肝を入れて、さらに贅沢な味わい
口伝
あわび粥/チョンボッチュッ
「お粥」は韓国でも魚介を使ったもの、肉を使ったもの、シンプルなものと本当にたくさんの種類があります。
本日は、その「お粥」の中でも一番上等な「あわび粥(チョンボッチュッ)」をご紹介します。
韓国の人たちは昔から「あわび」が体に良いことを知っていましたので、高級品ではありますが、病み上がりや産後など本当に体が弱っている時に食べました。
「あわび」を生で食べるよりは「お粥」にする方が、じんわり体に浸み込んで体に効くと云われます。
「お粥」にするからどんな「あわび」でも良いというわけではありません。新鮮な生きたものを「お粥」にします。
シンプルですがとても美味しい「お粥」ですのでぜひお試しください。
あわびの処理
「あわび」は塩を振って流水できれいに洗います。
次にナイフを使って殻から身を外します。
殻の丸くなっている方の反対側からナイフを入れます。
できるだけ殻に身が残らないように外します。殻に残った身も削って「お粥」に入れます。
殻はお刺身の盛り付けに使ったりできますので、取っておきましょう。
取り外した「あわび」の内臓と身を切り分けます。
内臓とヒモを外しますが、ヒモも切り分けて「お粥」に入れます。
内臓は後ほど裏ごしします。
身から口を取って、もう一度流水で洗います。
「あわび」の身を半分に切って、斜め切りにしますが、手前に引くよりも向こう側に切るようにしますと、指を傷つけることがなく安全です。
「あわび」が大きく硬いようでしたら、その部分に包丁の角(アゴ)でちょんちょんと叩くようにすると、火が通った後でも柔らかい出来上がりになります。
内臓(肝)はざく切りにして、指を使ってザルで濾してください。内臓(肝)は「あわび」の種類によって大きさや色などが違ってきます。
肝が入ると「お粥」の栄養価が一層高まると云われています。同じ「あわび粥」でも肝が入ると「あわび肝粥(チョンボッネジャンチュッ)」と名前も変わります。
家庭でしたら濾した後の内臓も「お粥」に入れて結構だと思います。
濾した肝を、洗って30分ほど浸水してからザルにあげて晒した「米」に加えて混ぜ合わせます。
混ぜ合わせて「米」に内臓が浸み込みましたら、お米の準備は完了です。
お粥を炊く
厚めの土鍋などに「ごま油」をひいて火を点けます。鍋と「ごま油」が温まってきましたら「肝をまぶした米」を入れます。
韓国粥には色々な作り方がありますが、特徴的なのは「お米」を先に「ごま油」で炒めることが多く、こうしますと「お粥」が深い味になりますので、普通の「白粥」でもお試しになってください。
中火で焦げないように「米」をヘラで炒めますと少しずつモッタリとしてきます。それを手で感じることができます。
「あわび」の種類によって、内臓が緑色だったり真っ黒だったりしますが、鮮度には関係ありませんのであまり気にせずとも大丈夫です。
「米」がモッタリとしてきましたら「あわび」を入れ、「水」を注ぎます。
韓国粥は「米」の分量に対して5倍から6倍の「水」、多くても8倍が目安です。
この時、焦げ付かないように鍋底を一度必ず掻き混ぜてください。蓋をして炊きますますが、「お粥」が沸いてくるまでは中火にします。
10分くらい経ちましたら蓋を開けて様子を見ます。全体が沸いて温まっていましたら、アクを取り除き蓋をして火を弱め30分ほど炊きます。
鍋からふきこぼれたり、ボコボコ沸いたら鍋底を撫ぜてあげてまた蓋をします。ふきこぼれない火加減を調節しながら炊きます。
20分ほどで炊き具合を再度確認して、全体を混ぜ合わせます。とろ火で、出汁と「米」が一体になるところまで炊きます。
器に盛り付ける前に味の調整はしません。召し上がる方が一口そのまま味わい、各自が「塩」や「醤油」で好みの味付けをします。
美味しくて、滋養豊かなふっくらした味の〈あわび粥〉ぜひお試しください。
材料〈4人前〉
材料 |
米 1カップ/活あわび(殻つき) 1個/ごま油 大さじ1~2/水 約7カップ/しょうゆ・塩 お好みで適量 |
作り方
① 米は洗って30分ほど水につけ、ザルにあげる。
② あわびは塩(分量外)を振って洗い、殻から身をはずし、薄いそぎ切りにする。包丁でかたい部分には切り込みを入れる。肝はザルでこし、1の米に混ぜる。
③ 鍋でごま油を熱し、米を中火で炒める。全体に油がまわり、もったりしてきたら、あわびを加え、分量の水を注いでまぜる。
④ ふたをして中火にかけ、8~10分して沸騰したら、アクをとり火を弱める。米がふっくらとするまで、30分ほどかけて炊く。(途中、焦げつかないように、静かに混ぜる)
⑤ ④を器に盛り、お好みでしょうゆ、または塩で味を調える。
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