野﨑洋光
あしらいに蛇腹きゅうりを添えて
口伝
タイの昆布締め(土佐酢)
〈土佐酢を作る〉
「土佐酢」というのは、〝鰹節〟を使いますのでその名があります。
かつお出汁を使いまして、三杯酢の変形を作ります。
ここで覚えていただきたいのは、「出汁3・酢2・薄口醤油1・みりん1」という配合で〝合わせ酢〟を作るということです。
これを鍋に入れて、ひと煮立ちさせすっきりとした味に仕立てます。
これは「タコ酢」「イカ酢」などにお使いになれる万能酢となります。
10日以上冷蔵庫で保存できますので、作り置きされるとよろしいかと思います
本日は〝昆布締めした魚〟に使いたいと思います。
〈タイの昆布締めを作る〉
魚を昆布締めにする場合は、両面に塩をします。
サク取りして皮を取り除いたタイの両面に、塩を振ってから20から30分置きます。
30分で塩がタイに馴染みましたら、酢にくぐらせて塩を落とす「酢洗い」をします。
ただし魚は長く酢に浸けないでください。
アジで5分、身の厚いサバなどは20分程度浸けたりいたしますが、白身魚は洗う程度でよろしいです。
酢洗いの酢の場合は、殺菌の意味もありますので、煮切らずそのまま原液をお使いください。
酢洗いしましたタイは、ペーパータオルにのせて軽く押さえて、酢を拭き取ってください。
タイに挟む昆布を、酢を含ませたペーパータオルで、湿らせない程度にさっと拭きます。
この昆布の上にタイを置いて挟み2時間ほど置きます。
素材の味を活かすために、あまり長い時間昆布に挟まないようにしてください。
2時間から3時間が理想的な時間です。
〈蛇腹きゅうりを作る〉
「きゅうり」に塩をまぶして板ずりしてから、湯通ししますと綺麗に発色します。
きゅうりが綺麗に発色しますと食欲が増しますが、面倒でしたら、塩ずり・湯通しを省いても結構です。
湯通しした「きゅうり」を氷水に取って冷やした「きゅうり」を蛇腹に切ります。
四隅を綺麗に四角にカットしてから、切り落とさないように包丁を浮かせながら、片面づつ交互に交差するように斜めに切り込みを入れていきます。
切り落とさないようにするのが難しいようでしたら、箸を一本きゅうりの手前に置いて包丁を入れますとうまく切ることができます。
蛇腹に切りました「きゅうり」を、昆布を入れた15%の濃度の塩水に浸けます。
こうすることによって、水げが抜け、下味がついて美味しい「蛇腹きゅうり」になります。
〈盛り付け〉
昆布締めしたタイを〝そぎ切り〟にして、輪切りにした「すだち」を挟みます。
器に「戻したわかめ」を置き、タイの昆布締めを手前に置いて、切った蛇腹を添えます。
そこに使いやすくまろやかな万能酢「土佐酢」をかければ〈タイの昆布締め〉の完成です。
材料〈2人前〉
材料 |
鯛などの白身魚(刺身用) 1さく/塩 適量/酢 適量/昆布(10㎝×20㎝) 2枚/すだち(薄切り) 1/2個分/きゅうり 1本/わかめ 適量 |
〈土佐酢〉材料 |
カツオ出汁 大さじ2/酢 小さじ4/うす口しょうゆ 小さじ2/みりん 小さじ2 |
作り方
① 白身魚は両面に塩をふって20分おく。酢にくぐらせて塩を落とし(=酢洗い)、ペーパータオルにのせて軽く押さえ、酢をふきとる。
② 昆布は軽く酢を含ませたペーパータオルで、表面をさっとふく。① の白身魚を昆布2枚で挟み、ラップでぴったりと包む。バットをのせて軽く重しをのせ、2時間おいて昆布締めにする。
③ 土佐酢を作る。小鍋に<A>土佐酢の材料を入れて中火にかけ、ひと煮立ちしたら火を止め、そのまま冷ます。
④ 蛇腹きゅうりを作る。きゅうりは塩を適量まぶして板ずりし、切り離さないように2/3深さまで斜めに切り目を入れ、180度回して同様に切り目を入れる。15%の塩水(※)に好みで昆布5cm(分量外)を入れた中につけておく。※水100mlに塩15gを溶かしたもの。
⑤ わかめは水でもどし、塩蔵の場合、さっとゆでて水にとり、一口大に切って水気を絞る。
⑥ ②の昆布をはがして白身魚をそぎ切りにし、すだちの薄切りを挟み、器に盛る。一口大に切った蛇腹きゅうり、わかめを添えて、土佐酢をかける。
※土佐酢のうす口しょうゆは好みで加減してもよい。濃口しょうゆでもよい。
※蛇腹きゅうりを切るときは、割り箸をかませると失敗せずに切れる。
※そぎ切りにした白身魚を使えば、1時間ほどで昆布締めになる。
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