「ラ・テンダロッサ」
西沢健三
サクサクモチモチの生地と、トロリとした具が絶妙な相性
口伝
クロスティーニ3種
「ピッツァフリッタ」はイタリア・ナポリで食べられる揚げピザです。
中に入れる具は無限にありますが、本日は一番ベーシックなリコッタチーズを入れたものをご紹介します。
生地を作る
ボウルに「中力粉」と「塩」を入れてよく混ぜます。
「水」に「生イースト※」を入れ溶かします。この時に「塩」を入れる方がいますが、「イースト菌」が死んでしまい発酵し辛くなりますので「塩」と「イースト」は必ず別にしてください。
※ドライイーストを使う場合は、生イーストの半分の量にしてください。
「水」に溶かした「生イースト」をボウルに加えて、よく混ぜ合わせます。
混ぜ合わさったら、台に移して捏(こ)ね上げてグルテンを出します。
ピッツァ生地はパン生地よりも水気が多いので、比較的こねやすいと思います。
体重をかけながら、中に包み込むように練り込みます。
こね具合の目安としては、「生地」に艶が出てきて、手につかなくなると頃合いです。
丸めてボウルに入れ、霧吹きで表面を湿らせてからラップで蓋をし、暖かい場所で1時間ほど寝かせて「一次発酵」させます。
今回の分量で「ピッツァフリッタ」4個分の生地になります。
「一次発酵」した生地を目分量で4分割します。
4分割した「生地」をパンづくりと同様、大福のように丸めて〝へそ〟を作り、それを下にしてバットなどに並べ「二次発酵」させます。
しっかり「一時発酵」させていますので「二次発酵」は30分から1時間もあれば十分です。
また、「生地」を揚げるまでに時間が空くようでしたら、冷蔵庫で保存してください。
冷蔵庫で保存した場合は、「生地」を常温に戻しますとふっくら揚がります。
「二次発酵」が終わった「生地」を伸ばしますが、柔らかすぎる場合には、少し冷蔵庫に戻して締めます。
本来ピッツァは常温で柔らかい「生地」を必ず使いますが、この「ピッツァフリッタ」の場合は、綺麗に薄く伸ばす必要があるのと、油で揚げるために形を優先するため多少固めにします。
成形する
「生地」を綿棒で薄く伸ばして直径20cmから25cmの円形にします。
「生地」に「リコッタチーズ」「モッツァレラチーズ」、ちぎった「バジル」「トマトソース※1」「パルミジャーノチーズ※2」「モルタデッラハム※3」もしくは「プロシュートコット※4」を中央にのせ半分に折ります。
※1.ホールトマトを手でつぶしたものか、フードプロセッサーで砕いたものに1%の塩分を加えたもの
※2.パルミジャーノチーズよりも熟成期間が短く価格もリーズナブルなグラナパダーノチーズでも可
※3.モルタデッラ_ボローニャ周辺で作られ、材料となる豚の肉や内臓を、モルタイオ(鉢)ですりつぶしたことからモルタデッラと呼べれるようになった。
※4.プロシュートコット_豚モモ肉の骨を抜き、味付けした後にボイルしたもの
縁の「生地」を、空気が入らないように上に包むように折り込みます。
このまま揚げると縁がふっくら揚がるのですが、ナポリ式は具が流れ出ないように、縁をさらに掌底でつぶします。
揚げる
180度から190度に熱した油に「生地」を入れて揚げますが、入れて直ぐは皮が破れやすいので、あまり「生地」を動かさずに、油をかけながら揚げ、片面が色付きましたら、ひっくり返して、少し油に沈めるようにして反対側の面も揚げます。
※テンダロッサでは油に約30%の割合で「オリーブオイル」を入れて香り良く揚がるようにしています。
焼き上がりは「生地」の色合いが〝きつね色〟になりましたら頃合いです。
油から上げましたら、ペーパータオルなどで包んで軽く振りながら、しっかり油を切り器に盛りつけます。
中の具材はミートソースなどお好みでアレンジしてみてください〈ピッツァフリッタ〉完成です。
材料〈4個分〉
〈ピッツァ生地〉 |
中力粉(※1)250g/生イースト(※2)7g/水(常温)2/3カップ/塩8g |
〈具材〉 |
トマトソース(※3)120g/リコッタチーズ(水気をきる)250g/モッツァレラチーズ(水気をきって千切る)125g/粉チーズ(※4)80g/ハム(モルタデッラ)100g/バジル(千切る)12枚/粗挽き黒こしょう 適量 揚げ油(※5)適量 |
※1.薄力粉150g+強力粉100gで代用可。
※2.インスタントドライイースト約3.5gで代用可。使い方は同じ。
※3.トマトソースは水煮のトマトを裏濾すか、手で潰してから1%の塩を足したもの。
※4.粉チーズはイタリア産ハードチーズの「グラナ・パダーノ」もしくは「パルミジャーノ・レッジャーノ」が最適。
※5.7割のサラダ油に対して3割のEXVオリーブ油を加えると、風味が豊かになる。
作り方
① <ピザ生地>を作る。大き目のボールに中力粉を入れ、塩を加えてよく混ぜ合わせる。別のボールに生イーストと分量の水を入れて指でイーストをよく溶き、中力粉の入ったボールに加える。手でグルグルと混ぜ、ひとまとめにする。
② 軽く打ち粉(分量外)をした台に①を出し、よくこねる。生地にツヤが出て手につかなくなったら大き目のボールに戻し、霧吹きで水をかけ、ラップをかけて温かい場所で1時間ほど寝かす(1次発酵)。
③ 打ち粉(分量外)をした台に②を出し、軽く手で押さえてガスを抜き、カードやヘラで4分割する。それぞれ丸め、閉じ口を下にしてバットに並べる。霧吹きで水をかけ、ラップをかけて暖かい場所で30分~1時間寝かす(2次発酵)
④ 打ち粉(分量外)をした台に③の生地を1つ乗せ、麺棒で直径約23㎝の円形に広げる。<具>を1/4量ずつ乗せ、下の生地の縁で上の生地の縁を巻き込み、巻き込んだ部分を手で平らにする。
⑤ 揚げ油を180~190℃に熱して④を入れ、油を上からかける。生地が色づいてきたら返し、上から軽く押さえながら2分ほどカラリと揚げる。油をよくきり、ペーパータオルで包んで油を吸わせ、器に盛る。残りの生地も作り方④⑤と同様にする。
◆イーストは水で溶かす前に塩と合わせると膨らみが悪くなるので、必ずイーストを水で溶かしてから塩と合わせる。
◆2次発酵した生地がゆるくて扱いにくい場合は、冷蔵庫で少し締めるとよい。また、すぐに揚げない場合は2次発酵の後に冷蔵庫に入れておくことも可能。使う際は常温にもどし、その日のうちに使いきる。
◆具を包んでから時間が経つとトマトソースの水分で破れやすくなるので、すぐに揚げる。
◆具はミートソースやチョコレートなど、お好みのものでアレンジして良い。
料理塾