「山さき」
山﨑美香
しょうゆをキリッときかせた、お酒がすすむ味
口伝
江戸のおせち料理 数の子
江戸のおせち料理 祝い肴「数の子」
数の子は子だくさん、ニシンの子供から二親(ニシン)健在という「祝い肴」となっています。
※数の子は子孫繁栄や子宝の象徴で、ニシンの子であることから、二親(ニシン)から子が生まれ代々栄えるようにと、おせち料理の祝い肴となっています。
数の子の塩抜きと薄皮剥き
「数の子」は、塩漬けのままのものを保存容器に入れて、たっぷりの水に一晩浸けます。
翌朝、水を換えたものを使いますが、気になるようでしたら端の方を食べてみて塩分が抜けているかどうかを確認してください。
塩抜きをした「数の子」の薄皮をきれいに剥きます。
「数の子」の両面を、背の方から指でこするような感じで寄せて剥いていきますが、ヒダの間ひとつひとつに入っていますので、爪楊枝などを使い、少し広げるようにしてヒダ一本一本の薄皮を除きます。
塩抜きがきちんとできていないと、薄皮が非常に剥きづらいので、塩抜きが十分でなく剥きづらいと感じましたら、再び保存容器に新たに水を入れて塩抜きをしてください。
この「数の子」の薄皮剥きは、おせち料理の作業の中で時間のかかるもののひとつです。
薄皮を剥いた「数の子」を神を敷いたバットの上に並べて水気を切ります。
漬け汁を作る
鍋に「酒」と、出汁用の「昆布」を入れてから強火で沸騰させますが、沸騰したら酒に火がつかないように火を弱めます。
アルコールの香りを確かめて、ツンとした香りが柔らかくなったところで「水」を加えて、再度沸騰させます。
再度沸騰しましたら「醤油」を加えて、さらに沸騰させてから「かつお節」を入れます。
「かつお節」を入れましたら火を止めて、このままの状態で冷めるのを待ちます。
「漬け汁」が冷めましたら、紙を敷いたザルで濾します。箸で紙を押さえ絞りながら最後の醤油まで濾します。
数の子を漬ける
薄皮を剥いて水花を切った「数の子」を保存容器に並べて紙をかぶせた上から、完全に冷めた「漬け汁」を浸します。
「数の子」の中まで漬け汁が浸みたほうが美味しいので、3日から4日目が食べごろですし、御汁から出さなければ5日から6日日持ちします。
浸け汁を作る際に、それぞれの材料を沸騰させていますので、すぐ傷むということはありませんので、冷蔵庫から出して、食べる分だけ保存容器から取り出して切り分けるようにしてください。
甘い煮物がたくさん入るおせち料理の中で、お醤油が効いてキリッとした〈数の子〉が他のものとの引き立て役にもなります。お酒にもあいますのでいかがでしょうか。
材料〈数の子10本分〉
材料 |
塩数の子 10本/酒 300ml/昆布(4~5cm角) 1枚/水 300ml/しょうゆ 2/3カップ/かつおぶし 20g |
作り方
① 塩数の子はたっぷりの水に浸けて一晩おき塩を抜く。味をみて少し塩気が残るくらいになればよい。
② 数の子の表面の薄皮を、背から腹へこすり丁寧に取り除く。筋のあいだの薄皮は、楊枝を使って除くとよい。ペーパータオルを敷いたバットに並べて水気をきる。
③ 鍋に酒、昆布を入れて強火にかけ、沸騰したら少し火を弱めて煮立て、アルコールをしっかり飛ばす。
④ ③に分量の水を加えて強火にし、煮立ったらしょうゆを加える。再び煮立ったらかつおぶしを加え、すぐに火を止める。そのまま冷めるまでおいたら、厚手のペーパータオルを敷いたざるで濾す。
⑤ 保存容器に②の数の子を並べ入れ、ペーパータオルをかぶせ、④の漬け汁を注ぐ。数の子の中までしっかり味が染みる3~4日後が食べごろ。食べる直前に一口大のそぎ切りにして盛りつける。
保存方法:漬け汁ごと密閉容器に入れ、冷蔵庫で1週間保存可。
◆塩抜きした数の子は薄皮がむきにくい場合、もう少し水に浸けておくとむきやすくなる。
◆数の子の皮を丁寧にむくことで、仕上がりの美しさに違いが出る。
◆漬け汁は、調味料の酒、水、しょうゆをそれぞれ煮立てることで日持ちがよくなる。
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