード)小さじ1/白ワイン 1カップ/パセリのピューレ(※2)好みで適量/黒粒こしょう(砕く)適量/フルール・ド・セル(※3)適量/アラマンサの葉(あれば)適量/EXVオリーブ油 適量
キャベツの千切り 500g/塩(キャベツの2%)10g/黒粒こしょう 10粒/ローリエ5枚/ジュニパーベリー(※1)あれば10粒

※1ジュニパーベリー_ヒノキ科の常緑針葉樹の果実。食品の保存を高める効果があり、松ヤニのような香りが特徴。ハムの漬け込み液やジンに香りづけとして使用される。
※2パセリのピュレ_パセリの葉とほうれん草の葉をそれぞれ6分ほどゆでてから冷水にとり、ミキサ ーでピュレ状にして合わせたもの。
※3フルール・ド・セル_塩田で天日によって濃縮された海水の表層に浮かぶ結晶を集め、時間をかけて作られる塩。大粒でミネラルを豊富に含み、うま味が強い。フランスのゲランド産やカマルグ産が有名。

作り方

① <発酵キャベツ>を作る。キャベツに塩を入れ、ビニール手袋をはめた手で揉み込む。しんなりとしたら、こしょう、ローリエ、あればジュニパーベリーを入れて混ぜ合わせる。
② ①を煮沸消毒した保存瓶に入れてふたをし、室温に置いて軽く酸味が出るまで1週間ほど発酵させる。(すぐに使わない場合は、発酵したら冷蔵庫で保存する)
③ 豚肉全体に塩、こしょうを多めにすり込み30分~1時間おく。
④ フライパンを強火で熱し、②の豚肉を皮目を下にして焼く。焼き色がついて脂が落ちたら裏返し、反対側もさっと焼いて取り出す。
⑤ 煮込み用の鍋に、にんにくとオリーブ油を入れて中火にかける。香りが立ったら玉ねぎと塩少々を加え、玉ねぎが軽く色づくまで炒める。
⑥ ②の〈発酵キャベツ〉からローリエを取り除いて汁ごと加え、クミンも加えて5分ほど炒める。白ワインを加え、2~3分煮詰める。
⑦ ⑥に脂身を下にした④の豚肉を入れ、水(分量外)をひたひたに注ぐ。強火にし、沸いたら弱火にしてアクを取り除く。紙ぶたとふたをして、時々豚肉を返してアクと油を取り除きながら1時間30分~2時間煮る。
⑧ 豚肉を取り出し、熱いうちにラップで包み、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。こうすると肉汁が豚肉に留まってしっとりとし、切る際も崩れない。
⑨ ⑦の煮汁をキャベツ、玉ねぎとともに別の鍋に移し、ハンドミキサーでみぞれ状に撹拌する。
⑩ ⑧の豚肉を6等分に切り分け、⑨に入れて火にかけて温める。彩りの為に好みでパセリのピュレを加え、混ぜ合わせる。
⑪ 器に盛り、黒こしょうとフルール・ド・セルを振り、あればアマランサスの葉を飾り、EXVオリーブ油をかける。お好みでオリーブ油でさっと炒めたキャベツを敷いても(各分量外)。

豚肉を焼くのは余分な脂を落とす為なので、赤身部分はさっと焼くだけでよい
すぐに食べる場合は、豚肉が煮えたらラップに包んで冷やさなくてもよい。

 

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