「慈華」
田村亮介
春の苦みとうま味が口いっぱいに広がる
口伝
アサリと菜の花のワンタンスープ
「あさり」と「菜の花」は春の野菜の旬の物同士ですので、旬の物を体に入れるというのはとても健康に良いものです。
そして「菜の花」にある苦味も春の野菜を代表する味覚ですが、苦味もまた健康に結びつきますので取り入れます。
本日は魚のすり身代わりに「はんぺん」を使って「ワンタン」の餡とします。
具材の下処理
「菜の花」は、表面の筋を薄く剥いてから、粗みじん切りにします。
鍋に「酒」「水」、砂抜きをした「あさり」を入れてから、強めの火で沸騰させます。
沸騰しましたら「あさり」の口が開くまで中火にします。
「あさり」の旨味を出しながら軽く火を入れるイメージです。
常に鍋を見ていて「あさり」の口が開きましたら瞬時に取り出します。
火を入れすぎると「あさり」の身が硬くなってしまいますので注意してください。
「あさり」を煮出した「煮汁」をキッチンパーパーで濾します。
この「煮汁」は後ほど「スープ」に使いますので取り置きます。
「あさり」は砂抜きをしていますが、濾すことで細かい砂などが取り除かれて、スープの口当たりが良くなります。
「あさりの身」を取り出しますが、貝柱を目掛けますと簡単に取り出せます。
手で「はんぺん」をつぶして、「すり身」を作ります。
魚のすり身を最初から作るのはとても大変ですが、「はんぺん」をつぶせば簡単に作れ、色々な料理に応用できますから、ぜひお試しください。
ワンタンを包む
「ワンタンの皮」の角を自分の方に向けてから、「あさりの身」と「はんぺんのすり身」をのせます。
向こう側の縁に「水」をつけてから、手前からクルクルと巻いて向こう側の三角形を残します。
手前の端に「水」をつけてから、両端をくるっと巻いて合わせて付けます。
「ワンタンの皮」は薄いので、たくさん具を入れてしまうと、本来の豚肉や海老などの具材に火が通る前に皮が破れてしまったりします。
スープを作る
鍋に先程の「あさりの煮汁」「中華スープ/清湯※」を入れてから強火で沸騰させて「ワンタン」を入れます。
※清湯(チンタン)の作り方はこちらをご覧ください。
「ワンタン」を入れたら弱火にして1分半茹でます。
強火でグラグラ茹でてしまうと「ワンタン」が破れたり、餡が出てしまいますので、必ず弱火にします。
本日の「アサリとはんぺんの餡」は既に火が通っていますが、通常の豚肉や海老の場合は2分から3分茹でるようにします。
鍋に「酒」「塩」「オイスターソース」「醤油」を加えます。
「ワンタン」を入れて1分経ちましたら、粗みじんにした「菜の花」を入れて30秒ほど茹でます。
これで「ワンタン」には1分30秒火が入ることになります。
もう一度強火で沸騰させてから火を止め、器に盛り付けて完成です。
あさりの旨味と菜の花の苦味を一緒にお楽しみください〈あさりと菜の花のワンタンスープ〉できました。
材料〈2人前〉
材料 |
あさり 大6個/水 1カップ/酒 大さじ3/菜の花 12本/はんぺん 1/4枚/ワンタンの皮 6枚/中華スープ(※1) 2カップ/酒 大さじ1/塩 小さじ2/3/オイスターソース 小さじ1/しょうゆ 小さじ1 |
※1中華スープは鶏がら、または豚と鶏のひき肉でとる清湯(チンタン)。有塩の市販品を使う場合は表示よりも薄味にして塩分を調節する。
作り方
① 菜の花は余分な葉を除いてかたい筋をむき、粗みじん切りにする。
② 鍋に分量の水と酒、あさりを入れて強火にかける。沸騰したら中火にし、あさりの口が開いたら取り出す。貝殻から身をスプーンで外す。煮汁はペーパータオルを敷いたざるでこす。
③ ボールにはんぺんを入れて手でもみつぶす。ワンタンの皮にはんぺん1/6量を乗せ、その上にあさり1粒を乗せて水(分量外)をつけて包む。残りも同様に包む。
④ ②の鍋にあさりの煮汁を戻し、中華スープを加えて強火にかける。沸騰したら③のワンタンを入れ弱火にし、1分ゆでる。酒、塩、オイスターソース、しょうゆで味を調え、①の菜の花を加えて30秒煮て器に盛る。
◆あさりの煮汁はこすと余分な砂が取り除けて、上品な仕上がりになる。
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