「山さき」
山﨑美香
春の香りをシンプルに。〆の雑炊まで絶品
口伝
春の筍鍋
筍と鯛のお鍋を作りたいと思います。春に一番美味しい「筍」と「鯛」、それから春野菜の「うど」「せり」を使い、春の味をたくさん体に入れていただきます。
具材の用意
「うど」の皮を厚めに切り、芯の柔らかい部分5cmほどを使います。
薄い短冊切りにしてから1時間ほど水にさらしますが、水の色が変わるたびに2回から3回、水を替えてください。
「うど」は、水にさらさないと強いアクが抜けず、色も濃い黄色になってしまいます。
十分に水にさらすことで、真っ白で綺麗な「うど」になり美味しくいただけます。
「うど」は、先端の芽の部分が黒っぽくない新鮮なものをお選びください。
(表皮にうぶげがびっしり密生しているもので、触ってみてチクリとするくらいのものが新鮮)
「うど」の、頭や腕などのその他の部分は、刻んで〝醤油や酒で煮たり〟〝天ぷら〟にすると美味しく召し上がれます。
茹でた「筍」の頭とお尻の硬い部分を落とし、縦半分に切ってから歯応えが感じられるように2mmから3mmの厚目の薄切りにします。
「鯛」は、皮付きをひと口大の適当な大きさに、そぎ切りします。
「鯛」が新鮮なものならそのままで結構ですが、水が出ていたり、身の透明感があまりないようでしたら、軽く塩をして、少し〝休めた〟ものを使うと良いと思いますので、鮮度を見極めてください。
「せり」は口に入るくらいの大きさ5cmほどの長さに切ります。
砂抜きした「はまぐり」を用意します。
春の香り「木の芽」もたっぷり用意します。
鍋を炊く
御汁は「カツオの出し汁」に「塩」「醤油」で下味をつけたものです。
必ず土鍋の御汁が沸いてから、具材を入れます。
お鍋を美味しく食べるコツは、全部の具材をいっぺんに入れるのではなくて、食べる分だけ入れて、出来上がってから全て引き上げるというのを何度か繰り返しながら食べると、すごく美味しいお鍋が楽しめますので、ぜひお試しになってみてください。
土鍋のお汁が、グラグラと沸いているくらいは火が強すぎますので、フツフツと沸くくらいになりましたら、まず1/4ほどの「筍」をいれてから「鯛」を入れます。
お鍋料理の火加減は、具材のお魚をいれてくるっと丸まるくらいの状態が、ちょうど良い状態です。
入れる順番は、お野菜はさっと火が通れば召しあがれるものばかりですので、「鯛」を先に入れて火を通します。「筍」はあらかじめ茹でていますので、温まれば良いのですが、「筍」の風味が良く出るように最初に入れます。
つぎに「はまぐり」は口が開いたらすぐに取り出したいので、よく頃合いをみてください。
「鯛」に火が入り、身が真っ白になって割れてきましたら「うど」「木の芽」を入れます。
「はまぐり」の口が開きましたら、取り分けます。
くりかえしますが、お鍋の中には食べる分だけを入れて、煮上がったら全部取り出していただくと美味しく召し上がれます。
旬の食材をひとつの鍋で満載の春をお楽しみください〈春の筍鍋〉できました。
〆の雑炊を作る
雑炊は、野菜や魚の屑などがない状態、綺麗にお鍋を食べ終わりましてから作りたいと思います。
綺麗な御汁の中に「ご飯」を入れてほぐしてから、蓋を開けたまま米の粘りが出るまで煮ます。
土鍋の真ん中に米の〝おねば〟みたいなものが出てきたら、すくって取り除きます。
ブクブクする泡が大きくなるまで待ちます。最後に「卵」でとじますが、「卵」は室温に戻したものをお使いください。
白身と黄身をよく混ぜてます。雑炊は決まりはないので、サラサラであったり、ねっとりであったり、お好みで火加減を調整ください。
鍋中の「ご飯」の偏りを無くしてから、さっと卵を入れてざっくり混ぜて火を止めて、ほんの少し蓋をして蒸らします。
最後に「木の芽」を散らしていただきます。
材料〈2人前〉
材料 |
ゆで筍(小) 2本/鯛(皮つきサク) 150g/はまぐり(砂抜きする) 6個/せり(5cm長さ) 1束/うど 1~2本/木の芽 適量 |
〈出汁〉 |
だし汁 3カップ/塩 小さじ2/3/しょう油 小さじ1 |
作り方
① うどは5cm長さに切り皮を厚めにむく。薄く短冊切りにし1時間ほど水にさらす。(途中何回か水をかえる)
② 筍は縦半分に切り2~3mm厚さに切る。鯛は一口大のそぎ切りにする。
③ 器に食材を盛る。
④ 土鍋にだし汁、塩、しょう油を入れ沸かす。具材を食べる分だけ入れる。
⑤ 雑炊を作る。鍋に残ったきれいな汁にご飯を入れてほぐし、米の粘りが出てくるまで煮る。卵をよく溶いて回し入れ、ざっくり混ぜて火を止め、ふたをして蒸らす。木の芽をちらし器に盛る。
◆鍋に具材をいっぺんに入れないで食べる分だけ入れ、グツグツ煮ない。そうすると最後まで澄んだきれいなスープになる
◆卵は常温にしておくとふわふわな卵とじになる。
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