「銀座あさみ」
浅見健二
白味噌と相性バツグン。ご家庭で作れる西京焼
口伝
甘鯛の澪漬け(西京焼き)
新鮮な甘鯛をご用意ください。
甘鯛は関東でも獲れますが、西日本中心に獲られています。
深海にいる魚で「白」「赤」「黄色」の種類がありますが、「赤甘鯛」が一番漁獲量が多いようです。
甘鯛の焼き方には〝若狭焼き〟という方法もありますが、今回の〈西京焼き〉は白味噌と大変相性が良く焼いた時になんとも云えない味噌の風味の味わいの料理となります。
甘鯛の処理
鮮魚店で求めていただき、三枚におろしてもらって、できましたら固い中骨も抜いてもらってください。
バット全体に平均して塩を振り、「甘鯛」の皮を下にして置きましたら、同じように上から甘鯛全体に均等に塩を振ります。
塩は指の間から均等に塩を出して振るようにします。
塩を振りましたら2時間ほど置きます。
味噌床を作る
「白味噌の粒味噌」という種類の味噌を使います。
「粒味噌」は大豆や米麹を濾さずに残った状態の味噌で、香りやコクが強く、魚やクセのある食材を漬けるときには、〝濾し白味噌〟ではなくこの「粒白味噌」を使います。
「粒白味噌」は、そのままの状態ですと硬いので適度の柔らかさにするために「みりん」を加えてのばします。
「みりん」が完全に「粒白味噌」に馴染むようによく練ります。これは「甘鯛」が浸かりやすい状態にするための作業です。
混ぜて力を加えなくても楽に混ざる程度までのばします。
伸ばしすぎるとべちょべちょになってしまいますのでご注意ください。
味噌が練り上がりましたら、タッパ(密封容器)に味噌を塗って、ヘラなどで均等にのばして味噌床を作ります。
タッパ(密封容器)は深さが5mmから1cmで魚が入る大きさのものをご用意ください。
甘鯛を漬ける
塩をして2時間ほど経った甘鯛は、臭みと余分な水分が取れています。
そのまま漬けてしまうと生臭くなりますので、布巾でしっかりと水分を拭き取ります。
タッパの味噌床にガーゼを被せ味噌と馴染むように手でなじませます。
この方法を〈床漬け〉と呼びますが、ガーゼを被せずに直接漬けることを〝どぶ漬け〟と呼びます。
どぶ漬の場合は、食材を取り出した時に味噌をきれいに取らないと、焼いた時に味噌が焦げて風味が悪くなってしまいます。
水分を拭き取った「甘鯛」を味噌床にのせて、その上にガーゼを被せて、のばした「白味噌」をのせヘラで平均に広げます。
この状態で1昼夜から2昼夜寝かせます。
2昼夜ほど寝かせましたら、味噌床のガーゼを剥がして「甘鯛」を取り出します。
2昼夜漬けますと「甘鯛」は飴色になっております、これが〈西京漬け〉の特徴です。
味噌床は2回から3回使うことができますが、今回は最初に魚を漬けましたので、どうしても生臭さが残りますから、残り2回も魚を漬けてください。
最初に野菜などを漬けた場合は、2回目に魚を漬けたり、豚や牛などの肉を漬けたりして使うことができます。
食べやすい大きさに切り分けて、火の通りを良くするためと皮が縮まないように「甘鯛」の皮目に5mm間隔で包丁を入れます。
皮目に包丁を入れる場合は、丸めた布巾の上に「甘鯛」を乗せると切り目を入れやすくなります。
甘鯛を焼く
「甘鯛」に焼き串を打つときは、手前に小さな身を打って、だんだんと大きな身を串に通します。
串は扇状に打つようにします。
「甘鯛」を焼くときは、片面を焼いてひっくり返す際に、焼き串を内側に回してから焼きます。
そうしないと、焼き上がって串を抜くときに串に身がついて形が崩れてしまいます。
焼き上がったら串を回しながら抜きます。
ご家庭の魚焼きグリルで焼くときは、弱火でじっくり焼くようにしてください。西京焼きはサンマの塩焼きのように皮が焦げては美味しくない料理ですので、注意しながら焼いてください。焼き加減を確認するのは、端の部分を食べてみるというのが一番確実です。
「はじかみ」を添えて器に盛り付けます。
白味噌でしっかり浸かった〈甘鯛の味噌漬け〉できました。
材料〈4人前〉
材料 |
甘鯛 1/2尾/塩 適量/白味噌(粒) 1キロ/みりん 大さじ6/はじかみ 適量 |
作り方
【下準備】
・甘鯛を3枚におろし、鱗・中骨を除く
① バットに塩をふり、皮目を下にして甘鯛をおき、上から塩をふる。2~3時間置いたらペーパーなどで水気をふきとる。
② 味噌床を作る。ボールに白味噌を入れ、みりんでのばす。
③ 甘鯛が入りそうな大きさの密閉容器に、②をへらなどで1cm~5mm厚に広げ、ガーゼを置き、①の甘鯛をのせ、更にガーゼをかぶせ、その上に味噌床を広げる。二晩ほど寝かせる。
④ ③を取り出し、食べやすい大きさに魚を切り、皮目に5mm間隔で切れ目を入れる。
⑤ ④に串を打ち、焼く。焼きあがったら串を回しながら抜く。
⑥ 器に盛り、はじかみを添える。
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