「トラットリア・ダ・ケンゾー」
西沢健三
フレッシュな「いかすみ」を使ったベネツィア風パスタ
口伝
いかすみのパスタ
墨イカを使ったイカ墨のスパゲッティを作ります。
ヤリイカでも構いませんがイタリアではイカ墨のスパゲッティというのは本来墨イカの墨を使ったものがオリジナルです。
墨イカの下処理
「墨イカ」の背を押してサーフボードのような形をした軟骨を取り出します。
皮付きでも問題はないのですが、多少歯にあたりますので、「墨イカ」の表裏の皮をキッチンタオルや布巾などを当てながら剥きます。
皮を剥きましたら身を開いて内臓の掃除をしますが、この時「墨袋」をピンセットなどを使って破れないように取り出します。
「墨袋」の大きさには個体差がありますので、あまりも少ない場合などは市販の「イカ墨」を足すなどして調整してください。
残りの内臓で「卵」はコク出しのために使いますが、「白子」「肝」は相性が悪いので使いません。
「目」と「口」も取り除きます。
「胴体」は食感を良くするために隠し包丁を入れてから、切り分けます。
「ゲソ/足」も一本ずつに切り分けますが、長い2本は半分くらいにカットします。
「イカ」を生で使うカルパッチョなどにする場合は、綺麗に洗ってからカットしますが、今回はソテーしてから煮込んでソースとしますので洗わなくて結構です。
ソースを作る
鍋に「ニンニク」と「オリーブオイル」を入れてから火を点けて、弱火でじっくり香りを出します。
イタリア料理では基本的に「ニンニク」に色を付けません。
香りが出て来ましたら刻んだ「イタリアンパセリ/普通のパセリでも可」を入れます。
「イタリアンパセリ」は火を入れることによって香りと味が出ます。
先ほど取り出した「墨袋」を袋のまま入れ「卵」も加えます。
火が入ると「墨袋」から「イカ墨」が出て来ます。
ソテーしている時に「イカ墨」が飛んで衣服に着きますとなかなか取れませんので注意してください。
軽く「白ワイン」を足しますが、「イカ墨」がフレッシュな場合はなくても構いません。
味見をして「塩」で味を調整します。
フードカッターや手で潰した「ホール缶のトマト」を加えて混ぜ合わせます。
ここで切り分けた「墨イカ」を入れます。
さらにパスタの茹で汁などを加えて水分を調整します。
イタリア人は「墨イカ」をしっかり煮てクタクタに柔らかくしてからソースに加えます。
このままじっくり10分ほど煮ます。
パスタを茹でる
鍋に湯を沸かし、湯量に対して1%の「塩」を加えてから「パスタ/太めのスパゲッティ」を入れて茹でます。
「パスタ」がアルデンテに茹で上がりましたら、10分煮込み「塩」で調整した「イカ墨のソース」と合わせます。
「ソース」を「パスタ」に吸わせるようなイメージで煮込みます。
このとき「パスタ」の茹で汁で水分量をお好みに微調整してください。
最後に「オリーブオイル」を回しかけて全体的に絡みましたら器に移します。
最後に相性の良い「粗挽き黒胡椒」をかけます。
フレッシュなイカの墨を使ったパスタです。
新鮮なイカ墨の風味は格別の美味しさです〈いかすみのパスタ〉の完成です。
この時「イカ墨のソース」が跳ねますので衣服につかないようにご注意ください。
材料〈6人前〉
材料 |
すみいか(甲いか)(※1)1杯/オリーブ油大さじ2/にんにく(みじん切り2かけ分/イタリアンパセリ(みじん切り)大さじ1/白ワイン(あれば)1/2カップ/塩 適量/トマト水煮(裏濾すか、手でつぶす) 180g スパゲッティ(太めのもの1人分)100g/オリーブ油 適量/粗挽き黒こしょう 適量 |
※1.標準和名は「コウイカ」であるが、すみを多く持つことから関東では「スミイカ」の呼び名が一般的。硬い石灰質の甲を持ち、秋から春にかけてが旬とされる。すみの量は個体差が大きい。
作り方
① すみいかは軟甲を取り除き、胴を縦に切り開いて皮をむく。すみ袋と卵があれば取り出し、ワタと中骨は取り除く。ゲソについた口と目は取り除き、ゲソを1本ずつ切り分ける。えんぺらは皮をむき、3~4㎝幅に切る。胴は斜めに5㎜間隔の隠し庖丁を入れ、1×4㎝程度に切る。
② 鍋にオリーブ油とにんにくを入れて弱火にかけ、香りが立ったらイタリアンパセリを加えてサッと炒める。火を消し、①のすみ袋と卵を加えてヘラで炒める。
③ 十分にすみが出たら火を点け、白ワインを加えてアルコールを飛ばす。トマトの水煮、①のいかの胴、えんぺら、ゲソを加え、味を見て塩で控えめに調味する。湯を適量加えて蓋をし、弱火で10分ほどゆっくりと煮る。
④ 別の鍋にパスタ用の湯を沸かし、1%の塩(分量外)を入れる。パスタを加え、袋の表示通りの時間ゆでる。
⑤ フライパンに③のパスタソースを入れて火にかけ、適度な濃度に煮詰める。茹で上がった④のパスタを加え、ゆで汁を適量加えてからめる。仕上げにオリーブ油を加えて混ぜ合わせる。
⑥ 器に盛り、黒こしょうをかける。
◆すみ袋を取る際は、破らないよう注意する。
◆いかの胴は隠し庖丁を入れると食べやすく、見栄えも良くなる。
◆すみが少ないようなら、さらにすみ袋を1杯分足すか、市販のいかすみを足すと良い。
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